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異世界調査隊 〜青年達の多種多様な冒険日記〜  作者: ディケー
第一章 冒険の備忘録
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第10話 理

第10話 理


『まずは、何故世界がそれぞれの異世界と繋がったのか話そうか。今からだいぶ前、世界線は一つだった。そこでは万能の魔術師が作った世界で争いもなく魔法や高層ビルが立ち並び色々な世界が混じったような所でね、どんな生き物も仲良く暮らしていた。よく世界創世記で語られる楽園に近いね』



 淡々と語り出し、小さい頃に読んで貰った童話を彷彿とさせる。退屈という訳ではないが、体の力が抜けてリラックスする。



『でも、万能の魔術師がある時居なくなりその七人の弟子たちが、空間、時間、水、火、風、土、光を生み出しその世界を維持しようとした。最初は維持できたんだが、その世界の人がどんどん増え空間が張り裂け、時間が平等な物では無くなり、水や火、風や土も闇に飲み込まれていった。七人の弟子がそれぞれ魔法の素養がある者を集めて、部分的な管理を担う監督者を置いても人には追いつけなかった。そこで、七人が世界を新しく作る。万能の魔術師が作った世界とは違い、様々な欠陥が生じる世界。その代わりに世界の壊れた部分を修復させ、拡張させる機能を持った模倣であり、不完全な世界。そこから人が増えるたびに世界は根を広げ、人を選ぶ。七つの属性の中から1つの適性を人に与えて世界は加速的に増えていった。住む者を選定し世界を隔てた。抗う力を身につけさせるために』


『そして、住む者には生まれた時からその世界で生まれ育った擬似記憶が差し込まれ、監督者のみ本当の記憶を受継ぐ。突発的に監督者が選ばれることもあればその世界に血筋で縛られる者もいる。しかし、どちらの監督者とて思いと役目は等しい。民の繁栄と己が世界の維持。そして、血筋に縛られた監督者はその世界における様々な力を得る。この竜の目もまた然り』


 リーム王はローブの懐に手を入れ、もういっついの紅玉を取り出し、翳す。すると、光の束が照射され洞窟の内部にスクリーンを映し出す。そこに映し出されるのは疲弊しきった我々だった。



『元々これは不穏なものを見張るためのアイテムだが、監督者にはこういう物も世界が渡す。こう言った使いかたもできるのだ。さて、汚れた我が使えるのはアイテムまでで、妹のように正当な監督者でなくては世界の根本に触れる様な干渉もできん。もっとも、監督者の役割は各世界を滞りなく維持する事。頻繁にそんな事をしては他の世界の監督者に罰せられてしまう。まぁ、それを覚悟で今回は此奴の体を借りて一芝居打ったのだがな』


『何人、、死んだと思う?何人が、、傷付いたと思う?』



ボソボソと途切れ途切れに言葉を呟く。



『たわけめ、自国を強くするためには必要だった事だ。力こそが正義。人など適当な所からさらってくればいい。国民を捨てる事のできん先代や妹であっても俺は切り捨てる。お前らもどうだ?向こうの世界はどうせこちらの世界の支援がなければ長くは続かん。望むなら種馬として我が国で飼ってやるぞ。hahah hahah hahah』



下品な高笑いが洞窟中に響き渡った。



『ふざけないでよ。私達は一体何の為に戦って来たって言うの!』



 巳波はブーツの底に仕込んだ極小サイズのナイフを

指に挟み刃を命を軽はずみ高弁垂れた王に向ける。地面を蹴り、水を纏った足で地面を蹴り滑る。



『リーム王を守れ!!』



後ろに控えていた外套を深々と被った7人の親衛隊が武器を抜き、襲いかかる。大剣を躱し、弓を見切り、大楯を巨大な鎌状の刃で薙ぎ払い盾使いを踏み台に大きく飛び跳ねた。いくら軽いとは言え、レイピアの重さではここまでの動きはなし得ない。必要最低限の命令量に魔力、それを柔軟な水に変え瞬時に操る技術こそがランキング1位に名を連ねた由縁だ。



