プロローグ兼あらすじ
あらすじはある程度、次に投稿する話にも入れてあるのですが、それでは足りないと思いこうして別物として投稿させてもらっています
向坂日向 年齢は恐らく20代前半、男性。
彼には幼少期の記憶がなく、血縁関係のある人間も居ない。
日向は、「アラハバキ」と呼ばれる異形の力を備えている。
肉体の奥底に眠る身体機能を極限まで引き出し、並の人間には到底並び立つ事の出来ない身体能力を会得し、異形の者と戦う彼の特殊能力の様なものである。
アラハバキは特定の人間に備わる異能の一つとして世の中の有識者によって認知されている。アラハバキとはその名称だけでなく、その状態に人間が形態変化するという現象としても使われる名詞だ。外見上で言えば、肉体の内面に存在する人間で言う骨が膨張して全身を包み、肉体の強度を飛躍的に向上させると同時にあらゆる生物への殺傷能力を高める。
残虐性が向上する代わりに手に入れるそれは、心だけでなく、見た目ですら人間と認識出来なくなる程の変貌である。
この物語は異形の力を持つ、日向と彼を支える者たちの物語である。
日向は康本秋という芸能界のプロデューサーに日本が全国的に豪雨となった日、とある街の裏路地で血塗れになった白いシャツに黒いズボンの姿で項垂れていた所を保護され、日向は彼の保護下で高校生まではどこにでも居る様な少年として青春を謳歌していた。
しかし、そんな日向の生活はある事件を発端に一変する。
父替わりの秋の職業は芸能界プロデューサーの中でも頂点に君臨し続けるアイドル業界のプロデューサーだったのである。
日向の数少ない友人たちも知るほどの有名プロデューサーの秋は50代にして新規アイドル事業を始めていた。20代の頃にも同様のアイドル事業で財を成した彼は世間で名前を出せば一般人でも認知している程度の有名人にもなっている。
そんな秋は幼少期から生活をともにしてきた日向にある頼み事をした。
秋が50代に入ると同時に立ち上げたアイドル事業。後に四季系と呼ばれるグループの発端、春華を立ち上げた際に秋は日向を春華グループのアイドルたちの警護や雑用を任命する。
理由としては、秋の唯一の家族でありながら人並の身体能力を持つ日向を最も信頼出来るとして彼女たちの事を一任したのだ。
プロデューサーではないが、グループのメンバーは最年長でも20歳のグループだったため、彼女たちも接しやすいだろう。という考えの下だった。
そこで日向は、春華のセンターを任命されていた黒岩麗衣によってどこにでも居る少年ではなくなってしまう。
麗衣は年下の日向の言う事を聞かず、ある日自分が置かれた状況を受け入れる事が出来ず、深夜に自宅を飛び出して行方不明になってしまった。その事を他のメンバーに知らされた日向は即座に事務所を飛び出し、麗衣の捜索に乗り出す。
彼の尽力により麗衣の発見は出来たものの。発見したと同時に彼女が何者かに襲われている場面に遭遇してしまう。
麗衣を襲っていたのは、人の形はしているが、真白な仮面を付け両手が刃物になっている化け物だった。後にその化け物も日向と同様、アラハバキというのが判明する。
自分の命は秋によって救われた本来は現在にない命と考えている日向にとって、最優先は自分の命よりも麗衣の命を最優先に考えた。彼は化け物に躊躇なく体当たりを慣行し麗衣を救出。
命からがら二人は化け物からの逃走に成功する。が、逃走したのも束の間。二人はその化け物に再度襲われ、日向は化け物に心臓を貫かれてしまう。
しかし、日向は心臓を貫かれても尚、立ち上がり、化け物を退ける事に成功する。この時、日向の肉体はアラハバキの特性を得てそれから春華のメンバーとより深い関わりを持つことになった。
春華の人気も世間での絶頂を迎え、世間にもメンバーの知名度が急増した時期に、秋が新生グループ夏華を設立。
春華設立から4年の出来事で春華設立から丁度4年の時を経て夏華は康元秋プロデュースの下、21人の少女が日本全国から選出される。
たが、日向は春華の警護の任を解かれ秋から束の間の休息を貰い、春華のメンバーたちとの思い出に浸りながら、疲弊した精神とアラハバキの酷使によって所々軋んでいる肉体の休暇という名目で悠々自適な日々を送っていた。
