EP.3平原の町へ
森を抜け一時間と少し。
【ピア•ルーレ】の街へとたどり着いた。
この街は平原にあるのどかでにぎやかな街である。
自然に囲まれているため木工や畜産が盛んであり、昼も夜も人々の声が絶えないにぎやかな街だ。
街道を通り街の中へと進む。
「ねぇ旅にボクを連れて行くのはいいんだけど、この旅の目的は何なの?」
スライムは尋ねてきた。
「私は自分の父親に会いたいんだ。」
「じゃあお父さんのいる街に向かうの?」
首を横に振りながら答える。
「ううん、そうじゃないんだ」
父親は私が産まれてすぐどこかに失踪してしまい、ずっと行方がわからないことを伝えた。
「そうなんだ…お父さんがいないって大変じゃなかった?」
「たしかに大変だったけど、お母さんとは沢山遊んだりできたよ。その分寂しいことは多かったけど…」
しばらく歩いていると宿屋の看板が目に入る。
「今日はここに宿を取るよ」
少し古そうな雰囲気のする扉を開ける。
「おや、いらっしゃい」
店にいるのは老婆だった。
「おばあちゃん久しぶり!」
「おお、久しぶりじゃのぉ…」
皺の多い顔に優しい笑顔が溢れ出す。
「お前の母さんから聞いたよ、旅に出るってなぁ…お代なんていいからゆっくりしてくれや」
ところで、そういってその老婆はスライムの方を見る。
「あんたは友達かい?」
首を傾げながらそうスライムに問いかける。
「うん、森で怪我してたのを助けてもらったんだ!これから一緒に旅についていくことになったよ!」
「そうかい、孫を助けてやってくれな」
さて、と老婆は話を変える。
「部屋は7号室で、これが鍵だよ」
老婆はタグの付いた鍵を手渡した。
一人と一匹は部屋に入り、手荷物を置いた。
「ん〜……こうやって一人で宿に泊まるのも初めてでちょっと興奮するなぁ…」
両腕を上げて体を伸ばした。
「でもかなりの距離を歩いたからすごく疲れたな…」
そっとベッドに腰を下ろす。
「そういえばこれからどんな予定で旅を続けるの?」
スライムはその青くすこし透明な体をぷるっとさせながら聞く。
「お金を稼ぎながら旅を続けなきゃいけないから、クエストを受けながらある程度溜まったら次の街へ次の街へ…って感じかな」
地図を出し、現在地の【ピア•ルーレ】の街を指しながら答える。
「少しお金が溜まったら別の大きな街へ向かおうかな」
改めて地図をよく見る。
このあたりの街を巡るにもかなりの時間がかかる。
世界を回りきるために徒歩では何年かかるのかわからないほど、途方に暮れるような距離を進まなくてはならない。
だけど、きっと、お父さんはどこかにいるはず。
絶対に見つけ出して家族で楽しい日々を過ごす。
私はそう誓ったのだから。




