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異世界調査隊 〜青年達の多種多様な冒険日記〜  作者: ディケー
第一章 冒険の備忘録
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第39話 情報

第39話 情報



「今から大体10年ぐらい前には空間の監督者は光の監督者である一族が統治するエルタネ公国の後押しがあって全ての世界を観測儀に収める事ができた。その後は魔物が多く出没する場所に足を運び、公国の人間と様々な魔物を討伐していたんだ」



「何の為にだ? お前たちが戦争を仕掛けて他の属性の代表の国は他の国を守る事を約束したんだろ?」



 智の言葉に秋宮が首を捻る。



「そう。その少し前にはそうなったんだけど、強い魔物の出現ペースが早かったから駆り出されてたんだ」



 よっぽどそれが面倒臭かったのか溜息を吐きながら想いを馳せていた。



「俺もその中の一人にいて、そこで幼少期のガルデに出会ったんだ」



「兄はなぜ智さん達のキャラバンに同行していたのですか?戦闘力が目的ではありませんよね?」



「流石に子供を戦わせなきゃいけないほど困ってはなかったね。光の魔力って言うのは火や水の自然系の魔力とは違って肉体をなんらかの方法で強化する特性があるから治療要員で来て貰ってた」



 頭を使う事が大嫌いで、強化する対象を自身に施し御前試合で歳上の他の貴族をボコボコに素手でのした時の光景が思い出されるのだが、そんな兄が繊細な作業が必要な治療要員として呼ばれていた事に笑いそうになる。



「そして特異点の分析が終わって世界が不完全な状態で強い魔物が連続発生するのは闇の民が関係してるかもって結論になり、観測儀を使い、闇の世界がある場所を特定し、魔物を倒しながら追い続けていったんだ」





「追い続けるってどこか別の場所に行ってしまう様な表現だけど一体どう言うことなの?」



 巳波が首を傾げながら聞く。さっき見た観測儀では動く点はあれどどれも規則正しいく動いていた。動きを先読みすれば簡単に追いつけなくもなさそうだったので疑問に思った。 



「闇の世界ってのは、世界でありながら世界じゃない。世界と世界の間をぐるぐると回っている。だから、闇の世界からの魔力からの残滓を凶暴化した魔物から抽出し、サンプルを集め探し出す必要があったんだ」



「闇の世界を見つけ出してどうするつもりだったんだ?世界を滑る空間の力を使って、侵略でもするつもりだったのか?」



 血生臭い発言を能田がサラッと口に出す。



「一言で言うなら今後世界をどうするかの交流を持ちたかった。で、そこで一つの大罪を犯してしまった」



 鍋を混ぜる手から手を離し、カナが代わりに鍋をかき混ぜる。ヘラだけでもかなりの重さがあるのか手をプルプルさせながらも健気にかき混ぜる。


「大罪?それは兄を殺した事なんですか?」



 カナからヘラを受け取り人差し指で軽くなぞる。すると自動的にヘラが鍋を掻き混ぜるようになった。



 そして、智が由加里の質問に答える。



「近からずとも遠からずって所かな。大体は合ってる。だけど、状況はどんどん複雑になっていく」



 鍋に顔を写し込み、消えては水面に映る自分自身を見つめた。どれだけ切にここから存在自体を消したいから自身でも分からない。真実は知りたいのだが、それを聞いたら元のような関係には絶対戻れない。座っている横長の丸太に添える手が体の芯から冷えて血の気が引いていくのが分かる。


「調査中に闇の世界と思われる世界の境界面に行きつき、簡易的な転移門を開こうとしたんだけど、どうもうまくいかなかった。中を知ることもできなかったから境界面を見つけたとエルタネ公国に伝え同盟国とも議論した結果、なんらかの情報が得られるまで調査する事になった。だけど俺は、相反する世界に門をこじ開ける事なんて無理だって知っちゃって、何もしないで遊んで暮らしていた」



「何で無理だって怖気付いたんですか?」



 ここまでさほど存在感が感じられなかった田代が口を開く。



「自分で言うのもなんだけどね。俺はまぁ、天才だった。一度門を開こうとした時にこちら側とは違う異質な相対的な魔力を感じた。水の中に火を入れても相殺しちゃう。そんな現象が現象がここで起こっていたんだ」



「じゃあ、一体どうやって?互いに干渉できないなら私の国を陥れる事はできない。何かあったんですよね?」



 分かり切っているかのように口を動かす。



「光の世界同士はそれぞれ循環している力の波で繋がっている。それを頼りに自分の空間の魔力を流して空間を拡張させるんだけど、闇の世界からは結果的にこちらを毒す波が送られて来てはいるけど一方通行なんだよね。だから、その送られて来ている波を強制的に体に押しとどめて両方の性質を持つ魔力を作った。まぁ、身体にはかなり負荷が掛かってるんだけどね」



 カナを膝の上から抱き抱えて下ろす。寝巻きの上の裾をめくり上げ、脱ぎ捨てたのだがその身体には火傷のように黒く爛れた火傷の様な痣が鮮明に刻み込まれていた。肉体に刻まれた傷は男の勲章などともてはやす人もいるがそんな事を言ってられないほど痛々しく目を背けてしまいそうになるのだ。



 自分の身体を元に闇の世界との門を繋げてしまったことが大罪なのだと理解できた。


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