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滅鬼の刃  作者: 大橋むつお
41/47

41:テレビの音

滅鬼の刃 エッセーラノベ    


41『テレビの音』  





 久しぶりに電話をするとテレビの音がしました。



 日がな一日テレビを点けているのは還暦以上の年寄と相場は決まっていますが、年寄ではありません。


 孫の栞に電話をしたのです。


「えぇ、なにぃ……(-_-;)?」


 のっけから不機嫌です。


 まあ、前回は白内障と網膜裂孔の付き添いの面倒をかけたので仕方のない反応です。


「じつは……」


 用件を述べると不承不承納得してくれたのですが、そのことは別に稿を改めたいと思います。



 今回の話題は、点けっぱなしのテレビです。



 栞は引き取った時からテレビを点けっぱなしにする癖がありました。小さいテレビを捨てずに置いていましたので、それを自分の部屋に持ち込んで点けっぱなしにします。


 これについては、冷やかしたり話題にすることはしませんでした。亡くなった武者も知っていましたので、栞にその話題を振ることはしませんでした。雑駁な元教師でしたが、そのあたりの機微は心得ていました。


 栞にとって、テレビの音は自然な環境音なのです。


 栞の両親は、一日リビングのテレビを点けていました。


 どちらかと言うと両親には反抗的な子だったのですが、親への気持ちとテレビは別のようでした。

 学校などで面白くないことがあった時、親がうっとうしい時、そういう時は意識を遮断してテレビを観ます。時には音だけを聞く。そんな感じです。


 狭い家の中で、自分一人の意識に潜り込むには、いいガジェットなのでしょう。


 わたしや武者が若い時はラジオでした。


 ツケッパのFM放送をイヤホンで聞きながら気の乗らない勉強をしていました。『オールナイトニッポン』『セイヤング』、ちょっと渋いところで『ジェットストリーム』。

 ラジカセでしたので、友だちにコピーしてもらったフォークやサントラを繰り返し聞いていたこともありますね。

 テレビの『11PM』の時もありましたが、テレビは、とくに『11PM』などは観てしまうので、主流はやっぱりラジオでした。


 で……そうそう、栞のテレビです。


 栞にとってテレビは――親が自分たちがリラックスするために点けていたもの――で、いわば親たちの団欒のための仕掛けです。


 だったら、気にそまない親たちと同じ団欒の中に居るのは苦痛にはならんのでしょうか?


 点けている番組もバラエティーが多くて、次にニュース、天気予報。同年配の子たちとちがってアニメはあまり見ないのですが『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとり言』はオンタイムで観ていました。そのいくつかのアニメを除けば親たちが点けていたのと同じか同種の番組です。


 わたしの両親もラジオは聞いていましたが、のど自慢やラジオドラマ、ニュースや天気予報、演芸番組、わたしが生まれる前は配給情報などを聴いていたそうです。


 わたしがラジカセで聞いていたのは、どういうくくりになるか分かりませんが、いわゆる深夜番組。パーソナリティーのトークと視聴者のハガキ、リクエストでかかる流行の音楽。ニュースや天気予報も深夜放送の番組で流れるもので、けして通常のニュースや天気予報などは聴きませんでした。


 ところが、栞は、自分が嫌いだったはずの親たちが観ていたのと同じ、同種の番組にチャンネルを合わせています。


 うまく表現できませんが、感覚が違います。


 そのへんに拘って、電話の顛末と合わせ、もう一度書いてみようと思います。




☆彡 主な登場人物


 わたし        大橋むつお

 栞          わたしの孫娘 

 武者走       腐れ縁の友人(35回より故人)


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