表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界調査隊 〜青年達の多種多様な冒険日記〜  作者: ディケー
第一章 冒険の備忘録
27/44

第27話 奇怪

第27話 奇怪


「哀れだな。あいつはいつまで猿山のボスを気取っているつもりでいるんだろうな」



 心地いい低音の声が低く響き、六人の青年が淵から落ちてきた。バラバラに着地するも一瞬で智の周りに集まり、背中に携えている片手剣に手をかけ臨戦体勢を瞬時に整える。



 男が4人に、小柄な女が2人。クリーム色の煤けた外套に身を包み瞬時に戦闘隊形を整えた。



「隊長、手筈通りに事が進みました。後は頭を潰すだけです」



 先程響かせた声の主が率先して報告を行う。外套の上からでも分かるぐらい筋肉が盛り上がっており、腰ほどまである赤黒い髪の毛を荒々しく靡かせ、抜刀。刀も血を求めているかのように赤く鈍い光を帯びていた。



「油断するな。まだ隠し球があるかもしれん」



 先程の大男よりも線は細いが青白い短髪の髪の毛に鼈甲の縁の眼鏡をかけ背中の柄に指を掛け、途中まで抜刀所で静止し、先程の大男を宥める。刀身は蒼く輝き、反対側が透けて見えるほどの薄さを持つ。



「難しい事嫌い。頭痛くなる」



 身長が低く、どちらかと言うと小動物のような容姿の女の子が口を開く。胸は身長以上に発達していた。髪の毛は黒髪でロングなのだが、所々に緑色の斑点がある。背中の刀を抜刀すると刃も峰も鋒もない柄だけが姿を表す。



「残りの非戦闘員は周りに被害が出ないようにしろ」


『『『はい』』』



 智の言葉に残りの茶色い髪の毛を持つ華奢な女の子、銀色の髪の毛を持つ男、所々に金髪を持つ黒髪の男の三人が声を揃え手を前に出し別々の詠唱を始める。



『時間凍結、洞窟内の保護、幻影結界の準備ができ次第司祭を叩く。心してかかれ』



 智のその言葉が終わるや光のミストが洞窟内に司祭や智、急に現れた六人が居る部分を除き充満していった。



 そのミストに触れると小さな傷などは個人差はあれど塞がっていった。治ると言うよりも再生していくと言う言葉がピッタリだ。


『何をした?』



『このミストはあんたの魔力で洗脳されていたやつから抽出した闇の魔力を分解し、体内の基礎耐魔力を向上させて身体を安定化させるもんだ。その魔力自体のあんたが触れちまったら命の保証はできないけどな』



 赤髪の男が外套を脱ぎ捨て抜刀し、一気に距離を詰めて司祭に斬りかかる。外套の下は黒い戦闘用のなが袖に鎖帷子を着込み黒いズボンを簡素なベルトで止める。多少の個人差はあれど基本はその装備。



 顔は狂気で歪みどちらかと言えば悪役と言う位置づけが近い。



「ヒィィィィ」



 懐に手を突っ込みカプセルを取り出し手で潰す。先程とは異なる異形の魔獣が出現した。



 ガッキーン



 猪豚に近い二足歩行の魔獣。鉄でできた防具と巨大な灘を振う。腹の部分はでっぷりと露わになっているが火花が散るほど硬化していた。



「何だこいつ。硬ってー!」



 腹を斬りつけ半ばで刃が止まる。最初は順調に切れていたが急に手応えが変わりそれ以上進まなくなったのだ。



「チッ、めんどいな」


 口の中から火を吐き猪の魔獣が怯んだところでバックステップを繰り出し、他の仲間がいる所に戻った。



「あーあ。刃が欠けちまったよ。川瀬、お前の能力で冷やしてくれ」



「独断専行するからだろ。その刀を俺に折られたくないなら能力で補強しろ」



 目の前に出された刃毀れした刀に自分の刀を振り下ろす。



「おっとアブね。仕方ないか」



「中坪はうるさいから静かにして。隊長、指示と対策お願いします」



 さっきまでバラバラだった視線が一つに集まり指示を求めるその姿には異様さを覚える。



「対象は司祭。空気を闇の魔力で強化し、足場にしたり炎での攻撃をしてくる。また、カプセルの中には操れる魔獣が空気圧縮されて入っている。一体の知能はそこまでではないが防御力が高く物理攻撃がまず効かない」



「先に言ってくれれば、刀を壊さなくて済んだのにな」



中坪がボソリと言う。



「いやー。お前の火力なら貫けるって思っていたんだけどね。前半のお前じゃ無理か」



 切断は無理だったとは言え、傷を付けた事自体に周りは驚愕していたがそう言われた本人は機嫌が悪い。



「何なんだお前たちは一体。何者なんだ」



「一族をお前たちに殺された後、俺は自分の世界に戻った。仇を取ることも禁じられたからな。大学を根城に魔力の素養がある者に魔力が帯びた食材を食べさせて、魔力を身につけさせた。その力は国内のボランティアに使おうと思っていたが、そんな時に国に追われた由加里に会ってお前たちに奪われた空間の魔力を持つ追手を見た。それで、個人的に由加里と力を合わせてこちらの世界に渡って戦力を蓄えさせていたんだよ!」


「糞、くそ、クソ舐めるなよ、小僧」



 身体中に仕込んだカプセルを取り出しどんどんと魔獣を出現させる。本能的に魔獣は洞窟内に充満するミストを嫌っている様でミストの中に居る調査隊メンバーの安全は保たれていた。



 しかし、魔獣の数は数秒ごとに増えていき自分たちはここから生きて帰れるのかと不安になりそれが人を通じて伝播していくのが見て居るだけで分かる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