あまりにも呆けた生活に近い自堕落な日々を送り、1週間ほどして秋が日向の肉体を一任されている専属トレーナーに別荘付近に存在する食事処を紹介される。その食事処で春華のメンバーと通話越しに食事をしていた日向はレストランの外から少女の悲鳴を耳にする。
春華警護の任を解かれ、新設グループである筈の夏華の警護を任命されなかった事に若干の疑問を残していた日向は予め秋の事務所に居る人間たちへの聞き込みや履歴書の閲覧を独断で行い、夏華のメンバーをそれなりに調査していた。と言っても本人たちに会合するのではなく、メンバーの家柄や人間性、経歴を知りたいという知的好奇心が呼んだ自己満足程度。
秋に興味本位で聞いた情報を日向は思い返す、耳を劈くような悲鳴を上げている少女は何を隠そう夏華のメンバーの1人。短岸はるだった。
レストラン内からでも視認できたのは彼女がアラハバキに襲われているという事と、この状況に際しても周囲の人間が彼女とアラハバキに日向以外気付かないという事もあって自分の容態を確認しながらも日向は、はるを救う為に再び、アラハバキの力を振るい、彼女を襲ったアラハバキを退かせる事に成功する。はるとの出会いを切っ掛けに日向は夏華の警護を志願し、秋もそれを承諾。
日向は晴れて夏華の警護係となり、メンバーたちと関わっていく、下積みという期間が無く右も左も分からないメンバーたちに日向はマネージャーの秋以上に今まで見てきた春華のメンバーたちの話を交えながら彼女たちにアイドルのいろはを教えていく、メンバーによっては日向の事を先生と呼ぶものも居た。
しかし、運命というものはいつも気まぐれで、春華警護期を超える苦しみが日向を待ち受けていた。
秋は日向にさえも内密に人間をアラハバキに進化させる薬を他企業との提携により製作。事務所で厳重に保管していた筈の試験薬を当時、夏華メンバーであった坂手友理によって持ち出され、メンバーの複数にその試験薬が出回ってしまい、数人が意識不明の重体。はるもそのメンバー内に入っており、アラハバキ試験薬の副作用に耐える事が出来ず、アラハバキと化したはるは、夏華のメンバーを襲ってしまう。
日向がその現場に駆け付けた時には、はるは完全にアラハバキ化してしまう。彼女との生活、メンバーの事を考えた結果。日向は葛藤の末、はるを殺害することを決意し、彼女を完全に抹殺した。最後に瀕死のはるから、自らを抑止し、メンバーを守った日向への感謝の言葉とこれからの夏華を案じる言葉を日向に送り届け、そっと彼女は息を引き取った。
この事件の発端はアラハバキとの日々繰り返される連戦によって日向の疲弊を知った友理が、警護されるばかりでは駄目という意思を持っていた事。更には試験薬の存在を秋が友理に話していた事が原因で起こった事件である。
夏華は春華と違い、短岸はると坂手友理による2人がセンターを務めるグループで運営からの目に見えての贔屓と思われる様な行動はファンからだけでなく、傍からグループを見守る日向にとってもそう見えている。
故に日向は警護係だけでなく、2人を含めたメンバー全員のメンタルケアも行うカウンセラーの様な存在にもなっていた。
春華のメンバーを一番近い距離で見てきた人として、夏華の1人のファンとしてグループの在り方を日向自身が秋へ苦言を呈した事もあり、秋の冷徹なグループ運営に呆れ果てていた所に起きた試験薬の事件だった。
はるの死去と友理が自分の行いに責任を感じ、グループを脱退した事により、秋自身もグループに対して自暴自棄になり、夏華解散を提案したほどである。
その時、日向は人生の恩人と言えど、あまりに他のメンバーの事への思慮が足りない。と、拳を握り彼に殴りかかろうとしたが、拳を降ろし彼に向かって土下座をした。グループの存続と死んだはるの為に、彼の人生初の土下座であった。
日向の土下座に感銘を受けた秋は夏華解散を取り止め、新グループとして新体制を築き上げる事を日向に誓い、彼に休暇を指示する。
再び秋の別荘に待機の状態になった日向は春華のメンバーの躍進を各メディアで集め、夏華メンバーを心配する気持ちばかりで落ち着かない日々が続いていた。
再び訪れた自堕落な日々。日向にとって外出の用事と言えば買い物か墓参り程度になっていた。
誤字脱字あるかもしれませんが何卒よろしくお願いもうしあげます!!!!!