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10.サンセット・アンド・サンライズ

文書量多めにつきご注意ください。

メロディ・ラインが“その絵”を見たのは、およそ一年前だった。

とあるギャラリーで開かれていた一流の芸術を愛でる会―――――いわゆる上流階級者のサロンでたまたま一度目にしただけの、今でも忘れられない一枚。

彼女がその絵を目にする機会を得たのはただの偶然である。家政学校の授業の一環で友人たちと共に駆り出されていたあの日のメロディは裏方で、臨時雇いの見習いメイドらしくお客様方に関わることなく雑用だけを片付けていればそれでいい筈だったのに―――――人手が足りなくて足りなくて、本当にどうしようもなくなって、止むを得ず学生たちの中で最も優秀だと目された彼女が会場に回された。

メロディは小心者ではあったが、神経そのものはそこそこ図太い。やるしかないとなればやるしかない、と秒で覚悟を決めるが早いかひたすら無心で働き始めた。脇目も振らずに個を消し去ってひたすら業務に従事して、お高そうな美術品や絵画の類には目もくれず―――――そうして時間が過ぎていく中、気紛れな客が戯れに、彼女のことを呼び止めた。


『そこのメイドのお嬢さん。君、この絵をどう思うかね?』


たまたま通りかかっただけ。一番近くに居て目に付いたのが、たまたまメロディだっただけ。その紳士が何処の誰であるかなど学生の彼女には分からなかったが、年若い女性たちと一緒になって「この絵」と指し示した一枚を褒め称えていたのはなんとなくの流れで把握した。芸術など分かる筈がない。一流なのか三流なのか、本物なのかレプリカなのか、それさえも分からないメロディは答えに窮して口籠る。

そんな初々しい彼女に気付いて紳士は柔らかく微笑んだ。そうしてのんびりとした口調で言う。


『なに、構えることはない。ただ君の率直な感想を聞かせてもらいたいだけなのだよ。この絵を見て、何を感じるかね?』


見たまま、感じたまま、思ったままをありのまま言えばそれで良い。

寛容な紳士は言葉を重ねて、興味深そうな眼差しでメロディの感想を待っていた。メイドとして忙しなく働く小娘に専門的なコメントなど最初から求めてはいないのだろう。ただ感想を言えばいい、と促されている以上、黙り込んでいるわけにもいかず彼女は“その絵”に目を向けた。

そして一番最初に浮かんだことを、そのまま素直に口にしたのだ。飾らずに、ありのまま、心に思った感想を。


『―――――洗濯物が良く乾きそうな、良いお天気の朝だなあ、と思います』


その言葉に、嘘はなかった。作者もタイトルも分からないその美しい風景画は、メロディが知らない町の日常を活き活きと大胆に切り取っている。色遣いの巧みさは素人目にもよく分かったが、これはきっと描き手その人に見えているものが他人のそれよりずっと美しくて鮮やかなのだ。

差し込む光、建物の影、開いた窓からはみ出して揺れる柔らかそうな布地のカーテン。メロディが住み暮らす地域ではあまり馴染みがないけれど、バルコニーで外干しされている洗濯物と思しき細かい描き込みが彼女には一番印象的で、だからその部分に触れたのだ。この場所に吹く風は穏やかなものに違いなく、晴れた空から降り注ぐ日差しで洗濯物が良く乾く―――――きっといい一日になる。

そう思ったから、そう言った。際限がないと思わせるほど絶妙な配色を散りばめて良い天気になるなあと思わせてくれる素敵な絵だ、と伝えたかったのだけれど。


『洗濯物、ってあなたねえ―――――これ、夕暮れの風景でしてよ? 見ればお分かりになりますでしょう?』


一人の女性がそう言って、さざなみのように密やかな含み笑いが広がっていく。物を知らない小娘の拙くて的外れな感想と、その感性を笑うように。何を感じたのかと聞きながらそれは違うと否定して、芸術を解さない者はこれだからと言わんばかりにくすくすと。


