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「……こんなに変わるのか」


 グランディーナさんがあたしたちに合流してから、あっという間に三組もの祝福狩りたちが現れたことに、さすがのトマスたちも驚きを隠せないようだった。


 あたしはそんなトマスたちを横目に、どこかに向こうの祝福持ちがいないかとか、空に浮かんでいる人がいないかと血眼になって探す。


 だけど、何も分からない。


 グランディーナさんが祝福を使う瞬間も辺りの気配を探っているのに、現れる場所もよく分からない。


 移動してくる時に光るとかしてくれたら探すのも楽なのに、そういったのもないからどうしてこっち側に来ているのか、分からない。


 ずっとどこかに隠れてるのなら、あたしたちが何度も来て探しているのに、それを避けられ続ける訳がない。


「ラナちょっといいかしら?」


 トマスたちとグランディーナさんが話し込んでいるが、会話に加わらず周囲を変わらずに警戒をしていたら、グランディーナさんに声を掛けられた。


「はい?」

「あのね、もう少し落ち着きなさい」

「え?」

「あなたさっきからろくに休憩もせずにあっちこっち動き回っているの気付いている? あなたに言ったこと覚えている?」

「えっと?」


 向こうね祝福持ちの捜索はダメだって言われたのに、あたしがまだ探しているのを怒られている?


 でも、グランディーナさんの表情は怒っているようではない。


 そのことに何を言われるんだろうとどきまぎしてしまう。


「あなたあまり寝てないでしょ? クマが酷いわ」

「え?」


 クマ?


 寝てなかったっけ?


 国境に来てからはあいつらを探すことを優先していたから、もしかしたら睡眠時間を削っていたかもしれない。


 でも、今そんなことが何か関係があるのかな?


 あたしが寝ても寝なくても問題なくない? 疲れていたらちゃんと寝るし、今は眠くないんだもん。それだったら、ちょっとでも動いて何かしらの手掛かりを手に入れた方がいいでしょ。


「あなたたちもあなたたちですよ。女の子がこんなになっているのに、そんなことにも気付かないだなんて」

「いや、しかし、本人が……」

「しかしじゃないでしょ?」

「うっ……あ、その、すまない」

「えっ、あの、あたしが勝手にやっていたことだから!」


 トマスたちは関係ないんじゃ? それなのに、グランディーナさんはトマスたちを責めようとするので、慌てて止めようと割って入る。


「いいえ、ラナあなたはしばらく休息が必要です」

「そんな! 何で……」

「何でではありません。これは命令です。ラナあなたはしばらく宿から出ることも許しません」

「でも……」

「ラフォン様でしたか? あなたが気にしているのは。あなたがラフォン様とやらを心配しているように、あなたのことを心配している人はたくさんいるのよ」


 そんなことはない。


 そう言いたいのに、グランディーナさんの瞳は真剣で有無を言わさない謎の圧力があった。


「それに、あなたが思っている以上にかなり酷い顔になっているの。そんなんじゃ今はよくてもいつかは倒れてしまうわ。だから命令します。あなたはそのクマがなくなるまで宿から出ることを禁止します」

「そんな……そこを何とか!」


 その後もグランディーナさんにお願いしてみてもグランディーナさんは頑として頷くようなことはせず、トマスたちもグランディーナさんに逆らうのが怖いのか、あたしの味方をしてくれる人はいなかった。


 その間トマスたちはどうなっているかとか教えてくれる訳でもなく、グランディーナさんの命令のためか、一人宿に騎士たちが残りあたしが宿から抜け出さないように見張ってる。


 あたしはそこまでしなくともいいんじゃないのと思ったのだけど、グランディーナさんは思った以上に頑固であたしも渋々と、従うことにしたらあたしが思っている以上に疲れていたらしく、かなり眠ってしまって驚いた。


 これはグランディーナさんに怒られる訳だ。


 戻って来たらグランディーナさんにお礼を言わなくちゃと思うものの、中々戻って来ない。


 いつもだったら夕方には戻って来るのに、夜になっても戻っ来ない。


 あたしと一緒に残っている騎士も不思議そうに何度も外を確認しているので、気になっているのはあたしだけじゃないらしい。


「見に行きますか?」

「あ、いや、もう少し……明日の朝帰って来なければ見に行く」

「何かあったらどうすんの?」

「こちらには騎士が四人いる。今まで向こうが現れる時は同じぐらいだったが、今まで勝てていただろう? もしかしたら苦戦しているかもしれないが……やっぱり見に行ってくる」

「あたしも行く!」


 あたしもみんなのことは気になっているんだ。


 あんた一人だけが心配している訳ではないというようなことを言って、何とか着いて行こうとすれば、騎士はちょっと悩んだ後、準備をしてくるようにと言ってくれた。


「お前が準備している間に馬の用意をしてくるから早くな」

「ありがとう!」


 許可してくれるとは思ってなかったのに、許可が降りてびっくりしたけど、モタモタしていたら置いてかれるかもと慌てて剣を取りに部屋に戻った。



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