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初回〜第5回まで


小説ではないので、縦書で読む必要はありません

・名について


『棠梨の花の語るらく』

 2016年3月〆切のビーンズ文庫に応募したもの。

 自分とこのPC環境ではできないが、どーーーしてもルビ遊びがしたかったので、当時は手書きが許されたビーンズに応募。

ただし、原稿用紙20枚くらい写したところで文字がへろっへろになり、予定枚数なんか絶対無理無理ムリですから最低枚数で許してくれい。になったので、話を一部ぶっちぎりました。これは、それを元の長さに戻して投稿しています。


 というわけで、めちゃめちゃルビがウザいのですが、好き放題やりすぎて統一的な書き方はできませんでした。

以下、基本ルールとしては、


・固有名は、「カタカナ」

・漢字の読みは、「ひらがな」

・ルビ遊びは、「外来語カタカナ」「漢字」「ひらがな」


となっていますが、固有名+一般名詞の複合は、いくつかの例外を除き、カタカナ固有名しかルビ振りしてません。

 藍雪路を「ランセツろ」とするか、「ランセツロ」とするかで悩み、結局、名のみの「ランセツ」を採用した、みたいな。



ついでに日本語読みか、中国音読みにするかは、どーせ上手くカタカナ音声で書けそーもないんだし、面倒だし、日本語でいいよねー。でもまあ、一応参考までに調べた音の対象表を出しておこう。という感じです。

 中国音とはいいますが、カタカナ表記に日本語的な都合を優先したので、だいぶ日本語っぽいかと思われます。エ''ァーとか、フェ''ァとか言われても困るわそんなん。

 シィァンや、リィゥなどの音もイメージ優先で省略。小さい文字まで打つと幅をとるとか、そういう理由もままあります。

 どう表記しようと使うわけじゃないんで、どうでもいいっちゃいいのですが、有気音・無気音の選択においては、気分により混ぜちゃっています。

 (バイ・パイ)(ヂュ・チュ)(ヂョン・チョン)のようなやつね。ぢょんより、ちょんのが良いかっていうと……分からんけども。

 いっそ、じょんと書こうかと思いました。すると朱が、しゅ表記になって流石に変えすぎか、と。

 そして中国音を使わないと決めた理由は、脇役の名前のせいです。

 永児ですが、これが、ヨンエ''ァー。でもN音と混じるとかで何が何やら。幼名なんで、元に戻せば良い……でもきっと、こういうのまた出てくるよなー既に河川の読みで困ったしなー、で止めてしまいました。



 尚、使用する単語とルビは、超絶適当な個人的解釈で当てられています。造語もあります。中国語を学んだひとには、何故このチョイス、と思うものがあるでしょう多分。絶対。単にそうしてみただけなので、そういうものかと思って下さい。


==================================================================

読み対象表


名:読み:分類:参考中国音


棠梨   :トウリ      :国      :タンリー

甘棠   :カントウ     :宮都     :ガンタン

甘河   :カンカ      :河川     :ガンホァ

 

西街   :セイガイ     :街の一つ   :シージェ

藍雪路  :ランセツろ    :路      :ランシュエ(ルー)

香青路  :コウセイろ    :路      :シャンチン(ルー)

報春路  :ホウシュンろ   :大路     :バオチュン(ルー)

青梨路  :セイリろ     :大路     :チンリー(ルー)


絳雪酒楼 :コウセツしゅろう :飲食店    :ジャンシュエ(ジゥロウ)

玉門楼  :ギョクモンろう  :妓楼     :ユーメン(ロウ)

鳴風楼  :メイフウろう   :ホテル    :ミンフォン(ロウ)


沙棠宮  :サトウきゅう   :宮城     :シャタン(ゴン)

白棠   :ハクトウ     :北の領国   :バイタン

烏鬼   :ウキ       :東の国    :ウーグゥイ

キュウ  :キュウ(草冠に九) :北の国    :きゅう、でいいです

北斗丘  :ホクトキュウ   :宮都の北辺  :ベィドゥチィゥ

黄道橋  :コウドウキョウ  :橋の一つ   :ファンダオ(チャオ)

