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異世界刑事  作者: project pain
シーズン3 新たなる捜査
114/664

■エピソード112 スライムを用いた犯行

−−ギルド


いつもなら事件が起きると現場に直行する様に言われるのだが、この日は珍しくギルドマスターから呼び出しを受けた。


「ここ最近スライムを使ったと思われる犯行が三件確認されています」


「スライム??」


和司(かずし)弘也(ひろや)は半笑いした。


「スライムってあのスライム?」


「雑魚キャラで有名な?」


二人のリアクションにギルドマスターの表情が鬼の形相に変わった。


「何を言っているんですか?!スライムは短時間で増殖し、形状を変化してどこにでも潜伏して待ち構え、知らないうちに人を襲い、肉体を吸収して骨だけにしてしまう最も厄介なモンスターの一種なんですよ!ナメてかかると痛い目に合うんですからね!!」


「あ・・・はい」


なんとか笑いをこらえる。


「それで、スライムだっていう根拠は?」


「三件とも遺体は完全に白骨化しています。それも一晩のうちに。スライムを除いてこんな事ができる物はありません」


「たまたま街にスライムが紛れ込んだだけじゃないの?俺達の出番じゃないでしょ」


「そう思って冒険者達に捜索任務(クエスト)を出したのですが見付けられないんですよ。ひょっとしたら何者かがスライムを操っているのかもしれません」


「操る・・・そんな事できるのかねぇ」


弘也(ひろや)は腕組みをして考え込んだ。


「被害者の共通点が知りたいよな。遺留品とか残ってないよなぁ」


「そう言うと思って回収しておきました」


ギルドマスターは小箱を三つ取り出した。


「用意のいい事で」


早速箱を開けて中身を取り出してみる。バッグと財布が入っていた。


バッグの中身はメモ帳、名刺、家の鍵、銀行の個人口座証明書。どの箱も大体同じ様な中身だ。


「二人は男性でもう一人は女性か・・・」


「名刺から察するにどちらも全然無関係の会社みたいだな」


「そもそも事件現場はどこだったんだ?」


ギルドマスターは地図を広げる。


「一件目の事件がここ。二件目はここ、三件目はここです」


地図の場所を指で指し示す。三つの事件現場はそれぞれかなり離れた所で起きている。


「ちょっといいかな。スライムは獲物を待ち伏せして一気に襲うんだよね。って事は最初から被害者を狙ってたんじゃないかな」


ここへ来てナスティがギルドマスターの話から被害者が狙われていた点に気付いた。


「狙ってた・・・何か殺す目的があるって事か」


今度は和司(かずし)が腕組みをして考え込んだ。


「とりあえず、三人にはこのスライム事件の解決をお願いします」




−−表通り


「とは言われた物の、一体どこから手を付けたらいいものか・・・」


「まずはスライムの事について知る事から始めようよ。私達スライムの事何も知らないでしょ」


確かにナスティの言う通りだ。ファンタジーの世界にくわしいはずの弘也(ひろや)でさえスライムの特性を理解していない。くわしい人物から話を聞く事から始めなければ。弘也(ひろや)は話し貝を押した。




−−酒場


三人は昼食がてらカーマイド達を呼んだ。


「あぁ、スライムの捜索任務(クエスト)ね。冒険者の間で話は聞いているよ。全く見つからないってね」


「どこに潜んでいるんだろうな?」


カーマイド達は深くため息をつく。


「スライムってのはそんなに厄介な相手なのか?」


カーマイドはフォークをテーブルに置いた。


「スライムはダンジョンの様な暗い場所の天井に薄く伸びた状態で潜んで、人が通ると一気に襲い掛かるんだ。気が付いた時にはスライムに包まれて窒息。そのまま溶かされるって訳さ」


和司(かずし)弘也(ひろや)は驚きの声をあげた。


「待て待て。そもそもお前達はスライムをどんな風に想像していたんだよ?」


カーマイドに言われて和司(かずし)はメモ帳にドラクエのスライムをスケッチした。


「こんな感じ」


見せた途端カーマイド達は大爆笑した。


「なんだこの土瓶みたいなの?!」


「やだ可愛い!」


その場にいた全員に口々にディスられる。普段無口を決め込んでいるアルジェールでさえ口元に笑みを浮かべる始末だ。こんな事なら見せるんじゃなかったと後悔した。


「それで・・・スライムを意のままに操るってのは可能だと思うか?」


「操るとはちょっと違うけど、元々スライムは暗くジメジメした所を好む習性があるから、それを利用してあらかじめ壺の様な物の中にスライムを入れておいて、人が通りかかった時に襲わせ、吸収が終わった時に自然に壺に戻らせるって可能性はなくはないと思うけど」


クリスはフォークを立てて皿をトントンと叩く。


「タコかよ」


「形状を変えられるとすると、もちろんスライムに物理的な攻撃は効かないよな。倒し方ってあるのか?」


「あるとしたら火だな。といっても一日中松明を持ち歩く訳にもいかないから、スライムが出そうな任務(クエスト)の時は灼熱の短剣を持っていつでも抜ける様にしておくんだよ」


「なるほど。あの灼熱の短剣か」


弘也(ひろや)は以前、下水道の鉄柵を破壊した時に使用された短剣の事を思い出した。


「分かった。何かあった時は・・・」


「いーや。今回ばかりは巻き込まないでくれよ。お前達に関わるとろくな事にならないからな」


それだけ言い残してカーマイド達は酒場から立ち去って行った。


「何だよ友達甲斐のない」


弘也(ひろや)はぼやいた。

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