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真珠湾攻撃、そして豪州東海岸砲撃  作者: ぼむぼむぶりん
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第一章 長い1941年 第二話 暁の真珠湾

真珠湾付近に長居したらどうなるかって話

12月8日黎明、世界最大の機動艦隊(+長門陸奥)は淵田大佐率いる第一次攻撃隊を発艦させた。

長門艦橋からそれを眺めていた山本は空中集合した攻撃隊を見ながら感慨に耽っていた。

「米国相手とは言えこの編隊を見るとわずかながら趨勢に希望を持ってしまうな」

山本の呟きは艦橋にいたものたち全てが聞き取っていた。だがしばらく誰も返事をしなかった。大反対だった日独伊三国同盟が結ばれ、これまた大反対だった米英との戦争に突入してしまったことを、やはり悔いていたのだ。それを多少紛らわすために溢れでた言葉だった。司令部の面々はそれを理解していたからこそ、山本に何も言えなかったのである。

誰も言葉を返さない状況に苦笑いしながら、場を紛らわそうと山本は冗談を言った。

「航空隊の攻撃が成功したら我々もハワイ旅行でもするか」

ようやく笑い声が上がった。最初に笑ったのは黒島参謀であった。それに続き段々と艦橋が笑いの渦に巻き込まれていった。……一人を除いて。

宇垣だけがその黄金仮面を崩さず、ハワイ旅行の意味について考えていた。艦橋内の笑いが収まってきた時、宇垣はふと思いついてしまった。

「山本長官、意見具申であります」

「どうした参謀長殿」

これは皮肉であった。連合艦隊参謀長という肩書きを持ちながら、なんら参謀らしい業務もせず、黒島の案に対し首肯するだけのあかべこと化していた宇垣が、作戦が始まってから急に意見具申をしてきたことに、山本は訝しんだ。

「長門で真珠湾を砲撃しましょう」

「……君は正気か?」

「長官にあてられまして、どうやら小官も博打が打ちたくなったみたいです」

「なるほどね」

山本は思案した。航空部隊の攻撃目標は第一に敵艦船であり、それ以外の設備については二の次であった。やはり航空機と違い戦艦というのは火力投射力が違い、さらにはその巨影をハワイの住民に見せつけながら艦砲射撃を敢行するというのは、心理的なインパクトを与えるという点で有効な手段と思われた。

「よかろう。直ちに詳細案を検討してくれ。航海参謀と真珠湾への経路を算出しつつ、弾着観測ができるよう観測機の護衛を小沢君に要請するように」

「はっ!」

宇垣はおそらく連合艦隊参謀長になってから最も大きな声出し、丁寧に敬礼をした。

第一次攻撃隊は事前の作戦通りに真珠湾に停泊している艦船を攻撃した。

トラトラトラ ワレ奇襲ニ成功セリ

長門でも攻撃成功の電文は受信された。

「どうやらやったみたいだね」

艦橋は歓声に包まれた。山本も顔を綻ばすが、すぐさま思考を切り替える。

「まだ成功したとは限らないよ。真珠湾に戦艦と空母は何隻いたかわかるか?」

しばらくして戦果確認をしていた淵田中佐からの電文が受信された。

「空母はいなかったか」

「ですが戦艦部隊の大半は撃沈した模様です」

「この時期に空母がいないとなると、航空機輸送任務中か?」

「その可能性が高いと思われます」

「となると付近にいるかもしれないな」

「長官! ここは敵空母部隊の捜索と撃滅は小沢中将に任せて我々は真珠湾にとどめの艦砲射撃を行うべきと具申します」

「そうだな。第二次攻撃隊の戦果確認次第ではあるが、そのようにしよう。小沢くんに連絡してくれ。それと三川くんの第三戦隊にも連絡だ。四隻でやってやろう」

その後、第二次攻撃隊の戦果が上がってきたが、飛行場攻撃と在泊艦艇の攻撃が成功したと言うだけで、設備に対する報告は上がってこなかった。

「やはり設備はまだ残っているか」

「そのようですね」

「では、」

「そうだな。真珠湾の港湾設備と燃料タンクなどを砲撃する」

そして第三戦隊の比叡、霧島と共に長門、陸奥は真珠湾へと砲口を向けた。

「宇垣くん。砲撃指揮は君が取りたまえ」

「自分がよろしいのですか?」

「君の作戦だ。それに君が一番やりたがっているようだからね」

「はっ! ありがとうございます!」

宇垣は再び最敬礼をし、砲撃の指揮をとった。

「目標、真珠湾、砲撃開始!」

長門、陸奥、比叡、霧島の四隻はそれぞれ真珠湾へと砲口を向けて砲撃を開始した。上空には一航艦から派遣された零戦二個中隊が敵航空機が出現しないか見張っていた。零戦に守られた零式観測機は弾着観測をし始める。

航空隊が使った41cm砲弾改造の800kg爆弾の威力は絶大だったが、それを一斉射するたびに八発打ち込むのだからやはり戦艦というのは火力投射量が別格である。アリゾナをもう数隻爆沈させられるほどである。

あらかた港湾設備を砲撃したら、次はついでとばかりに転覆している戦艦群にもとどめとばかりに砲撃がいく。もしかしたら浅い港で沈んだおかげでサルベージできたかもしれないこれらの艦船も、大半が鉄屑となっていく。

こうして砲撃を繰り返していると、不意に真珠湾とは真逆の方向から編隊が現れ、零戦がそこへと急行していく。

「敵の空母艦載機か」











引き抜かれまくった第一艦隊はスカスカで高須中将は割りを食ってます。編成や人事は詳しくないんですけど南洋艦隊を南雲中将に率いてほしかったので高須中将じゃなくしたんですけど、まあ架空戦記ということで。そういえば第四艦隊という管轄範囲広いくせして所属艦艇が少な過ぎて割を食ったところがありましたね。史実珊瑚海海戦において井上中将がそこまで失態を犯したかと言えばそうでもない気がします。せめて二航戦がいたらね……あ、今度この話書いてみます

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