第二部の第1〜5回
第1回
・かきょについて……文官、武官
ひらがなで書くと、なんだか分からない!科挙であります。
が、しかし。話のなかでは、貢挙と書いています。まあそういうモノだと分かれば良いのですが、ちょいと官吏を調べていた時に、とある中国歴史関連の論文で、カキョやめーや貢挙言うてくれえええー……!という血の叫びを感じたのであります。
そ、そうなの? という思いとともに、まあ物語の中なんだから、あまり史実を想定するのもアレだし、せっかくだから貢挙にするね!というわけです。
まあ普通にイメージするところの「ハードな試験」である科挙は、明清時代のものなので、棠梨で参照した初唐からすると、気にせんでいいかなって。なにしろ、設定を借りた時代限定でいうと、科挙……してなかった……
なお、武挙。
こちらは、いろいろ説明をしましたが、まあ…書いた通り、あんまり意味がないという感じ。
場合によっては、武道大会してみました程度のものらしい。
いろいろと史実的制度を借りているけど……まあ……これは使いたくない使えない、と思う部分は、ざっくりすっぱり変えてます。
なので第5回、団団心事之二における、進士なのに大学居続けは、話の都合というやつです。
・だいがくについて……国子学太学四門学
学校のシステムは、調べれば調べるほど、アタマを抱えることになりました。
教育というものが今とは、そもそもが違うわけですよ。だから仕方ないので、かなりイジった設定にしてあります。
棠梨では大学という設定であるところの国子学、太学、四門学、それから算学、律学、書学あたりが、あることになっております。
初期の科挙というのは、この大学で卒業試験を受けて合格すること、まずそこから始まるようです。
算学〜などの一科も、卒業試験のひとつと考えてもいいのですが、そのあとで得られる官位は、ぜんぜん違います。国家I種とII種類の違いみたいな感じ?
第2回
・いちばのよみについて……西市東市南市北市
街を東西もしくは南北に分けて、それぞれその中に置いた市場を、西市とか南市とか呼ぶのですが。
固有名詞のところで、リストに入れなかったのは、中国音声を書いても使わなさそうだったから。というか、日本語読みでも、ろくにルビつけてなーいー…のは、まあ、歴史語句的な読み方が、分からんというのもあったわけです。
西街を「にしまち」と言うか、「せいがい」と言うか、その違いをどう見分けるのか。
とりあえず読み方は、
西市、東市、南市、北市
であるらしいので、そうしました。
こういう迷いは、ほかにもね……あるんだよね……品子とかね……
なお、大家は、「おかねもち」としては、日本語的には「たいけ」と読むのが正しいようです。「おおや」は、家の主的。「たいか」っていうと、ぷろっふぇしょなる的。
大家は中国語でもいろいろ意味があるので、ルビ三昧です。
・ないからこまるげんきについて……元気
ルビ遊びがしたい、そういう気持ちで書いた。けれども中日には、互換がナイ言葉もあるわけで、あたりまえなんだけど、そういうのは、たいてい和訓。
げんき。元の気。中国語では、なんだそれはになってしまう。
いろいろと探してみるのだけれど、良いのがナイ…なので、壮健だの朝気だの、場合によっては、争気などを使いました。
単純に健康でもイイらしいが、どうも文例が現代語なので…使うのは最終手段です。
こういうナイ言葉だって、ルビでなんとかできるよね!などと考えて、自分の首を締めている気もする……
第3回
・すうしについて……一本、一個、一匹
数詞。あんまり深く考えてなかったので、第二部の今になって、アレえ?と調べ始めてしまった。
結論。日本語的なもので許して。
本はまあ……文字として気になるので、筆を一支と数えましたが、でも基本はそのままです。漢字がでなーい…のも、多いので。
中的には、馬は一匹って数えるんだけど、匹夫ってそういうことかと納得してしまった。
・こしょうについて……おじいさんとかれら
自称そのほか、いろいろと第一部で書いたものの、未だ悩み多き部分ではある。
なので、ルビ全開で遊んでいますが、ちょっと使い方が安定してないです。
白公公、老白、白老板……フルネーム出してないから、適当だ。
老+ナントカは、小+ナントカと同じく、よく使われるらしい。が、使われるだけに、意味合いのバリエーションが多いです。
老白で「ハクじーさん」、白老で「ハクじい」。これくらい単純な区別ならいいがそうではなく……
まあでも、使い分けなど、できないのは分かっているのです。漢字がでなくて、単語があるのに使えないものも多いから、仕方ない。
諦めが肝心です。
第4回
・いろのはなし2……くろがいっぱい
正しく「くろ」というと、黒ですけども、意外と黒色系統は紫っぽい。
まあ、黒の染色は、できるけども濃くするのが大変だし、すぐ褪色するので維持も難しい。それで紫っぽくても、黒の区分に入れるのかもしれない。
もっとも、色といっても面倒で、実際に色を表す言葉ではなく、服装の一種を示す言葉だったりもするらしい。
だから純黒は、まあ黒色が純然たるものという意味で、色の名というべきかは、迷うかな。
さて、烏黒……うこく。カラスの黒ですけども、黒いわけではなく、深黒に紫を透かしたような色ですかね。烏色も、黒っぽくて濁った紫色ふうですが、それに黒の字が追加されるだけに、より黒い感じ。
当初、使おうとした色は単純なほうがイイと、烏色にするつもりだった。
だけど、まあその……この烏色、読みがカラス色じゃなく、ウ色。なので、ルビ振るとなんかその鵜ッ?とか思ってしまウという悩みがあって、止めたのでした。
第5回
・がっこうのはなし……小学校
棠梨では、国子小学と学堂はシステムの差としてますが、正確には、そもそもの言語的規定が異なります。
学堂はまあ、単純に「がっこう」だとか「まなびや:校舎の意味でなく」と言っている感じ。中的に古い単語で学校を示すなら、「校序」だね。
国子小学のほうは、学校を示すというよりは「初等教育」と分野的な説明をしているようなものかなあ。
まあ小〜大学までのシステムを、あんまり上手く処理できる方法がなかったというか思い付かなかったので、棠梨では、国子大学を「高等教育」という括りで処理することにしました。
書館は、時代によっては大学を意味する語なんだけど、とりあえず、私塾的な高等教育部門として規定してあります。
とりあえず5回までの追補は、こんなところ。