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番外:コロシアム決戦(1)

 【2080年12月1日。】

 夕刻18時、開店したばかりのアロイスの酒場には、既に客の姿があった。カウンター席に腰を掛けていたのは、お馴染みの面子で、新人冒険者ブラン、姉妹堂リリムとネイルのスカーレット姉妹。3人は酒や料理を煽りながら、アロイスやナナと、楽しく会話を交わしていた。


 そんな中、ビールを煽るブランが、カウンターに立つアロイスに話をかける。


「アロイスさん。あの、前々からお聞きしたいなーって事があったんですけど……」

「ん、何を聴きたいんだ」

「そのー、アロイスさんの昔話聞いてみたいんですけど、ダメですか」

「……昔話? 」

「はい。現役時代の冒険者のお話、いつか聞いてみたいなって思ってたんですよ」


 ブランが言うと、ナナたちも「あっ、聞きたいです! 」と声を揃えた。


「別に俺の昔話をしても面白くも無いぞ」

「そんな事ありませんよ。ほら、みんなだって聞きたいーって思ってますし」


 女子組み3人は、再び声を揃えて「聞きたいです」と言った。


「……あのなぁ、俺は別に面白い昔話は持ち合わせちゃいないっての」

「でも、アロイスさんの冒険者時代の話なら何でも面白い気がするんですよ」

「ブラン、お前な……」

「お願いします。何でも良いから、そのうち冒険者時代の話を聞きたいなって思ってたんです! 」


 ブランはビールグラスをカウンターテーブルに置いて、両手を合わせて懇願した。いつもなら、ココまで我がままに圧して来ないはずだが、どうやら元々酒に弱いブランはビール数杯も飲んだことで酔いも回り、良い感じに態度が大きくなってきたようだ。


「うーん、つっても俺の昔話ったって……」


 チラリ。隣に居る女子たちを見ると、ナナを含めてスカーレット姉妹も目を輝かせている。どうやら、何か話をしないと終わりそうに無い雰囲気だ。


(やれやれ、ブランめ。一体、何を話せば良いんだ)


 昔話といえば、彼らが聞きたいのは冒険者時代の話。ダンジョンを攻略した際の話も悪くはないが、血生臭い話も多くなるし、こういう場にはそぐわない。


「……あぁ」


 そうだ。だったら、あの話でもしてやろう。


「俺ってば、昔は血気盛んだったからな。ちょっと引く話かもしれないぞ」

「え、何か話をしてくれるんですか! 」


 ブランはビールを飲み干して、嬉しそうに言った。


「ああ。以前リーフがウチに来た時、コロシアムの話をしたのを覚えてるか? 」

「コロシアムですか。えーと、確か……」


 冒険団クロイツで数ヶ月に1度行われている、実力を鼓舞するための戦いだ。出場者は基本的に選抜式で、世界各地の支部隊長はもちろん本部の幹部たちによるトーナメント形式で行われる。その日はクロイツ団員や関係者1万人の観客を招待して、世界最高峰の戦いは熱気に満ちるという。


「そうそう。それで4年前の今頃、副部隊長だったリーフと決勝と戦った時の話なんだけども」

「……めっちゃ面白そうじゃないですか」

「俺も22歳で若かったけど、リーフもまだ17歳でな。あの頃は凄く甘い奴だった……」


 アロイスは腕を組み、天井を見上げて思い出すように話を始めた。


……………

……



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