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異世界調査隊 〜青年達の多種多様な冒険日記〜  作者: ディケー
第一章 冒険の備忘録
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第15話 傀儡

第15話 傀儡


「まぁ、自我を残しておいた方が複雑な命令をしなくても動けるので、記憶を良い様に改竄して、自分を新しい国を作る為には手段を選ばないクソ野郎にはしましたがね!!」



「兄は私と違って小さい時から剣の稽古を受け、国の為にその身を捧げた」


 由加里がボソボソと鳥の鳴く様な小さな声で呟く。



「はぁ?何ですかね?囀る声が小さくて何も聞こえねーよ。育ちが良くて何も知らない鳥は良く囀りますね」



 耳に手を当て、聞こえないふりをしてそれを煽る。



「お前は兄さんの想いを踏み捻っただけじゃ飽き足らず国民を殺し、兄さんを殺して尚弄んだ。楽に死ねると思うなよ!?」



 今までに見た事ない様な激豪した剣幕を浮かべ、これまでに無いぐらい言葉に力が入る。



「そうだ。一人の勇姿を傀儡にし、自分は安全な所からリスクを犯さないで他の世界を侵略するなんてクソ野郎くたばれ!!」



 秋宮も自分の憤慨を言葉にし、由加里の言葉に感化された者達が武器を改めて握りしめる。抱いている想いは使命感よりも憤りに近い。  

 

 数ヶ月間とは言え、偽りの人格だったとしてもガルテ王に残った人格に触れ訓練を行い、食を共にした。裏切られたら絶望するぐらいの親しい間柄であるとは思っていた。



 なのに、不本意な形で傀儡にされ操られていると解ったのであれば取る行動は一つしかない。



「みなさん、私を目の敵のようにして酷いですね〜。それに勘違いしているみたいだ」



「どういう事?貴方の目的は兄と同じで東京がある世界線を侵略する事じゃないの?」



「記憶を良い様に改竄された馬鹿な王が調査隊として貴方達をこちらに呼び、こちらの世界のスキルを身に付けさせる。それを録画し、疲弊しきった所で貴方達を殺害して竜に殺されたと言って死体を返還。いくら強化した人を使えど役には立たないって事を証明し、同時に現代技術では異界の魔物に歯が立たない事実を見せつける。その上で生まれた時から魔力に触れていれば多少は可能性があるとか言って子供を物資と交換する政策を提案し、引き取った子供を国民として洗脳。ありとあらゆる世界線を支配する駒として使うってほざいていただけですよー。私自身は人畜無害です」



 ニッカリと薄っぺらい笑いを浮かべる。



「じゃあ、何で俺たちを襲う。お前の目的は一体何なんだ」



「魔法隊の隊長さん、そんなに声を荒くしないでくださいよ。男前が台無しですよー。私の目的ですか。一言でいうのであれば、世界を元の姿に戻す星の停止ですかね。お姫様ならこの意味わかりますよね?」



 星の停止、訳の分からない単語。しかし、一人だけはその意味を核心を知っていた。



「星の停止って本気で言っているの?あんなの御伽話でしかないのに」



「姫、星の停止とは一体?」



「私が答えて差し上げますよ。星の停止とは文字通り世界の停止の事で人が人を殺すことによって発生する憎悪の魔力で正常な魔力を汚し、世界の機能を停止すせる事です!全てを破壊した事を指します。平たく言えば、私の目的はすべての世界を破壊し尽くして、ありのままの世界にしたいんですよ。それができそうだったからこの方に力をかしただけの事。この方の根本こそが私が簡単に取り付けるほど邪悪なんです」



「でも、あんなのは童話の話で現実は...」



「本当にそう思っているんですか?元々異世界に通じる転移門だって御伽話でしかなかった。しかし、実在する。あながち完全な御伽話でも無いんじゃないですかね?」



 歯を噛みしめ、どことなくやるせない気持ちを押し込める。


「姫、その御伽話を教えてもらえませんかね?」


 秋宮が遠慮しがちに由由加里に聞く。


「この世界戦では誰でも知っていて、寝る前にお母さんに読んでもらう方有名な話です。欲にまみれた一握りのひとが色々な世界で暴れて幾つもの世界を滅亡に追いやり、かけがえのない人達を失うって言う御伽話です。協調性を小さな子に教育するための物なんですが、あいつはそれを人為的に起こそうとしている」



 不思議そうな顔を浮かべ黒いロープを靡かせながら口を開く。

 

 日本から来た人にしてみればイメージは湧かないものの、滅亡という言葉はよく分かる。


「本当に分からないんですか?世界は暗闇の中で光っている粒です。私達が生涯を捧げ、闇の世界で闇を生み出さなければ貴方達の世界は光ることすらできない。光の中で光は認識できませんからね。なのに、日々お前らは世界を平気で汚す。私達が生まれた時から時間も進まない空間で闇を生み出していなければ世界線自体存在できないのに感謝する事なく、当たり前のように。そして、闇の中にそんな汚物は不要であると世界は判断した。だから私達は人為的に星の停止を起こし、すべての世界を停止させ、ゼロにし闇だけの世界にする」



「本気でそんな事言っているの?一体それで何人の人が苦しむと思っているの?そんな事を平気にできる貴方は人じゃない!」



 ボロボロの体で必死に由香里が立ち上がり睨みつける。


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