EP.1 旅立ち
はじめまして、コヒルイマキと申します。
のんびりと自己満のシリーズ短編を書いてちょこちょこ続きをだしていこうと思います。
もし気に入ってもらえたら嬉しいです…
私の父は、どんな願いも叶えられるという魔法を追い求めていたらしい。
世界に散在する7つの魔導書を集められることができれば、何でも願いを叶えることができると言われる『アルカナ』の魔法。
その話は世界中の誰もが知っていて、今でもその魔導書を追い求める人々が後を絶たない。
言うまでもなく、未だに誰もアルカナの魔導書を集めることはできていない。
しかし、何故父がその魔法を追い求めていたのか、何故行方がわからなくなってしまったのか、私にはわからない。
これは私がその父親を探すため、魔法の真実と様々な出来事に奔走し、紡ぐ物語だ。
「起きなさーい!今日から旅に出るって言ったのにこんなぐーたらじゃだめでしょ!」
朝から母が扉をぶち破るような勢いで部屋に飛び込んてきた。
「あと一時間…もう一時間寝かせて…」
「あんたそれじゃやってけないわよ!ほら、起きなさい!」
「ぅぅぅ…起きるから…」
うなりながら眠い目を擦り、体を起こす。
「朝ごはんはできてるからね」
母は部屋を出て階段を下っていった。
寝間着から着替えて自分も自室から出る。
朝食のスクランブルエッグらしきいい香りが鼻腔をくすぐる。
毎日襲いかかってくる睡魔もこの匂いを嗅いでしまえばそんなものともさよならだ。
美味しそうな朝食が二人分食卓に並んでいる。
「いただきます!」
このとても美味しい朝食が私の日常だ
「美味しい!」
「それはよかった…」
母の声色がいつも違った。きっと心配しているのだろう。
16歳で突然家から飛び出していくんだ、そんな娘を心配しない母なんていない。
「お母さん、私なら大丈夫だよ」
私は母に微笑みかける。
「お前の父さんに旅に送り出してからもう17年………結局あの日からあの人は帰ってきてない、おまえもそんなことになったらと心配で仕方がないんだ…」
「大丈夫だよ、きっとお父さんも見つけて返ってくるから………私………頑張ってくるから」
ごちそうさま、とそのまま食器を片付けた。
「…本当に行くのね?」
「うん、もちろんだよ、きっとお父さんも、アルカナも見つけて帰ってくる」
そのまま母をぎゅっと抱きしめた。
「それじゃそろそろいってくるよ」
私は自分の杖を持ち、荷物の入ったカバンを背負い込んだ。
「…絶対帰ってきてね」
母は少し寂しげ表情で私を見つめていた。
「大丈夫、私は絶対返ってくるから」
そして玄関のドアを開ける。
外は素晴らしいほど晴れていてきれいな青空だった。
「…それじゃ、行ってきます!」
元気よく発した声は少し震えていた声だったかもしれない。
だけどきっと私はこの家に帰ってきて、そして家族みんなであの美味しい朝食を食べる。
そう誓ったんだ。