『やあ、仕事熱心なお嬢さんらしい! なんとも興味深い視点だ。うん、その発想はなかったとも。呼び止めてすまなかったねえ、雇い主には僕の方からきちんと伝えておくから安心したまえ。貴重な感想をありがとう、可愛らしいメイドのお嬢さん』


何が面白かったのか、上機嫌な紳士はそう言って茶目っ気たっぷりに感謝を述べた。社交辞令だとは分かっていたし、仕事熱心云々というのは彼なりのフォローだったのだろう。撤収するなら今が好機、と察したメロディは喉元にせり上がる苦い気持ちを飲み込みがてらに頭を下げて、逃げるのではなく堂々と、ゆったりした足取りでその場を辞した。


『ええ、きっと良く乾いているでしょうねえ、お洗濯物』

『本当に。わたくしたちでは得られない、貴重な視点でしたわねえ』


お上品に転がる声が、夕暮れの絵で会話を弾ませている。ただそれだけのことだった。メロディが何を思ったとしても、関係がないしどうでもいい。そこでおしまい、ただそれだけ。

そう割り切って、切り替えた。臓腑の底から湧き出た靄がべったりと心に張り付くような、そんな感覚をも振り切って彼女は与えられた仕事に戻る。慌ただしい一日が終わる頃はもう、なんとか業務を遂行しきった安堵の方が勝っていた。

なお“ヴニーズの日暮れ”というあの絵のタイトルを知ったのはかなり後のことだったので、最初にタイトルを教えてくれればあんな思いしなくてすんだのになあ、と思ったことは許されたい。いい気分にはなれそうにない、積極的には思い出したくない、有体に言えば不快な記憶―――――それでも“その絵”を覚えていたのは、芸術も解さない小娘なりに綺麗だなあと感じ入ったものを忘れられなかったからだけれど。


「洗濯物が良く乾きそうな天気の良い朝の絵、って当時のきみが言ったヤツ、もう覚えてない?」

「覚えてはいます」


何なら今まさに回想してました、とは口に出さないメロディである。しかしばっちりと混乱はしていた。そのせいか口が大いに滑る。割と如実な本音とともに。


「何故坊ちゃんがその洗濯物発言をご存じなのでしょう忘れてください。夕方を明け方と勘違いした恥ずかしさを思い出すと消えたくなるので」

「ああうんガッツリ覚えててくれて助かるけど嫌なこと思い出させちゃってごめんね。でも実際はメロディが消えたくなること何もないんだ、だってあれ明け方を描いたんだもの。きみの方が正しいんだよ」


タイトルがね、間違ってんの。

キャルム・ドニエはそう言って、端正な顔立ちを少し歪めた。眉根を寄せて、口を尖らせて、拗ねた子供という表現が相応しい声音で彼は言う。酷く、冷めた響きだった。


「描いた僕が言うんだもの。本当だよ、嘘じゃない。メロディの方が正しいの。勘違いじゃないし、恥ずかしくもない。僕が描いたのは明け方の町だ。きみがあの日感じたとおり、洗濯物が良く乾きそうな天気のいい朝の景色を描いた―――――僕を褒めてた連中は、誰も、分かってくれなかったけど」


ぽかん、とメロディの口が開く。開いた口はそのまま塞がらず、ぽつりぽつりとキャルムが紡ぐ言葉を静かに聞いていた。


「白状しちゃえば僕がきみを知った切っ掛けはそれだ。メロディ自身のことは全然、これっぽっちも知らなかったけど、そのエピソードを人伝に聞いて僕はきみに会いたくなった―――――ちょっとだけ、僕の話をするね?」


