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リキの幼少期

幼少期で足りないストーリーを書き足しました。

 俺が転生した日に育て親となった父と母に拾われてから数日がたった。


 ベビーベッドに寝かされながら俺はぼーっと手に入れた情報の整理をしていた。


 まず、俺の育て親⋯⋯いや両親の名前はリカード・フィーリアとマリア・フィーリア。この二人はどうやら今年―――というよりつい先日結婚したばかりの新婚さんらしい。


 銀髪の美しい母親が自己紹介と言って色々と話してくれた。


 さらに、金髪の爽やかな青年―――俺の父親にあたる人物は名のある冒険者で、その功績を認められて1代限りの貴族としての地位を与えられるほどだというらしい。


 イケメンで実力もあって綺麗な嫁もいるとかめちゃめちゃ勝ち組じゃないか!羨ましい!


 それに父親も母親も若くて俺にとっては父母というより兄姉と言った方がしっくりくるぐらいだ。


 たぶん歳も20かそこらだろう。中身が18歳の俺からすると精神的な年齢は2、3しか変わらない。


 次に言語と文字だが、異世界に行って一から全く知らない言語を勉強し直す。といったことは全然なくて、言葉もわかれば文字も読めた。


 この辺は神様が気を利かせてくれたのだろうか?グッジョブ!


 ともかく俺がこれからお世話になる人だ。よく知って良い関係が築けていけたらと思う。



 ――――――――――――



 「リキくん『母様』ですよー!」


 「リキ、『父様』だよ。」


 俺の両親が俺のことを見つめ必死に名前を呼ばせようとしている。


 今、俺は1歳になっていた。それでなぜ両親がこんなにも必死に喋らせようとしているかというと、先ほど俺が、空腹のためお腹がなった時、ポツリと


 「ご飯⋯⋯。」


 と呟いてしまったのだ。それを偶然母親が聞いてしまい今に至るという訳だ。


 数ヶ月の時から度々言葉を教えて貰ってはいたのだが、いきなり喋り出すと不審に思われそうだったので、


 「うー」とか「あー」などの喃語ばっかりを話していた。


 いやポツリと呟いたのが1歳になってからで良かった。そろそろ喋るようになっても何ら不思議ではない時期だからだ。


 これが生後1ヶ月の時期とかだったらきっと不気味に思われていただろう。


 ともかく、俺の流暢な『ご飯』の言葉を聞かれてしまったからにはこれからはどんどん喋っていくとしよう。


 「かーさま、とーさま!」


 といって、キャッキャと笑う。我ながらあざとい仕草だと思う。


 「おお!リキは僕達のことをわかっているようだ!」


 「ええ、そうですね。ほんとに可愛いわ。」


 両親ともメロメロになっているようだ。ふふふ、これが処世術ですよ!なんて言ってみたり。


 ちなみに何故父様と母様が俺のことを前世と同じ名前―――理樹リキと読んでいるかというと、俺を拾った時に一緒にこの子の名前はリキです、という手紙が添えられていたらしい。おそらくは神様の計らいだな。


 そんな感じに俺はなかなかに楽しい1歳児生活を過ごしていた。


 ちなみにこの頃に俺は立ち上がって歩くのをマスターした。初めて立って歩いた時の両親の感動具合といったら⋯⋯。


 ――――――――――――



 俺が二歳になった頃、俺に双子の妹ができた。


 名前はリリエラ・フィーリアとカレン・フィーリア。


 二人ともちっちゃくて可愛い。よく俺に擦り寄ってキャーキャー言っているのがリリエラ。俺の頬をガシガシと蹴りつけたりしているのがカレンだった。


 まあ蹴られてるといっても赤ちゃんの攻撃だ。全く痛くはないのでそこまで嫌でもなかった。


 それとこの子達は父、リカードと、母、マリアの初めての自分たちの子供だ。


 おそらく俺にも同じくらいたくさんの愛情を注いでくれているのだろうけれども、それにしたって、自分たちの血の繋がった子というのは何か感慨深い物があるのだろう。そう思い、ついに子供を作ったか、と、これからもお幸せにという意味を込めて両親をニヤニヤと見つめていたところ。


 「こ、この子変な表情してるわ。何が悪いもので食べさせちゃったかしら?」


 と母マリアに心配されてしまった。


 そして俺に試練が訪れた。


 母マリアは子供を産んだのでもちろん双子の妹たちは母親の母乳で育っていた。俺が拾われた時は、まだマリアは母乳の出る体質出なかったため、粉ミルク?のようなもので俺は育った。この点は俺を捨て子にしてくれた神様に感謝していた。


 自我があるのに、精神的に年齢の近い美少女のおっぱいを飲むなどはっきり言って理性が持たない。心は18歳なのだから!


 だがしかし、華麗にスルーできたと思われたこのイベントが、妹が産まれることによって再度訪れてしまったのだ。


 通常、2歳はとっくに母親のおっぱい離れをしているはず、なのに母様は、


 「リキ君だけおっぱいで育たないのは何か寂しいよ。」


 という超絶謎理論で二歳にして母乳を飲むこととなった。


 もちろん俺はいつものご飯でいいとの事を拙い(フリをした)語彙で必死に伝えたのだが、すべて無駄に終わった。


 俺の口元にマリアの豊満な胸があてがわれる。もちろん俺は無表情で何の行動も起こさない。しばらくすると、マリアが


 「やっぱり、本当のお母さんじゃないから⋯⋯。」


 とすごく小さな声で呟いたのが微かに聞こえた。⋯⋯それはずるいじゃないか!えぇいやってやる。鋼の理性だっ!


 俺は決心し、テンションを無理やり上げて母親の胸元にさらに口を近づけ⋯⋯。



 ――――――――――――



 「ど、どうしたんだい?リキ。何かあったのかい?」


 「とーさま、僕はやり遂げました⋯⋯。」


 ぐったりとソファに倒れ込んでる俺。それを見て心配した父親のリカードが何事かと母様に問う。


 「この子におっぱいあげたら、終わったあと悟りを開いたような顔で倒れ込んでしまって。ふふ、変な子ね?」


 「そ、そうかい。」


 「とーさま、僕はやり遂げました⋯⋯。」


 「お、お疲れ、そうだ。これ!王都に行ったお土産に買ってきたんだけど。」


 と言って父様は俺に絵本をくれた。


 今の父様の仕事は王都警備兵―――日本でいう警察のようなものの、剣術指南役で王都の警備兵たちを鍛えてるのだとか。


 「ありがとうございます。それでとーさま、僕はやり遂げました⋯⋯。」


 「う、うん?それはわかったけど⋯⋯。」


 「とーさま、僕はやり遂げました⋯⋯。」


 「マリア、助けて!リキが壊れたよ!」


 こんなやり取りがマリアが子供たちを母乳で育てているあいだは続いていた。








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