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0話…的な? 1話


  丑三つ時を回ったころ、断崖絶壁の崖の上で少し長い前髪をした、ギャルゲーの主人公のような無個性そうな少年がいた。海風が激しく、波が岩にあたり水しぶきが少しかかりそうだ。夜空を見上げるとボチボチ綺麗な星空が見え、月は雲に隠れ光が少し漏れてきている。


 地獄のような劇坂をママチャリで登ってきたときの汗は乾き、少し肌寒いはずがそんな様子は微塵も感じさせずに黒のカーディガンをなびかせただずんでいた。

 

「そろそろじゃないかな…」

 

 彼はそうポツリと呟くと急に大きく口を開けて、尊大に高笑いを始めたのだった……

 

   そう……まるで『何か』恐ろしいものに取りつかれたように……


 


 なんちゃって~、なにか期待した?特に何もないよ!初めまして読者のみなさん。

 いや、もしかしたら視聴者の皆様かな、わっかんね。ごきげんよう!


 俺の名前は夜空 大輝(よぞら だいき)と申します。

 なんと明日から夢の高校生になるのです!

 ですがみなさんと同じように、この世界は残酷で夢も希望もありません。金髪美女の帰国子女のスーパー美少女や黒髪ロングのミステリアス美女、何故かなついてくる後輩に、赤髪ツインテールのツンデレ同級生(なんでツンデレの子って背が低いイメージなんだろ)が学校にいる可能性は間違いなくゼロ!!可愛い幼馴染も一切いない人生でしたさ。

 そして、そんな可愛い女の子が俺などにほの字になるなんてことは、ましてや複数の女性からアプローチされるなど四捨五入されていた0.4%がのたうち回って死んでしまうくらいありえない!

 魔法やキセキなんて使えるようにならないだろうし、忘れている記憶なんてものもない。異世界転生なんてもってのほかだろう。偏差値普通の県立高校だし。ありえないありえない。変に期待しないでね?


 別にネガティブってわけじゃあないんだよ?むしろポジティブに近い何かって感じ。ワクワクでこんな演出臭いところにまで来てるぐらいだしね。


 高校生活の予定は、陰キャとも陽キャとも適度に仲良くして、みんなに好かれるけど遊びに誘われないくらいがいいかなと思ってる。俺が予想できないような変な性格の奴とは仲良くしていきたいな。飽き性だけどそういうタイプなら長く付き合えるし。振り回し合うぐらいの関係が好かな。狂人でもOK

 部活はどうしようかな~。どうせなら何か作りたいな、SOS団的な?通じるかな。

 

 やっぱり自己紹介って大事だよね~。叙述トリックなんて言葉があるくらい視点って大切だしね。

 よく、最初にストーリーやキャラ説明をする作品はダメだという人がいるが、甘く見てほしい。

 きっとこの物語を紡いでるやつがいたとしたら、そいつは間違いなく初心者だし。俺みたいなのが主人公を張ってるぐらいだからな。

 特技は特にないかな。クズ親のせいでバイト漬けの生活をしてて、何でもできるスーパー不幸人間だったりしない。ほんとに何にも熱中してこなかった人間だから、なにかひとつでも特技があるやつはシンプルに嫉妬しちゃうね。しいて言うなら世渡り上手かな、悲しっ、それでも主人公かよって感じだよね。


 座右の銘は、中二病的に言って「メメント・モリ」

 中学2年生以降の方なら聞いたことがある方も多いんじゃないかな?

 「食べ、飲め、そして陽気になろう。我々は明日死ぬから」ってアドバイスが元らしい

 wiki引用  ←これ言ってみたかったんだよな。 つまり今を楽しめって感じ。

 

 だからこそ、刹那を楽しんでいくのに幸せを噛みしめる的なのはあんまりいらないかな~と思ってるから期待しないでね。あったら普通にうれしいけど、うれしいけど!なくていいって感じかな。うちの家族はみんなこんな感じだったから血の影響が強かったのかね。

 

 ひどい中二病の過去とかはないけど、一時期頭の中はいつでも能力持ちだったことはあったなー。今じゃそんなにだけど中二病ワードセンスは未だに好きだったりするんだけど。


 あとなんかあったかな~説明。

 あ、血液型はO型!血液型占いってデマらしいけど俺大雑把だからあってるんだよね。家族構成は父、母、弟がい「おーい、そこの君何してるの。こんな時間にこんな場所で、危ないよ」

 

 おやおや、警察の方だ。まあこんな時間に一人で崖の入ってはいけない紐の中ゾーンにいたら、そりゃ通報の一本もくるか


 「すみませーん、思春期によくある感じのやつなんで、自殺とかそんな感じのじゃないんで心配しないでください」


 「心配以前に、未成年がこんな時間に外出してはいけないのを知らないわけないだろ」


 てへ


 「まあ、どうせ入学式前日で気分でも高ぶってたんだろ?おじさんにもそんな時期があったからわかるよ、早く帰りなさい。今回は学校への連絡は見逃してあげるから。」


 ラッキー♪長話聞かされるパターンかと思ったわー。時々いる緩い感じの人で良かった~


 「あ、けど親御さんには連絡させてもらうよ?お父さんかお母さんの電話番号は?」


 ゲゲッ、マジかよ 

 

 「はーい、分かりました。……どうぞ~」


 なんか色々話してるなー。普通に親も注意されるんだな。


 ふー、危ない危ない、まあ入学初日に呼び出し食らうくらいなら親に連絡くらい我慢できるし。

 

 父親にもこっそり抜け出すぐらいじゃ怒られんだろ。



 「お話は終わったよ。お父さんかなり怒ってたから早く帰った方がいいよ」

 

 うへぇぇぇ、どんな怒り方するんだろ、怖いなぁ。


 「はい!夜中にはもう出歩かないようにします。失礼しました」 

 

 急いで帰ろ。ここの坂降りるとき滅茶苦茶気持ちよさそうだったのに、気持ちが怒られる予定入っちゃって億劫だよ。こんどはバレないようにこなきゃだな。

 あ、明日の準備とかもなんもしてないや。めんどくさいなー。






 静かになった崖の上に煙が立ち上っていた。そのふもとには先ほどの警官が一人残って仕事をさぼっていた。

 彼の頭はさっきまでここにいた少年のことを思い浮かべる。普通の子なら警察官の服を着た人に話しかけられたりしたら、悪いことをしていなくてもビビるものだが全くビビッていなかった。慣れていたのだろうか。


 ピロン♪


 同僚からの連絡だ。「さぼってないで戻ってこい」とはよく俺のことをわかってるな。  

 

 そういえば。さっきの子ども、笑顔で元気もよさそうだったから面倒な手続きはしなかったけれど、俺が話しかけるまで誰かと話していたような気がするんだよな。

 街灯もなく深夜真っ暗な中で電話していたもんだと思ってたが、翌々考えればスマホで電話していれば逆にわかりやすいのか。画面の明るさで……ならば彼は誰と話していたんだろう。独り言にしては説明口調で長かった気もする。不気味なもんだ。


 見回りの続きをしながらあれやこれやと考えてはいたが、彼の今後にはもったく関係のない話。交番に戻る頃にはこの事実を知るものはこの世からいなくなっていた。


 


 


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