天津橋  :テンシンキョウ  :橋の一つ   :ティェンジン(チャオ)

星津橋  :セイシンキョウ  :橋の一つ   :シンジン(チャオ)

中橋   :チュウキョウ   :橋の一つ   :ヂョン(チャオ)


杜家   :ト・け      :家名     :ドゥ

淑英   :シュクエイ    :母      :シュイン

朱蕣   :シュシュン    :姉      :チュシュン

韶華   :ショウカ     :主人公    :シャオファ

瑠璃   :ルリ       :妹      :リゥリー

お父さん :オトウサン    :父      :まだ名前決めてない…


白果舎  :ハクカしゃ    :書肆     :バイグゥオシァ

白果   :ハクカ      :雑誌名    :バイグゥオ

瑞頌老師 :ズイショウろうし :コラムニスト :ルイソン(ラオシー)

望舒党  :ボウジョとう   :匪賊の一派  :ワンシュ(ダン)



徐静影  :ジョ・セイエイ  :将兵     :シュ・ジンイン

王重明  :オウ・チョウメイ :香試(調香師) :ワン・チョンミン

高郁李  :コウ・イクリ   :令嬢     :ガオ・ユーリー



徐小君  :ジョ・ショウクン :元妃     :シュ・シャオジュン

弄月   :ロウゲツ     :酒のみの奇人 :ロンユェ

黒風   :コクフウ     :瑠璃が見た窮鬼:ヘイフォン


張太太  :チャンおばさま  :近所の婦人  :チャン(タイタイ)

永児   :エイジ      :その息子   :ヨンエ''ァー

魯大娘  :ロおばさん    :八百屋さん  :ルゥー(ダーニャン)

景景   :ケイケイ     :近所の悪童  :ジンジン

尹大医  :インせんせい   :医者     :イン(ダーイー)


呂    :ロ        :大臣     :リョ

紅    :コウ       :女史     :ホン


どこかに抜けはあるだろうが、まあいいかな。

=====================================================================


・単語について


 棠梨の花〜は架空中華ですが、最初に書いた小説は西洋ものです。

 いきなり残念!という仏教語でアレと思い、ドレス!でここは英語圏だったかいなと思い、サボるの駄目よと大丈夫でこんなに西洋物って書くの大変でしたっけとキレた日々が思い出されます。

 ルビ遊びは、そんな苦しみの打開策でした。


 とはいえ自分とこではルビが出せないので、それなら漢字ものだよ、きっと自由があるさと信じて中華物を書いてみた。が。

 そんなことはなかった……

 甘かった……

 漢字は漢語で、日本語とは厳密には違いがある。なのに使っているのはのきなみ和訓で、それを例しに外してみると、もう文章にならない。まあそうだよねーそんなことすればただの漢文になるよねー。ということで。

 ルビ遊び、再び。


 できるだけ漢語と和語の差異を使って、ルビ遊び……したのはいいけど中国語の語句まで混ぜたのでカオスです。まあ、中国語学んでるわけじゃないので、わりと雑な単語選択です。

 それでも悩みどころのいくつかを書き出してみました。(次項参照)



 ところで、単語選択で最も優先したのは、機種依存文字では「ない」こと。

 個人的に面倒だから、というのが最大の理由ですが、なんか文字化けがあったらヤダし。

 が、これにより少々問題が生じてもいます。

 意味を考えて漢和辞典から選び、北辺の国にはキュウ(草冠に九)という名をつけたのですが、出なかった。出ないけども、意味から宛てちゃったから、変えたくない。もういいよ、設定上では外国だし、カタカナでさあ。という脳内反省会の末、カタカナのままとなりました。

 その他、ものすごく困ったのは衣装などの語句でした。

 皇后の衣の種類にテキ衣というのがありますが、テキは雉の意味の漢字を使います。でもでない。じゃあ皇后は出さないようにしよう!とか考えたわけではありませんが、後宮女官関連には出ない文字が多すぎるので、いろいろ諦めている部分があります。