そんな言葉を皮切りに彼が語り出したのは、聞く人が聞けばただの自慢と辟易する内容でしかなかっただろう。

ドニエ侯爵家の末っ子として二人の兄からかなり遅れて生まれたキャルムは、かなり自由にのびのびと、周りから甘やかされて育った。跡取りではない予備の予備。背負うもののない第三子。可愛がられ上手のお坊ちゃま。そんな立ち位置だったから、侯爵家の者としてそれなりの教育こそ施されたものの基本的には自由気儘に生きることを許された。

兄弟の中でも特出した美貌を持って生まれた以外は取り立ててめぼしい才能もない、甘えた坊主の可愛い末っ子―――――そんな評価を受けていたキャルム・ドニエがその才能を開花させたのは、およそ七歳頃のこと。


「スケッチブックに色鉛筆で何の気なしに絵を描いたんだ。プレゼントにもらった画材があるから使おうかなあ、くらいの軽い気持ちで、ただ好きな色を塗りたくった。家族は僕に甘かったから、初めて末っ子が描いた絵だって大袈裟に喜んで家に飾ったの。お客様にも見せたいからって、よりにもよって玄関に。たかが子供の落書きに額縁まで用意しちゃってさあ、親馬鹿全開でわざわざ馴染みの画家まで呼び付けて見せびらかして………その画家が僕のことを“天才”とか言い始めたあたりで流れが変わった」


社交辞令だろうと思われたそれは、どうも本心だったらしい。侯爵家馴染みの名の知れた画家はその日のうちにキャルムへの絵画指導を申し出た。才能がある、伸ばすべきだ、百年にひとりの逸材だ―――――等々、ドニエ家の面々が頷く前から師匠面全開で熱く語っていた“先生”の圧は「子供心になんか怖かった」と付け足すのを忘れないキャルムである。本当に怖かったんだろうな、とメロディはお察しの表情を浮かべた。


「それからまあまあいろいろあって、最終的には本当に“天才”だってことになってた。実際、先生の個展のオマケ感覚で人目に触れた名もなき弟子の絵はやたらと評価が高かったしね? 僕の耳には良い評判だけが入るようになっていたとしても嬉しかったよ。僕の描いた絵に買い手がついた、って聞いたときは心が震えたし、若き天才とか持ち上げられてこっそり調子にも乗ってた。家柄の都合と年齢的な問題で絵描きとしての僕の素性は一切明かしてなかったけども、そういうの抜きで僕の作品を気に入ってくれる人がたくさんいるんだって思うとなんだか楽しくて。画家として誰よりも名を遺すだろう、って先生に言われたあの頃は『じゃあ絵を描いて生きていこう』って本気で考えたりもした。絵を描くのがね、好きだったの―――――今は、そうでもなくなったけど」


そう言って声のトーンを落としたキャルムは力なく笑う。メロディが新たに知り得た雇用主の孫の一面は、なんとまあ驚くべきことに所謂“天才少年”だった。美貌の侯爵令息で絵画の天才とかそれはもう属性を盛り過ぎなのでは? と思わないこともないけれど、しかしメロディは彼が絵を描く姿を一切想像出来ない。

キャルム・ドニエはいつだって、ちょっと困ったお孫様だった。何を考えているか分からない、どうしてこちらに絡んでくるのかいまいち理解出来ず掴めない、距離を測りかねるどころか時として回避が不可能な類の接触事故を起こす人。

