1 魔王の復活
ある夕暮れ時の教室・・・。
胸に刺さったナイフ・・・。
流れ出る血液・・・大きく広がりを見せる。
まさか・・・先生が元凶だとは・・・。
僕は絶望の中にいた。
そしてもうすぐそれはなくなるだろう。
・・・・・死・・・。
父様、母様・・・もうすぐそっちに・・・。
聞こえるのは僕を追い込んだ男の笑い声、
僕をここまで追い込んだ連中のそれ、
一瞬、アリスの顔が思い浮かぶ。
ごめんね・・・・アリス、助けてくれてありがとう・・・。
どうか・・・幸せになって・・・。
僕はこの世界を呪いながら死ぬよ・・・。
そして僕は死んだ・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・そして、俺が蘇った。
「おい、そこのゲス。」
「おい、なんだその口の利き方はリックの分際で!」
「まあまあ・・・・。
おやおや、まだそんな元気が・・・いけませんねぇ。
君には絶望の淵で死んでもらわないと・・・。
僕は君の父親にクラリッサを取られたのだから・・・。
我望む、火の精霊よ、どうか聞き届けておくれ、私に火の力を・・・火球。」
火の玉が俺に向かってくる。
何を自信満々な様子でいる。
この程度で。
「凍れ。」
一瞬のうちに炎が凍り、氷の球になりその場に落ちる。
「は?」
ちっ。
妙に痛みを感じると思ったら、ナイフが刺さっていたんだな・・・。
パチン。
ナイフが抜け、その場に落ちる。
パチン。
傷が塞がる。
目の前の連中は何が何だかわからないといった様子。
「さて・・・聞きたいことがあるんだが?」
「はっ。誰が言うかよ!」
「凍れ。」
足から凍りはじめ、
「おっ、おい、なんだよ、これ?
あ、足が。」
「おい、お前、こんなことをして・・「凍れ。」」
「う、うわぁ。
俺まで!」
「なあ、そこの。
聞きたいことがあるんだが?」
「ひ、ひい。」
「答える気はないか・・・。
凍れ。」
「お、おい・・・悪かった、悪かったから・・・。」
「俺はそんなこと聞いていない。」
4体の氷像が出来上がる。
「なあ、これでわかったか?
質問に答えろ。」
「・・・・こ、こんなの・・・まるで・・・。」
俺は氷の刃を生み出す。
「もういい。」
ザクッ。
ふん、もうここにはいられんな・・・。
俺は教室を出る。
さて、どうしたのもか・・・。
転生は成功したようだが・・・。
この時代のことがわからん・・・。
それにあの裏切り者のことも・・・。
「あっ。
リックじゃない・・・心配したわよ。」
またか・・・面倒な・・・。
「こおっ・・・。」
この体か・・・余程大切な相手と見える・・・仕方あるまい。
「気にするな。
俺はもう行く。」
「あ、ちょ、ちょっと・・・。」
アリス視点
虫の知らせがあったから、
来てみれば・・・いったいどうしたって言うの?
いつものリックじゃない・・・。
いつもの優しい彼では・・・・。
それに・・・俺?
なにがあったの・・・?
そして、 教授の失踪、数人の生徒の失踪が、後日、学園を騒がせる。
その中にリックの名前もあった。
そして、リックはこの国で指名手配された・・・。