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ご両親に娘さんをいただきたいとお願いした!

奈緒の家に着いたのは丁度3時だった。前年に来た時と変わっていない。奈緒が先に入ると両親が迎えに出てきた。


「その節は失礼いたしました。お詫びとお願いに参りました」


リビングへ案内された。奈緒がコーヒーを入れている。僕は奈緒がコーヒーを配って席に着くまで黙っていた。


両親も黙っている。ただ、僕が来たのは迷惑だというような感じは全くない。二人のこれまでのことをどのくらい知っているのだろう。奈緒は両親にどこまで話しているのだろう。まあ、僕は言いたいことを言ってお願いするだけだ。


「せっかくのお休みのところ、突然、お邪魔して申し訳ありません。今日はお詫びとお願いに参りました。ご存じのとおり、私と奈緒さんはお見合いをしましたが、いろいろと行き違いがあって、破談になりました。申し訳ありませんでした。でもまた偶然にお互いの友人の家で紹介されて再会しました。それで奈緒さんにお願いして新たにお付き合いを始めさせていただきました。そして先週の土曜日にプロポーズをして受けていただきました。でも私の配慮不足で約束を破って奈緒さんに不愉快な思いをさせてしまいました。今日ようやく許していただいた次第です。それで改めてご両親にお願いがあります。奈緒さんを私にいただけないでしょうか? お嬢さんを幸せにします。どうかお願いします」


「植田さん、そんな話ではないはずですが?」


「奈緒さんにはご両親に会わせていただいて交際の許可をいただくとお願いしました。また、約束を破ってしまったかもしれません。でも、交際をお許しいただくことと奈緒さんを私にいただくお許しを得ることは私にとっては同じことを意味しています。そういう気持ちで奈緒さんとお付き合いしたいということです。分かっていただけませんか? そしてお許しいただけませんか?」


「許すも許さないも、奈緒は何と言っているのですか? 奈緒の気持ち次第ですから」


「そんなことここで急に言われても」


「急じゃないと思います。先週の土曜日にプロポ―ズをして、日曜日には受けてもらいました。それからすぐに僕と指輪を買いに行ってくれました。僕の配慮不足で約束を守らずに奈緒さんに不快な思いをさせてしまったけど、こうしてまた交際を受け入れてもらいました。急なことは少しもないと思うけど」


「奈緒、植田さんがああ言ってくださっているのだから、もっと素直になりなさい。そんなに大切な約束ってなんなの?」


「実は土曜日の夜に植田さんからプロポーズされていると相談がありました。私は自分の想いに正直になりなさいとアドバイスしました。それでお受けしたいと日曜日に出かけて行ったのですが、帰ってきて様子がおかしくて泣いているのです。何があったのか、聞いても何も答えてくれないのです。ずっと元気がないので心配していたところでした。二人の間に何があったのですか?」


「僕の口から話していい?」


奈緒は頷いただけだった。


「奈緒さんとお付き合いするときに身体に触れないと言う約束をしました。私は自分の部屋で奈緒さんを抱き締めてしまいした。抱き締めたかったからです。それで」


「約束を守ってもらえなかったのがショックでした。信頼していたのに」


「奈緒は昔から潔癖なところがあるから」


「それが奈緒さんの良いところでもあるのですが」


「奈緒、それでどうするの、プロポーズをお受けするの? もっと自分の気持ちに素直になりなさい」


「お受けします。約束を守っていただければ」


「よかった。ありがとう。ご両親もいいですか?」


「いいも悪いも本人が望んでいることです。娘をよろしくお願いします」


「それじゃあ、ご両親の前で指輪を受け取ってくれますか? 左手を出してください」


奈緒は左手を僕の方へ伸ばしてくれた。その薬指に指輪をそっと嵌めた。作戦は成功した。


「ありがとうございます。嬉しいです」


そういうと、奈緒は泣き出してしまった。


「抱き締めてあげたいところですが、やめておきます。また、断られそうなので」


「奈緒の潔癖症には困ったものだ。植田さん、娘をよろしくお願いします」


「承知しています。必ず幸せにします」


それから、僕の両親に会ってもらうため、次週の土曜日に奈緒と二人で帰省することを許してもらった。奈緒も承諾した。ただ、奈緒が気にすると思って、日帰りにした。

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