そんな彼がメロディ・ラインに構う理由はなんなのか―――――ずっと疑問だったそれは、本日キャルム本人の口からようやく語られるに至る。


「このあたりで話を戻すけど、メロディを知る切っ掛けになったあの絵に作者の僕がタイトルをつけるなら間違いなく“ヴニーズの日の出”にするね。日の出じゃなく夜明けでも朝焼けでもまあ表現はなんだっていいんだけれど、とにかくアレは朝の景色だ。僕が自分の描いた絵にタイトルをつけない主義だったせいで起こった認識の齟齬ってヤツだよ。タイトルが欲しいならつけたい人がつければいいんじゃない? みたいな感覚で絵の買い手に委ねたら間違ったタイトルで世に広がっちゃったってだけの話でメロディが恥ずかしがることは一切ない。むしろアレを『素晴らしい夕暮れの町並みだ!』って褒めちぎってるお歴々の方が僕としては理解出来ない。天才だの何だの散々持ち上げられておいてこんなことを言うのもアレなんだけど、あの人たちとは感性が合わないし何それ知らない何言ってんの? みたいな気分なんだよね。僕の作品を見た人が何をどう感じるかは個人の自由だけど、それを“僕”もそうだろうみたいに言われたり決め付けられるのは嫌―――――そんなふうに拗ねて荒れちゃってたから、僕と同じ感性で同じものを見てくれた人が居るんだって知ったとき嬉しかったんだ。分かってくれる人が居たって、それこそ泣きたくなるくらい」


『洗濯物が良く乾きそうな、良いお天気の朝だなあ』


絵の感想を求められた末にそう答えた娘が居たことは、すぐさま彼の耳に届いた。

夕方ではなく明け方の絵だ、と今更言うのも馬鹿馬鹿しくて、特に訂正はしないくせして自分の描いた絵を本当は誰も理解してくれていなかったと拗ねてばかりいたキャルム・ドニエにそれを伝えたのは師であった画家だ。幼少期より才能の塊だと目を掛けた弟子が腐るのに心を痛めていたのか、初老の紳士はある日上機嫌でドニエ家の戸を叩くなり声高に「理解者が居たぞ!」と叫んだのである。


「それがきみ。メロディ・ライン。たまたまサロンの主催者に学校経由で雇われていた、家政学校の女学生。前評判に関係なく、ただ目で見ただけの感想で僕の絵を理解してくれた人」


快哉のように、祝福のように、あれを朝の風景だと感じた娘が居たのだと―――――人伝に聞いたその情報が、どれだけキャルムには衝撃だったか。


「会って話してみたくなったの。どんな人なのか気になったの。就職希望、っていうきみの進路は僕にとって天の助けだった。隠居したお婆様がちょうど人手を欲しがっていたから―――――雇い入れて、でも直接会って話せる状況になったら急に怖くなって逃げちゃって、だからこっそり観察しながらメロディのことを知ろうと思って。さりげなく僕が描いた絵をお婆様の家に飾ってきみのコメントを拾い上げてはすごい高確率で僕の意図を汲んでくれることに感動してめっちゃくちゃ喜んで、でもいざ話し掛けたらあのザマで………その、はい………気付いたらもうかなり好きになっちゃってたので、仲良くなりたかったんです………」


気持ち悪くてごめんね、と美少年は項垂れた。反省の程が窺える。驚異的に顔が良かろうが許されないことはあるのだと、一応は理解しているらしい。

およそ筆舌には尽くし難い衝動と焦燥を胸に抱えて理解者なる人物のことを探し出し、会ってみたい、話がしたいとその一念で無理を通した彼のこれまでを聞かされたメロディはただただ頭上を振り仰ぐ。

見えるのは天井だったけれども、それでも彼女は一呼吸置いてからキャルム・ドニエを直視して言った。


「あの、坊ちゃん、おそらくですが………ただ人前で言わないだけで、あの絵のことを朝の景色だと感じる方はわたくしの他にもそれなりに居るのではないかと………たまたま最初に発見されたのが私だったというだけで、それこそ侯爵家のお力でも使って探せばもっと坊ちゃんの理解者足り得る方はいらっしゃると思います」


雇われメイドの平民ではなく、それこそ高貴なるお血筋の、芸術にだって造詣が深い教養に溢れたあなたに相応しい麗しき淑女がいらっしゃいますよと真剣な顔でメロディは告げた。己が身を弁えた彼女らしい理性的な回答に、キャルムは肯定を示して頷く。そうして、あっけらかんと言うのだ。彼女の心などお構いなしに、ある種の傲慢さで以て。