 宙を舞い、体のバランスを水の魔力で整える。

 自分の身体に蓄積し、相性の良い魔力源で有れば命令式は殆ど必要ないが、ここまでイメージだけで使えるのは希である。



『ヤァァァァァァァ』



 短剣ほどにまで水を纏わせた刃を身体眼球目掛けて振り下ろす。いくら軽い武器とは言え急所に直撃すれば只では済まない。直撃したらの話だか。



ガギィィィィィィン



『惜しかったな。』



 金属音が鳴り響く。攻撃が逸れたのではない。しかと狙い通りに眼球を捉え、吸い込まれて行った。火花が咲き乱れ直撃したのに平然と立っているのだ。



『我は光を司る国の監督者。光の特性は『強化』!そんな攻撃つうじるわけもないだろ?』



突き刺された刃を襲って来た者の手首を握りつぶし、平然と足を掛け、地面に這い蹲らせる。体勢を起こそうとも背中を足で抑えられて、腕を掴まれていれば抵抗出来ない。



『巳波さん!』



『大声を上げて嘆くな、大きな丸眼鏡の小娘よ。此奴はたった二ヶ月の鍛錬でここまで成長した。本来であらば誇らしいことである。』



言葉とは裏腹にその行動に敬意を払う仕草は微塵も感じられない。本当の武人であれば相手にとっても礼節を弁え、敬意を払う。しかし、足をグリグリと背中にめり込ませ、悶絶し声を抑えてる姿を見て楽しんでいる。



『しかし、刃を王である我に向けるとは無本も等しい。いくら錯乱していたとは言え万死に値する。よって、ここにいる異界から来た1200名の者たちはここで極刑に処す』



『何言ってるんだよ、お前。こんなの横暴も良い所だ。東京の代表者がこんなの見過ごす訳ない。お前たちは科学力で滅ぼされてしまえ』



魔法隊の隊長が口を開き抗議する。ようやく自分の身も危険に晒されている事に考えが至り、保身に走るべく抗議した。



『何を言っているのだ?異界からの資源の支援が無ければ成り立たない奴隷の様な奴らがそんな事をすると思っているのか?あいつらはな、今回こちら側に労働力を提供しなければ資源を打ち切ると言って先程見せた魔物で少し脅しただけで死んでも良い人間なら派遣できると言って二つ返事だった様な奴らだぞ。そんな奴らに最後まで縋るとは哀れでならないな。そもそも、王である我とお前らの主張。決定的な証拠が無い中でどちらを信じるだろうなー』



(そんな、嘘だろ。)(東京の代表者はこのことを知って。)(私達の事を騙したの?)(助けが来ない?)

(私達は死んで良い人間なの?)



 様々な憶測が飛び交い、多くのものが膝を折った。今まで信じて来た最後の砦が何かの拍子に崩れ去ったのだ。



『その薄汚い足を離せよ。』



『我に意見するのは誰だ?』



 今まで聞気覚えのないドスの効いた重い智の声。短い返答にせよ、その場の存在感が一気に集中する。



『その足を離せって言ったんだよ』



『駄目..逃げて..刺激したら次はあなたが、グッ』



足に更に力を込め、絞り出した声を遮る。



『堕落王、お前かいくら我と同じ監督者であるとは言え、我が覇道を邪魔するのであればお主もただでは済まん。しかし、奇怪な策士として忠誠を誓うのであればこの足置きと同じ傀儡として我が軍での地位を約束...』



『お前、頭に蛆虫沸いてるだけじゃなくて耳に糞詰まってるんだな。可哀想に。ちゃんと掃除した方がいいぞ』



 場が凍りつく、単純な圧力などではなく思考そのものが止まりそうになり、この場にいた王いがいの全員が息を飲む。



『おい、あいつらを消せ』



『はい』



 後ろに杖を持ち控えさせていた2名の魔道士に短く命令する。赤い宝石を散りばめた立派な杖を掲げ、空中に幾つもの火の玉を出現させた。



『この杖に鏤められている結晶は先の翼竜の血液だ。元々この竜は我が国が代々管理をしてきてな、幼体の時に血を抜かせてもらったよ。まぁ、幼体と言っても相変わらず、火を吹き電気を宿していたがな』



『電気が帯電しやすい装備を支給するとは思っていたが、頭数を減らすためにわざとやったな』



『生憎、飯を乞うだけの豚を買うのは趣味では無い。豚は豚らしく肉を提供して死ねば良い。この火球は翼竜と同等以上の威力があるがな。やれ』



 上空に出された火球が弧を描き物凄い勢いで差し迫ってくる。魔術を唱えて防御する暇もない程の一瞬の出来事。ただ一人を除いて口を開き、茫然と立ち惚けていた。




 その一人は直立して立ち持っていた簡素な杖の先をを地面に突き刺した。その途端に突風が吹き、辺りを覆い尽くす。




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