 ルビ遊びとは違うのですが、普通に読みを示そうとして、困ったものがありました。

 架空とはいえ単語は中華歴史や文化に因るものです。日本にないものを、日本語読みさせる時、どうするんだと考えたこと多数。そりゃまあ、そのまま読んでしまえばいいのでしょうが、日本に語句が輸入されて、その上和訓があるものは、普通に調べるとそれが出てくること請け合い。

 でも舍人って、とねりだけども、どう考えても中国音ではとねりではないよねえ。昨今の地図や人名では現地音を優先というけれど、これはナイよなー。

 おそらく学会上のコンセンサスはあるのでしょうが、確定していいものか分からない。論文見たってルビ振ってないじゃんよーもしかしてこれ機種依存を避けて代理の漢字を使ってないかああーと、阿鼻叫喚。

 とりあえず、そこらへんはちょっと……ごにょごにょと……

 何故ここにルビがない、という時は、まあ、ごまかしたなーということです。

 植物類は一応の説明を加えてみましたが、実は好きに読んでも構わないのでは。


 以下の項目は、連載回における悩みどころを書き出したものになります。




第1回

・さるのはなし……朝三暮四


 棠梨の花〜で参照した時代は大唐帝国です。

 でもこれ時代が長い。とにかく過ぎる年月が長い。だから文化風俗もシステムも変化して、大唐時代でもどこを借りるかという話になる。

 調べているうちに面倒になって、かなり初期の設定を使いましたが、するとどうでしょう。架空という縛りも相俟って、中国文化を語るに必須の詩人たちが……いないー?

 そもそも架空ですから、国破れて山河ありとか言っていいのかという問題があるわけですが。

 そういう縛りの上で、どーしても使いたいもの、仕方ないものはともかく、唐より前の文化は使っても構わない、という設定で書くことにしました。


 だから朝三暮四はおっけー。

 これは古い方の南宋の故事であります。宋はね……唐の前後にあるから、間違い易くて嫌なんだけどね……

 自分で書いててアレですが、狙公とはサル使いそのものなんだと時代を調べてて初めて気づきました。だってなあ!昔、狙公というひとがいました……って覚えてたんだよ!これだと、狙(姓)公(敬称)と思うじゃないか。

 まあ、どうでもいいことです。



第5回

・くさばなのはなし……香料と植物



香料名 : 読み     :分類


黒沈香 :くろじんこう  :沈香で価値の高いもの、伽羅キャラ

    :ヘイシェンシャン:

薫陸香 :くんろくこう  :黄連木(楷かい)の樹脂香、乳香も含む

    :シュンルーシャン:

白木香 :(びゃくもっこう):一般にいう沈香

    :バイムーシャン :

栴檀  :びゃくだん   :中国では白檀のこと、沈香にも括られる

    :ヂャンタン   :

楝   :レン      :日本でいう栴檀センダンで、オウチではない

龍脳香 :りゅうのうこう :樹脂の香、乳香にも括られる

    :ロンナオシャン :

芸香  :うんこう    :一般にヘンルーダ、書の虫除けに使う

    :ユンシャン   :

蒔蘿子 :じらこ     :ヒメウイキョウの果、油をとる

    :シールォズー  :

土茴香 :どかいこう   :同上

    :トゥフィシャン :茴はフゥィと書いた方がいいのか…


丁香  :ちょうこう   :クローブ(丁子、丁字チョウジ)

    :ディンシャン  :

桂丁  :けいちょう   :シナモン、桂油にもなる

    :グゥイディン  :

茴香  :かいこう    :ウイキョウ(フェンネル)のこと

    :フィシャン   :

姜粉  :しょうふん   :ショウガ(ジンジャー)の粉

    :ジャンフェン  :

葱   :ねぎ      :ねぎ…

    :ツォン     :

苹果  :へいか     :りんご、こう書くとだいたい干したやつ

    :ピングゥオ   :

桔子  :(みかん)    :橘子とも書く

    :ジュズー    :


 中国と日本で植物名が違うのはそこそこあって、ここでは栴檀と楝がそれにあたります。

 昔の分類ですので、木から取れる樹脂香はてきとーに乳香と呼ぶとか、高級な香りなら沈香でいいじゃん、みたいなところもあって、わりと資料によってざっぱな書き方がされてたりもします。