「うん、だろうね。でも探さない。だってもうメロディを見付けたからね、他はいらない。きみがいい」


なんで? とメロディの視線が尖る。言葉を選ぶ余裕はなく、表情も既に繕い切れず、眉間には本日一番の深い皺が寄っていた。嫌悪はないが不可解さばかりがぞわぞわと皮膚を粟立たせていく居心地の悪さに辟易しながら、彼女は取るに足らない女に純粋な好意を隠さなくなった天才美少年の感性を疑う。

そう、感性。感性だ―――――それを理解してくれたのがメロディだったから惹かれたのだとキャルム・ドニエは言うけれど。


「―――――何それ知らない何言ってんの? みたいな気分なんですけども」

「わぁにこやかに言われると心が抉れる」

「おっしゃっていたのは坊ちゃんですよ」

「だよね。うん、それはそう―――――ぶっちゃけ『お前が言うな』だよね。少なくともこっちの手落ちで寄って集って僕の婚約者扱いされてしんどい思いをしたばっかりのメロディに言う台詞じゃあないし決め付けられるのは嫌だって自分で言っておきながら好きな子を似たような目に遭わせるとかもうどの面下げてんだって感じ」

「分かった上で今の告白を?」

「なりふり構ってらんなくて」


ここまできたら玉砕あるのみじゃん? とキャルムは泣くのを堪える過程で器用に笑顔をつくってみせる。そんな情けない表情でさえ美しいものは美しい。ずるい、とは別に思わなかった。羨ましくも妬ましくもなく、ただそこにあるものをわざわざ歪めて見る気もない。

メロディ・ラインはそういう娘で、そしてそんな彼女をずっとこっそり観察していたキャルムはここが勝負だと気合いを入れる。


「メロディの言うことはもっともだと思う。あんなささやかなことで心が弱っていた僕は自分のことを分かってくれたと思える相手なら誰でも良くて、それはきみじゃなくても良かった。否定は出来ないからしない。だけどね、やっぱりきみが好きだよ。一目惚れしたとか容姿に惹かれた、なんて嘘を吐いてもきみにはまったく響かない上に逆効果っぽいからストレートに言うけど感性が好みです。メロディ、結婚してください」

「坊ちゃんお顔立ちは極上なのに口説き文句本当に残念ですね………というかこれだけはお聞きしたいんですが、感性なんて曖昧なモノを決め手にして私のようなメイド風情に結婚申し込んで大丈夫なんですか? あとで後悔しそうですけど」

「しない。後悔だけはしない」


絶対に、と前置いて、キャルム・ドニエは言葉を重ねた。メロディのことを気に掛ける理由を尋ねただけの流れが気付けば交際をすっ飛ばして結婚云々にまで飛躍していることにはまったく、一切気付くことなく、ただただ気持ちを伝える機会を逃すまいと必死な面持ちで。


「だって、『洗濯物が良く乾きそうな良い天気だな』って思って描き留めたあの光景を同じように受け取ってくれたきみと一緒にいたいんだもの。思わず絵に描きたくなるような景色を見たとき隣にいるのがメロディ以外の誰かなんて嫌だ」

「………ぼ、坊ちゃん………」


結婚しよう、とキメ顔で、段階をすっ飛ばして求婚された。小心者の胃がまた軋みそうな状況下であるにも関わらず、メロディは意外と冷静にちょっぴり頬を赤らめながらその申し出を受け止めて―――――


「ちょっと考えさせてください」


即断即決するようなことじゃないよね、と現実的な思考で判断し、検討させていただきますとビジネス定型文な前置きを挟んで「お返事は近日中に必ず」と真摯な態度で請け負った。

内容までは聞こえませんでしたがあの時のキャルム・ドニエの顔は正直まあまあ見物でしたね―――――とはその際の現場に居合わせたとある少女のコメントである。


耳は塞いでもちゃんと監視はしていてくれる律儀なディディエ(巻き込まれている)

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