第三部、 第11〜回(71〜部)、妖怪大戦争〜
第11回、妖怪大戦争
・もじよみについて……東西南北、東南西北
市場の読み方でもかなり迷ったけれど、西については、ちょっと処理しきれない事情がある。
杭州の西湖を「にしコ」とは読まないが、富士西湖を「さいコ」と読んでいれば、つい杭州も「さいこ」と読みたくなってしまう、みたいな。
おおよそ中的な固有名詞を読む時は、西はセイで読まれている。西施、西湖などなど。
なので、西街は、セイガイと読むことにした。
しかしながら、西域は「サイイキ」……。これが頭にあって、西苑をサイエンと読んだ。わけだがしかし。
ルールからすると、セイエンとすべきかもしれない。今更なので……そのままにしておくけれど、どうなんだろうなあ。
架空なんだから、いいよねー?というのが、結論かねえ。
なお、水老鴉、過樹龍。妖怪の名前っぽく見えそうだから使ったのですが、単なる鳥とへびであります。
これらは中国語でいう、動物の名前なので、まあ、なんといいますか、日本語でルビ振りにくい。
水老鴉は「すいろうあ」と読めばいいと思っていたけれど、どこかで「すいろうや」という振りがなを見て……まあどっちも、カタカナのルビにすると、びみょーなもので、使わないことにした。
こういう読みらしきものが、複数あるものに、螢惑がある。
辞書で文字を見つけた時からして、けいわく、と、けいこくがあった。辞書的には、どっちもあるのでしょう。だったら、好きな方を使おう、で「けいわく」
が、これが占星術の本をみてたら「けいごく」……「ご」?
いろいろアリスギーで暴れたくなった。
・なまえあそびについて……ロバ
この回で使った驢…馬盧の字で遊んでみたかっただけです。
とはいえ、馬も盧も姓なので、正しく名前とするならば、馬盧ナントカ、というモノになるはずです。フルネームを文中に出さなかったのは……名前を考えてないから、ではなくてうっかり忘れていたから。まあいいか。
この姓を繋げて使うのは、普通にあるルールではあるけれどもそれは唐時代ではなくて、清時代あたりの女性が夫の名字をつけてる例ではないかと。
王李氏ってーと、王さんに嫁いだ李さん。な感じ?
まあそんなで「馬盧」。珍しくない姓ゆえに、ないこともない、かもしれない。
第12回、形形色色的準備
・へやのよびかたについて……堂庁、大堂、大庁
建物の部分は、やはり日常で使うものゆえに単語が中日でけっこう違う。
その上、日本語でいう広間も、なんというか建物のどこかを示す単語というよりも、部屋の形容的な分類っぽくって、便利な言葉ですが、使いにくい。
なので、ひとが集まることのできる大きな部屋である「広間」を、別の中的単語で言い替えようとした。
そうしてルビ三昧な「ひろま」ができた
正しい違いではないかもしれませんが、とりあえずここでは、大堂が執務室などの間、大庁が客人を迎えてなんかする間、の意味でルビを採用しております。
しかし、広間も困ったけれど、「たてもの自体」を意味する単語も上手く当てられなくてねえ……
なんというか、宮殿の建物を示すのものがない。いや、あると思うんだけど、調べてもほとんど現代語で書かれていて、なんとなく、
家康殿が千代田に大きなびるぢんぐを造れと申された。
みたいな雰囲気になりそうで使えなかった。
ほかにも、「堂」がいろいろな意味をカバーしすぎてて分かりにくかった。そういうものだと思って使おうとした「殿舎」は日本語らしいね! どうしようもなくて使ったけど……
第13回、離棠赴白之一
植物については、第6回、敬請持之二で書いたからいいかな。
一頓醒来の調合は、テキトーです。アーティチョークって、日本で言われるものが本来の植物と違うかなりの要注意モノ。苦い苦いというけれど、苦いという印象がなかったので、違うやつを食べたんだろうなあ……
第14回、離棠赴白之二
・がいこくごのはなし……どこの言語を使うのか
だいたいルビのカタカナ語句は、英語。和製英語で、英語ともいえない時もあるけれど。
キュウ、クシで使ったのは、東シベリア、ナナイの言葉。ほとんど消滅しかけている言語なので、参照程度に。
江那の西方まじり言語は、これもおおよそ英語。西方の場所と想定されているのは、イラン方面なので、使うべきは、ペルシア語かアラビア語なんだけど、カタカナでかくのが面倒なもので……江那は、中音読みで、ジィァンナ。これは中東言語では、楽園という意味。
第5回、敬請持重之一のフロ場の場面でエナの言う、カニーズ(女奴隷の意味)だの、ハマム(トルコ語句でも有名な蒸風呂)だのは、ルビで遊べる範囲なので使いました。
で、シーリーン。
イラン方面の女性の名前にも使いますが、正確には甘いものという意味。英語で言えば、まいしゅがーべいべ。
とまで訳すのはアレですが……イメージ的には、そんな感じ。
ちなみにラーラーは、幼児語でいう、ねんね。
だからといって、ねんねしましょうねー、をラーラーと呼びかけるように使うかは謎。
・けっこんてじゅんについて……烏桓の風習
婚家に下働きでお勤め…というのは、東シベリアではなくて、北〜モンゴル近隣の習俗であります。
元々はクシ、キュウをロシアに当てるか、あるいは匈奴、烏桓といった系統に当てるつもりでおりまして、それが東シベリアになったのは、ひとえに横浜ユーラシア文化館の展示チラシが手もとにあったから。
なんでそれを持ってたのか、よく分からないのですが、とにかくそれでナナイを知った。
そういえば、この辺り、あんまり知らないなあと思っていたら、ロシア中国関連の世界史でいろいろあったところだというのを、調べ直しで思い出すことになりました。八旗……うっ、頭が。
まあとにかく、下働きの夫候補。烏桓の風習ではありますが、棠梨〜の文中においては、エンタメ的に少々書き換えました。だって、みんなツルっぱげ……! 嫁入りする女子は、夫候補が下働き中に髪の毛のばすそうです。
・さいんについて……簽名
単語としては、署名でも可能ではあるけれど、そっちだとホントにサインっぽいので、簽名をつかう。
だからこのルビは、サインとするよりオートグラフが正しい。けどまあ、ルビが長いのでサインが楽よねーと。
というわけで、英米のひとにサインを頼むならば「オートグラフ、プリーズ」でよろしく。




