表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/37

エピソード0 未来の物語

ーーーー全くなんでこんなことになったんだ。




 なんでこの俺がこんな面倒ごとに巻き込まれなきゃいけないんだ。




 これも全部あの脳筋チビロリ魔王のせいだ。




 俺はそこで深い溜息を吐いた。




 すると俺の隣に立っていた、六本の腕を持ち、その身に鎧甲冑を纏った巨大な男が、その厳つい見た目に反した優しい憐れむような声を掛けてきた。




「トウマ。お前も苦労するな」


「それはお互い様だろ宿儺(すくな)。まったくこんなに苦労するなら魔王軍の幹部になんてならなきゃよかったぜ」




 俺の言葉に宿儺が苦笑いを浮かべた。




「そんなことよりほんとに勝ち目はあるの? 私の『魅力(チャーム)』は魔王様相手には多分効かないわよ」




 艶やかなアメジスト色の髪とはち切れんばかりの巨乳を揺らしながら、世界一の美女悪魔フラムが俺に抗議の弁を述べる。




「安心しろよフラム。最終決戦は俺が先頭に立つ。フラムにはあのチビロリクソ魔王のところに着くまでのサポートを頼みたい。なんたって今やこの魔王城ダンジョンの難易度は俺ら魔王軍幹部が束になっても攻略できるかどうかわからないくらいのものになっているからな」




 俺はそこで再び深い溜息を吐きながら




「ちくしょう。こんな事になるなら、あんなに張り切ってダンジョン作成なんかするんじゃなかったぜ。何が悲しくて自分で製作指揮したダンジョンを自分で踏破しなくちゃなんないんだよ」




 文句をもらしていると




「ほっほっほ。優秀過ぎるのも困ったものですな。まあ、いくらトウマ様の頭が良くて機転が利くと言ってもシルフィ様の気まぐれとわがままは誰にも予想はできませんよ」




 長い白鬚をわしゃわしゃと弄りながら、闇の魔法を極めし者(ダークマスター)サモンが笑い声をあげる。




「トウマは理屈っぽいところがあるからね。今度一緒に魔界を散歩しようよ。そしたら頭がすっきりするよ♪」




 伝説の幻獣白狼ブリザード・フェンリルの背に乗っている褐色肌の少女リルがニシシと俺に笑いかけてきた。




 俺はそんな彼らを見渡した後、今から行わねばならぬミッションを思い出し、もう一度深く深く溜息をついた後、それぞれの名を呼ぶ。





武神(ぶしん)両面宿儺(りょうめんすくな)


魅了の女王(サキュバスクイーン) フラム・ルージュ」


闇の魔法を極めし者(ダークマスター) サモン」


伝説を従えし者(レジェンド・テイマー) リル」


「そしてこの俺 異邦人 魔眼の不知火トウマ」





 一人一人の名を述べた後、俺はすうーっと息を吸い込み、腹から出来る限りの大声を出す。




「いくぞ!! 我ら魔王軍精鋭部隊。これより魔王城最強ダンジョンを攻略し魔王シルフィ・リリーの討伐を開始する!!」




 俺の掛け声にそれぞれが様々な雄たけびを上げる。




 全く、こんなに苦労することになるんだったら東京でサラリーマンをやってた方がまだましだったぜ。




 俺は何度目かになるか分からない溜息をつき、精鋭部隊と共に魔王城への進軍を開始した。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