 現代のお香屋さんのサイトなどを見ると、今の分類がしっかりとなされているので、そのイメージで読むのがいいのかもしれません。


 尚、芸香については、あんまり……ルビを振りたくない。ので、虫除けとしています。最初、ゲイコウと読まないのかと謎に思ったのですが、もともと芸の漢字は、「うん」としか読まない。芸術のゲイは、藝と書くべきところを、書きにくいしー形似てんじゃーんということで、当て字を使い、それがほぼ正式と認められているらしい。

 でも芸は「うん」だから、東京藝術大学は面倒でも「藝大」と書いた方が良いのかもね。芸大と書いたら「うんだい」になっちゃう……まあ書く機会はないのですが。

 だけど「芸術」としか書かないなら、こっちの字で許してね!



植物名 :  読み  :参考中国音   :分類(第11、18回含む)


蕣   :しゅん   :シュン     :ムクゲの別名、朱槿はブッソウゲ

木槿  :むくげ   :ムージン    :(もっきん)と読むかはびみょー

白槿花 :(はくきんか):バイジンファ  :これもムクゲの別名

香鈴草 :こうれいそう:シャンリンツァオ:銀銭花、朝露草チョウロソウ

黄花蓮 :(おうかれん):ファンファレン :トロロアオイ

蘭   :らん    :ラン      :諸説あるがフジバカマを示す

桂花  :けいか   :グゥイファ   :金木犀のこと。近縁種も含む

杜鵑花 :つつじ(類) :ドゥジェンファ :(とけんか)とも読む

香青蘭 :こうせいらん:シャンチンラン :ムシャリンドウの仲間…


 表記としては、草を「カオ」と単純化させたいけども、まあ使わないし。

 しかし、白木香を「びゃくもっこう」とか、白槿花を「はくきんか」とか、こう読んで構わないものなのか……ブッソウゲは「しゅきん」でも良さそうだけども。


 というか、植物を調べるのに最終手段で学名使ってたらアナタ、知らないうちに分類体系えっっらい変わってんの。遺伝子による分類ができるようになって、形態からの分類ではコレだったけど、実はコッチなのよねーみたいなビックリ大改定!分かるけど泣くだろう、リンネが!と、調べ直しながら作業時間の遅延に対する責任転化をしています。



・しゃべるはなし……口語


 ルビ遊びで最もカオスとなったのが、口語です。

 結局、いろいろあって、あまり使わないことにしたのですが、この回では老人が「真棒(ルビ:さすが)」と言っています。

 しかしこれは、ビーンズに投稿する時、止めた案ではなかったかと……うろ覚えの脳内反省会が異義を唱えました。

 でも、とりあえず使用続行。

 多分ですが破棄の根拠は、これが清末期に使われたものだから、だったような。資料が見つからないので、よく分からない……


 中国語も長い歴史で言葉は変わってます。当然、現代に残っているのは近い時代の言葉が多いわけで。その上、文学的な表現は明清時代ものが、まるで古代から使われているように辞書に混じっていたり、社会体制か変わる直前の言語は、俗語が残りやすかったり。

 でも残念ながら区別がつかんのです。中国文化に馴染んで、その中で生きていないから。


 日本に生きていれば、平安と室町の風俗を区別し、江戸を感覚的に分けることはできるでしょう。多少、テレビや小説の見栄え問題で嘘をついても、それを間違っているとは考えない。おはぐろなんかリアルで見とうないわ、と許している範囲があるわけです。

 それが中国語となると、よく分からない。うっかりすると、平安時代の乳母が、

「姫さま、その男はゲルピンでございます!」

 とか、上達部が、

「あなや恐ろし、内ゲバよ」

 とか言ってるような、中華物になっているかもしれない。(何故こんな語彙を使うのか……)

 まあ外来語ルビも飛びまくりで、今更小せえことに拘んなよ無駄だ無駄。という結論に至り、そのままにしました。


 だけど止めたものもあります。

 別装模糊で「ごまかすな!」という口語になりますが、この別の文字、別とは別の文字です。なんと別なのかよ、と知った段階で、この口語とはお別れとなりました……別にいーじゃんと思わなくもなかった、んだけどねー。


というところで次項、6〜10へ









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