可愛い可愛い妹たち
幼少期で足りないストーリーを書き足しました。
あれから2年、現在俺は4歳となっていた。言葉もスラスラと喋るようになり語彙もかなり増えた(というより増やした)。結果、4歳児としてはかなり言語能力が発達した状態となった。
が、その事を両親は一切不審に思わずに手放しで喜んでくれた。それが嬉しくて俺もどんどん色々な言葉を使うようになったのだろう。
現在俺は庭を散歩している。と言っても一人の散歩ではなくて。
「にぃ!みてみて、あれ!ちょーちょ!」
「にぃさま、きれいきれい!」
片方ずつの手で二人のお姫様をエスコートしている。そう、妹のカレンとリリエラである。両手に花だ!羨ましかろう!⋯⋯シスコン?そんなのは当たり前です。
だって可愛いのだから!
と、そんな暴走気味な心を抑えて両サイドの妹を見る。
リリエラは母様の髪質を受け継ぎ長く美しい銀髪に優しげな表情が特徴的で可愛い。
カレンは父様の金髪を受け継ぎ最近はサイドアップにするのがお気に入りのようだ。凛々しい顔立ちで強気な表情なのも可愛い。
そしてこの二人は双子である、双子の中ではリリエラが姉、カレンが妹となっている。
俺の妹たちはめちゃめちゃ可愛いのだ。これは将来がとても楽しみである。あ、でも嫁にはやらん!
俺のシスコンはどんどんひどくなっている気がするが、それはあまり気にしない方向で。
しばらく庭を歩くと花畑へと到着する。ここは最近の3人のお気に入りの遊び場所だ。何をして遊ぶかというと。
「にぃさまー!」
「にぃー!」
可愛らしい掛け声と共に二人が飛びかかってくる。俺はそれを支えてやって優しく地面へ横たえる。そして、
「こちょこちょこちょこちょー!!!」
すぐさま横たえた妹たちをくすぐってやる。
「きゃー!にぃしゃまー!!!きゃははは。」
たまらずリリエラがじたばたと暴れる。その隙にカレンが抜け出し、今度は俺を後ろからくすぐってくる。
「こしょこしょー!」
「あはははっ、ちょ、カレン。やめ⋯⋯」
「やーだー。こしょこしょー!」
「ひいっ。あはははっ、ヤバいって。」
すると今度は倒れてたリリエラが復活しカレンの後ろに回り込む。
「カレンちゃんこちょこちょー!」
「にゃあっ!リリひゃん!にゃはははは。」
猫みたいな口調でカレンが悶える。そう、これが最近俺たち兄妹の中で流行っている遊び、
『くすぐり戦いごっこ』であった。
これは兄妹のスキンシップだから!セーフセーフ。なんにもやましいことは無い。わかったね?
そんなこんなで俺達はとても仲良しな兄妹であった。
――――――――――――
さらに1年、俺は5歳でリリエラとカレンは3歳になった。俺達はずっとお気に入りの遊び場である花畑で、いつものように遊んでいた。がしかし、最近また流行りの遊びが変わったのだ。
「魔女リリエラちゃん!にぃをかえせ!」
「よくここまでたどり着いた。勇者カレンちゃんよ。しかし、にいさまはわたさん!」
「なにー!ならば戦いだっ!」
そう言ってリリエラとカレンの戦いの火蓋が切られた。と言っても殴りあったりするのではなく、あくまでもくすぐり合いだ。
そう、今までの『くすぐり戦いごっこ』にストーリーがついたのだ。二人が頑張ってセリフを言うのを見ると学芸会を見ているようで微笑ましい。
が、腑に落ちないのは何故か俺が毎回『囚われのお兄様』役だということだ。以前、俺も勇者役をやってみたい。と言ったところ、二人の妹たちでお姫様役の取り合いになって喧嘩になってしまった。
仕方が無いのでそれ以降はずっと俺が囚われ役をやっている。
「こちょこちょ、どうだまいったか?」
「にゃはははは、リリちゃ、うひゃっ、にゃははー。」
どうやらカレンが劣勢のようだ。可愛い妹たちがくんずほぐれつしているのは⋯⋯こう⋯⋯良い。
と、俺が幸せを噛み締めていると、
「にゃはははは、にぃ!にぃ助けて!」
と、カレンからの要請が入ったので、リリエラの後ろに立ち、その首筋をくすぐろうとする⋯⋯が、
「にいさまはリリのこと倒しちゃうの?」
と、うるうるとした目で悲しそうに聞いてくる。
こ、こんな可愛い妹に攻撃するなんて無理だっ!と思っていると今度は
「にぃはカレンのこと助けてくれないの?」
これまたカレンが目を潤ませて聞いてくる。
お、俺はどうすればいいんだっ!そう激しく心の内で葛藤していると
「にいさま、すきありー!」
「こしょこしょー!」
リリエラに急に押さえつけられ、カレンにくすぐられる。
「あははっ、待って、ずるい!あはははっ、囚われ役は助けられるんじゃなかったの?ははははっ。」
「魔女と勇者とにいさまは、みーんな仲良くなりましたー!」
「なりましたー!」
「そんなのありっ?あはははっ。」
リリエラとカレンの劇はいつもこのように幕を閉じるのであった。
よろしければブックマーク、↓にあるポイント評価お願いします!