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異世界刑事  作者: project pain
シーズン1 異世界での捜査
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■エピソード55 呪われたナスティ

−−大通り


「待てコラッ!」


三人はギルドからの任務(クエスト)で強盗を働いた犯人を追っていた。今し方潜伏先を突き止めて、逃げている犯人を追いかけている最中という訳だ。




「ナスティちゃん!捕縛の呪文だ!」


「分かった!」


[水の精霊ウンディーネよ 我が敵を螺旋の渦にて・・・]


ドクンッ!




呪文の詠唱中に何かがナスティの身体に衝撃を与えた。そのショックで急にナスティは倒れてしまった。


「おい、一体どうしたんだ?!」


次の瞬間、ナスティは呼吸が荒くなり、身体から大量の汗が出始めた。


「ハァ・・・ハァ・・・」


「ヒロ、ナスティちゃんの身に何が起きているんだ?!」


「これは・・・呪いにかけられたのかもしれない」


ひとまずナスティを抱きかかえて宿に連れていき、ベッドに寝かせてからギルドマスターを呼んだ。




−−宿


三人は膝をついてナスティの様子を見守っている。


「遠くからナスティを狙って仕掛けた可能性ありますね」


「ヒロ、ナスティちゃんにかけられた呪いってのは大体どの位持つんだ?」


「具体的な時間は分からないが・・・この状態から考えて12時間って所だろうな」


「ハァ・・・ハァ・・・」


ナスティは苦しそうに息をする。顔は汗でぐっしょり濡れていた。


「ギルマス、ナスティちゃんを頼む」


眉間にシワを寄せて二人は立ち上がる。


「呪術師に当てはあるんですか?」


「ないけど、このまま黙って死ぬのを見ているだけよりはマシだ」




−−大通り 残り12時間


「どこから手を付ける?」


「ギルドだろうな。呪術師のリストを当たろう」


「分かった」




−−ギルド 残り9時間


「呪術師で登録されているのは二名だけ」


「随分人気がないんだな」


人気がない理由として呪術師向けの任務(クエスト)が発生しないから収入がないというのもあるのだろう。ただし、これはギルドに登録されているのが二人、というだけである。未登録者の数を合わせるとどの程度の数になるのかは想像できない。


「ひとまずこの二人を洗ってみるか」


「そうだな」


二人は登録名簿を頼りに呪術師の家に向かった。




−−宿


「二人に任せて大丈夫。きっと何とかしてくれるよ」


汗をかいた顔を濡らした布巾で拭い取る。




私は夢を見ていた。カズとヒロの世界に自分が行く夢。カズとヒロは別々の所に住んでいて、私は一週間ごとに二人の家を交互に泊まりに行く。あの二人なら襲ったりしないから大丈夫だよね。しばらくは二人の世界になじまないといけないから、いきなり仕事するのは無理かな?家でゴロゴロするのは嫌だから外の散策はしたいな。向こうの服ってどんな感じなんだろう?色々見て回りたいな。二人の格好みたいなのが普通なのかな?あ、二人が家のドアを開けた時に見せるあのバッジは欲しいな。こっちの世界では酒場とか飲食店ばかりのご飯だったから、二人の世界では頑張ってご飯作ってあげたいな。二人とも喜んでくれるかな?二人の好きな食べ物ってなんだろう?食べる時はやっぱり三人一緒がいいな。




−−大通り 残り7時間


「どちらもシロだったな」


「呪術といっても人の生死に関わるレベルじゃなかったとはね」


二人は完全に行き詰まっていた。


「仕方ない。酒場に行って情報収集してみよう」




−−酒場 残り6時間


「呪術師ねぇ」


酒場のマスターは考え込んでしまった。


「何か手がかりになる情報がほしいんだ。何でもいい。教えてくれないか」


「今ナスティちゃんがかかっている様な呪いの事だろ?あんなの見た事がないよ」


マスターは完全にお手上げといった感じだ。


「そうか・・・マスターでも情報がない」


「すまないね。何の助けにもなれなくて」


「いや、いいんだ。ありがとう」


二人は再び外に出た。




「呪術師なら大通りの様な人目につく様な場所にはいないはずだ。裏通りを調べてみよう」


二人は裏通りを当たってみる事にした。




−−裏通り あと5時間


二人は呪術師がいそうな場所の特定を急いだ。しかし、どの家も同じ様に怪しく見えてしまう。二人は完全に混乱してしまっていた。


その時、上からジーナが飛び降りてきた。


「ジーナ!」


「面白い話がある。この界隈で怪しげな呪術をやるダークエルフがいるという噂があってな」


「ダークエルフか。それならナスティちゃんを狙う動機になる」


「間違いなくそいつだ。案内してくれ」


「分かった。付いてこい」


二人はジーナに誘われるまま後を付いて行った。


「しかし不思議なもんだな。いつもならすぐに消えるジーナが今日は道案内をしてくれるなんて」


「道案内だからな。用が済んだら消えるさ」


「ジーナは普段は任務(クエスト)をやっているのか?」


「そんな事を知って何になる?」


「気になるだろ」


「・・・・・・」


ジーナは黙り込んでしまった。


「カズ、余計な詮索はするなってさ」


しばらく三人の間に沈黙が続いた。


「着いたぞ。ここだ」


ジーナは裏道を通った先にある一軒だけ離れた家の前に立った。


「ありがとう。助かった」


「じゃあな」


ジーナは屋根の上に飛び上がってそのまま姿を消した。




−−呪術師の家 残り4時間


「突入するぞ」


弘也(ひろや)はドアを開けた。それと同時に和司(かずし)が拳銃を構えたまま中の様子をうかがう。


中にいたのは男性のダークエルフだった。


「遊びは終わりだ。術を解いてもらおうか」


二人は拳銃を突きつけた。


「わ・・・分かった。分かったから殺さないでくれ」


ダークエルフの呪術師は術を解いた。ナスティが目覚めたのはその数分後の事だった。


この世界ではギルドに登録しないと魔法や術の使用が禁止されていて、使用した者は重罪となり、即逮捕される事になっている。二人は手錠をかけ、役人の元に連れて行くことにした。




−−酒場


「はぁ、何かいい夢見た気がする」


「どんな夢だったんだ?」


二人はテーブルに肘をついてナスティの話に耳を貸す。


「う〜ん、覚えてないっ」


テーブルについていた肘をガクッと落とした。


「あ、一つだけ覚えているよ。二人がドアの所でいつも見せているあのバッジ。私も欲しいな」


「え、これ?」


二人は警察手帳を取り出す。


「うん、これ!」


「うーん、レプリカならこの世界でも作れるんだろうけど・・・ねぇ」


「本来は警察官しか持っちゃいけない物なんだよ」


「や〜だ、欲ーしーい」


ナスティは和司(かずし)の警察手帳を引っ張り始めた。和司(かずし)も負けじと引っ張る。


やれやれ困った。駄々こねだしたよ。子供か。

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