表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/122

112

 王都に戻った人を待っている間、あたしたちはあの国の連中が現れたところをしらみ潰しに歩き回ってみたが、隠れられるような場所は分からない。


 どこか離れた場所に拠点を置いている可能性もあるが、こちらから入国出来ないんじゃその場所の特定もしづらい。


 でも、シェスタ・マーベレストが国境を閉ざしてるせいで、通行人の中に祝福持ちがいて、その人に頼み込んで一時的に仲間にするなんて芸当も出来なくなった。


 シェスタ・マーベレストは国境を閉ざしたせいで祝福持ちたちが来なくなるとか考えてなかったのだろうか?


 それとも、祝福持ち狩りの範囲を拡大するつもりだったのかな?


 その辺はよく分からないけど、どっちにしろ他の国からしたら迷惑でしかない。


 さっさと滅んでくれた方が世界のためになるってのに、現実は国境を閉ざし、他国への冒涜。それ以外にも色々とやっているだろうに。


 本当さっさと滅んでくれたらいい。


 もちろんラフォン様を見つけた後でね。


 ラフォン様の無事を願っているのはあたしだけじゃない。


 ミーヌさんだって、ユリアもジゼルもグロリアもグレースの王だって、ラフォン様が無事に見つかることを願ってるんだもん。


「一旦休憩しようか」

「分かりました」

「出てこないな」

「やはり、祝福持ちは必要だったか……」


 道なりに移動を続けて半日。


 ようやく休憩となったが、やっぱり祝福持ちがいないせいかシェスタ・マーベレストの連中の姿は一向に見えてこない。


 ため息を吐きそうになるのを堪え、王都に戻って行った人を待つかどうするか話し合うが、このまま国境付近で何もせずに待つのは性に遇わない。


 それは、あたしだけじゃなくトマスたちも同じ考えなのか、暇さえあれば視線をあっちこっちに移してはどこかにシェスタ・マーベレストの奴らがいないかと探している。


 あたしだって負けじと色んなところに足を伸ばしたり、目撃情報がないかも調べたりしたけれど、思うような答えが返って来ることはなく、やっぱり王都に戻った騎士が祝福持ちを連れて帰って来るのを待つしかないよね。


 でも、戻って来るまでまだ時間が掛かるから、もうしばらくはこんな感じで警戒するしかないんだよね。


 早く戻って来てくれたらいいんだけど、どんなに馬を飛ばしたってそれなりの時間が掛かる。


 それなら、やっぱり国境をしらみ潰しに探し回った方がいい。


 トマスたちもそういう考えみたいだけど、四人は二人ずつあたしと行動することにし、残り二人は休憩するのかと思いきや、体を鍛えるんだそうな。


 一瞬あたしも体を鍛えるのもよさそうと思ったけど、でも、あいつらを早く捕まえてあの国に侵入出来た方がいい。


 そしたら、あの城の中。


 前は全く行かなかった場所や情報が得られるかもしれないし、ラフォン様のことだって見つけられるかもしれない。


 そう考えたら、体を鍛えてる暇なんてない。


 どの辺りを捜索するべきかと予想を立てたところで、あっちが出てくることがないのなら、しらみ潰しに探して行くしかない。


 国境の街だけでなく、隠れられそうな場所をしらみ潰しに探し回る。


 何度か怪しそうな場所を見つけて行ってみたりもしたけど、それも空振り。


 本当にどこからあいつらは現れるのか不思議でしょうがない。


 どうしてあたしたちはあいつらが現れる場所を見つけられないのか。もしかして、何らかの祝福を使って移動してきてるとか?


 考えられるとしたら、空? もしくは瞬間移動とか?


 一番嬉しいのは、空から現れてくれた方が見つけやすいんだけど、その辺どうなんだろ?


 宿に戻ってトマスたちの意見を聞いてみる。


「その考えは我々も考えなかったことはありません。ですが、疑惑は疑惑のままで、祝福を使ったとしても、どれぐらい離れた場所からの移動かなど分からないと、こちらとしても対策が取りようもないのです」

「でも、対策は後にしてあいつらが祝福を使って移動しているかだけでも分かっていたら戦いやすくもなるんじゃないんですか?」

「そうかもしれないが、その祝福持ちが出て来ないのなら、今とそんなに変わらないだろう」


 トマスの言い分もわかる。


 でも、対策を取れるように相手の祝福持ちの能力を知ることも大事なことなんじゃないの?


 トマスたちは頭が少々どころかかなり固いように思う。


 もうちょっと柔軟に考えて欲しい。


 ここにいるのがジゼルかグロリアだったらもっと早く話が進んでくれると思うんだけど、どうしてトマスたちは分かってくれないんだろ。


 あれこれと話をしている内にお互いの考えていることも多少は分かって来た。


 あたしはちょっとでも可能性があるのならば、すぐにでも行動しなければいけないと感じるせっかちな人間だし、トマスたちは物事を慎重に考えてから動きたい慎重派だから考えが根本的に合わないんだと思う。


 それなのに、一緒に行動しなくちゃいけないんだもん。そりゃ、合わなくて当然だよね。


 それなのに、どうして一緒に行動しなくちゃいけないのか。殿下は何を考えているのか。


 殿下の考えは分からないけど、もう決まってしまったことは仕方ない。このメンバーで行動しなくちゃいけないんだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