of my mind(25)
「レグルスッ!! 」
アロイスは駆け寄るが、それよりも早く、リンメイはその胸に飛び込んだ。
「お、おっとっと。リンメイ、なんだ……随分と大人びたなあ」
「レグルスッ……! 」
「落ち着けよ。まずは話をさせてくれよ……と、言っても無駄かな」
レグルスは微笑を浮かべながら、胸の中のリンメイの頭を撫でながら言った。
仕方なく、彼はアロイスに目を向けて、話を聞いた。
「んで、アロイス。お前がそんなに年を取ってるって、どういう了見だい」
「……やっぱり記憶が無いのか。どこまで覚えてる? 」
「ん~。そこの氷竜に凍らされたところまでだな。あとは、目が覚めたら今だった……カナ」
「丸々時間が飛んでるのか。なるほど。シンプルに説明すると、今は2081年だ」
「2081年……。なんてこったい、俺が覚えてるのは2072年だぞ」
レグルスは「ハハハ」と笑った。
「じゃあなんだ、お前らは今年で……25歳……くらいか? 」
「いいや、俺は今年で27歳だ」
「27!? おま、俺と3つしか変わらないじゃねえか! じゃあリンメイは」
レグルスは驚いて抱き締めるリンメイを見つめる。
リンメイは「言うなっ」とレグルスの頬を右手でグニュリと無理やり閉じる。
「むおっ。ほうか、分かった分かった。はあ、しかしそんな事になっていたなんてなあ」
「おう。んで、後ろにいるのはクロイツの現エースたちだ」
アロイスは、リーフたちを紹介する。
「これはこれは、知らぬ顔ばかりで……」
「当然だ。アンタが行方不明になってから、部隊長は三回交代してる。そこのバンダナが四代目だ」
「四代目!? うーん、時代が変わり過ぎてついていけないな」
「それはアンタのことだし、追々慣れるだろ」
「まあ、そりゃそうなんだけど。というか、俺以外に同じような境遇だったヤツらは居ないのか? 」
「境遇ってなんだ」
「凍らされてた奴だよ。氷竜の事だし、同じように彫像にされてたヤツが居るんじゃねえの」
「……あっ」
「もしかしたら、今頃そいつらも目を覚ましてるんじゃないのか」
「そ、そうだ。思い出した! ちょっと行ってくる! あとの処理は適当に任せた! 」
すっかり、氷竜を討伐した余韻とレグルスとの再会で忘れていた。
―――ネーブル家、その家族のことを。
レグルスと同じように氷漬けにされていたのなら、今、彼らは。
(頼む。スピカの皆も、間違いなく目を覚ましていてくれよ。頼む―――ッ! )




