助け
小学生の頃はただただはしゃいでいた。
友達と学校内を走り回り、時にはかくれんぼなどをして遊んでいた。
中学生からは周りの目を気にし始めた。
校内を走れば冷たい目線を向けられ、友達と騒げば注意される。
高校生になると他人に迷惑をかけないことが普通になった。
一度考えてから言葉を発するようになったし、行動の前に誰かの安全を考えなければいけない。
社会人になると同じことの繰り返し。
毎日会社に行き、1日中そこで働き、家に帰る。この繰り返し。
もし、一回でもハミ出せたなら。抜け出せたなら。
「こんな風にはならなかったのか……?」
模範的な人生だったのかもしれない。でも模範過ぎたのかもしれない。
「辛いよぉ……母さん」
毎日暖かいご飯を作ってくれる人を呼ぶ。
「苦しいよぉ…父さん」
毎日自分達のために働きに行ってくれた人を呼ぶ。
その声に応える人はもう居ないのに。