2.僕は勇者になったようです。
「お…ようござい…す」
ん?また誰かの声が聞こえる。次は女の人の声だ。人の声が聞こえるということはまだ生きていたのか。あれは確実に死んだと思ってたんだけどな、もう社畜生活は嫌だ!いっそこのまま死にたかった!てかさっきから話しかけて来てるのは誰なんだ!
「目…開けれま…か」
ん、目を開ければいいのか…?聞こえた言葉通りに目を開いた僕の前にはとても美しい女の人?がいた。
「やっと目を覚ましましたね!おはようございます勇者様!」
「は……、ゆ、勇者…?」
今の状態すら分かってない状況でいきなり勇者と呼ばれた僕は目の前にいる背中から羽を生やした女の人に向かって疑問を浮かべた。
「いきなりですみません!えっとですね、貴方様には勇者としてこの世界を守っていただくために私が別世界からこちらへ呼び出したのです!因みに私はこの世界を司る五人の神のうちの一人、天空神イルマタルと申します、気軽にイルマとお呼びください」
別世界?世界を守る?勇者?神?普段なら聞き慣れない言葉がたくさん出てき、まだ意味がよく分からない。終始ニコニコと話すこのこの女の人は一体なんなんだ?それに別世界って言うのは多分地球のことなんだろうけど別に僕じゃなくても良かった気がする。てか僕じゃない方が絶対に良かったよ!
「混乱してるようですね無理も無いです、なんで僕なんだろとか思ってる顔してます。意味が分かってないようなので説明をさせて頂くと、って話すと長くなるのでとりあえずこれを見ていただけますか?」
そう言った女神の手元にスクリーンのようなものが現れた。そこには、ぱっと見た感じ僕と同年代か少し上ぐらいを思わせる男の人が2人とその周りに数人の大人が映っている。
「明らかに僕とは違う世界の人だと思うのですが、この人達がどうかしたのですか?」
「そうです!感がいいですね、今映っているこの人達は私の作り上げたこの世界の中で一番大きな国だった所の双子の王子と大臣達です!」
双子だったのか、どうりで凄く顔が似ていると思っていた。でも一番大きな国"だった"ってどうゆうことなんだろう。
「まだまだ意味がわからないですよね、そういうと思っていたのでこんなものを用意しました!」
本のようなものを女神から受け取り表紙を見るとそこには【凄く良くわかる異世界のあれこれ!】と大きく書いてある。
「……コレあなたが作ったんですか?」
「そうです!!三日三晩徹夜して作り上げた力作なんですよ!」
「ふふっ、じゃあわざわざ僕が読めるようにこうして日本語で書いてくれたんですか?」
「何笑ってるんですか?!読めないことには作る意味がないと思いまして、それがどうかしましたか?褒めてくれてもいいんですよ!」
こんなに自信満々で胸を張られると凄く言いにくいのだが、このままだとこの先も苦労しそうだし言っておいたほうがいいよな。うん言おう。
「僕のために作ってくれたことに関してはとても嬉しいです、ありがとうございます。でもこの文字のことなのですが女神様の力があれば、僕がこの世界の文字を読めるようにすることなんて簡単なことじゃありませんか?まぁまさか忘れていた、なんてコトは無いと思いますしね」
「えっ!えぇ~っと、ま、まさか〜はっはっわ、忘れるなんてことあるはず無いじゃないですか〜。私もあなたの世界の言葉を勉強したいなぁ〜と思いましてついでにこの本もあなたの国の言葉で書こうかな〜っ感じでただの気まぐれですよ〜ははは」
嘘を隠すのが下手な女神様みたいですね、まぁ可愛いからいいや。とりあえずこの本を有り難く読ませてもらうことにしよう。




