はじまりはやっぱりトラック
ぼちぼち書いていこうかと
気がつくと俺は何も無い真っ白な空間にいた。
「⋯⋯⋯⋯俺は。」
そうだ、確か今日は高校の卒業式だったはず。3年間通った校舎に別れを告げ、同じ部活に所属していた仲間たちと校門を出たその時、
俺は飛び出してきたトラックに轢かれたのだった。
薄れゆく意識の中、倒れた俺に駆け寄り必死に声をかける友人の姿を見て俺は意識を手放したのであった。
だが、実際俺はここで自我を保っている。
ここはどこだろう?そう思い辺りを見回す。すると一人の人物がこちらを見ていた。
「君は神谷理樹君というんだね。」
と、こちらへ声をかけたのは白い法衣に身を包んだ黒髪の男。見た目は若く俺と同じくらいだ。ファンタジーの小説などに出てくる神官のような服装をしている。
「そうですけれど、あなたは?」
そう言いつつも俺の頭の中には一つの考えが浮かんでいた。
もしやこの人は神かなにかでトラックに轢かれ死んでしまった俺を転生させてくれるのでは?と。
生前、俺がよく読んでいた小説ではこのような展開がいくつもあったが、実際に俺が経験するとは思わなかった。
何はともあれ、転生できるのでは?という望みとともに目の前の男を見る。
「あぁ、名乗ってなかったね。と言っても名前というより役職で言った方がわかりやすいかな?俺は⋯⋯神様だよ。」
ビンゴだっ!まさか俺の願望が叶うとは!ここまで来ればあとの展開はお決まりだろう。
チート能力などを貰って異世界へ転生し、人類の敵を倒したりするのだ。
俺がこれから起こる未来を予想し胸を踊らせていると、神様が口を開いた。
「それで、君にちょっとお話があるんだけれども。」
うんうん。きっとどのようなチートが良いかなどを選ばせてくれるのだろう。
「何でしょうか?」
魔力無限とか?成長チートとか?聖剣を貰ったりとか?はたまたその全部とか?
期待で頬が緩みそうだ。
「君は⋯⋯⋯⋯
何しにここに来たの?」
「はぁっ!?」
思いがけず素っ頓狂な声がでた。何故神様にここに来たか把握していないのか。転生うんぬんでは無いのだろうか。
「えっ、あの、俺はトラックに轢かれて死んで。」
「うんうん。」
「それで気がついたらここにいたんですが。」
「そうなのか、いや急に俺の仕事部屋に人間が来たから何事かと思ったよ。それで、俺は君を成仏させればいいのかな?」
へ?いやいやとんでもない!せっかく神様に会えたのに何も無しで成仏なんかしてられない。
「あ、あの!もし出来ればでいいんですが⋯⋯転生⋯⋯とかできません?」
そう神様に聞いてみる。もう必死だ。
「転生⋯⋯?あー!転生ね!知ってる知ってるよ。他の神様がたまーにやってるやつね。」
どうやら神様も色々な方がいるらしい。
「転生かー。俺の担当の仕事じゃないんだけれども、まあいいか。良いよ!転生させてあげるよ。」
「ありがとうございますっ!」
何とか転生させてもらえるみたいだ。本当によかった。
「よし、そうと決まったら送り出すね。第二の人生頑張っ⋯⋯。」
「ちょっと待ったぁ!」
「ん?まだ何かあったかい?」
「その、チートとかって⋯⋯?」
異世界に行くにあたって、もし魔物などが居る世界に行った場合、殺し合いとは全く無縁な日本の高校生である俺が生き残れる自信は全くもって無い。
その旨を神様に説明する。
「あーそっかそっか、思いつかなかった。そのまま転生しても魔物の襲撃?とか魔法を使うとか大変すぎるもんね。よし、君に俺の加護を付けておくよ。それでたぶん大丈夫?」
疑問形でなくはっきりと大丈夫と言ってほしい!が、チートも貰えるようだったので文句は言えない。
それにやっぱり魔物や魔法が存在する世界に行くのか!
「今度こそ大丈夫かな?それじゃ改めて、第二の人生頑張ってね!」
「はい!ありがとうございます!」
その言葉を最後に俺の意識は再度闇に包まれた。
――――――――――――
眩しい、俺はそう感じてゆっくりと目を開ける。するとだんだんと視界がはっきりとしてくる。
すると一面の青空か広がっていた。どうやら俺は今仰向けに寝ているようだ。
あたりを見ようとする、が体が動かない。全く力が入らないのだ。
自分の状況が詳しくはこちらわからないというのはかなり不安になる。そう俺が恐れていると、
「おい、あそこに赤子が捨てられてないか?」
「まあ!そうみたいですねあなた。可哀想に。」
そのような声が聞こえて、二人の男女が近づいてきた。
両名とも驚くほどの美男美女で、女性の方は流れるような豊かな銀髪と豊満な胸が美しい。
男性の方は金髪で高身長な爽やかなイケメンだ。
そして聞き捨てならない!「捨てられていた」だって?
まさか神様は俺を捨て子設定で異世界に送り出したのか。もう少し優しい送り方は無かったのか!このまま気付かれずに死んでしまったならば笑えない。
「神様に無事結婚できたことを報告に来たら、赤子が居るだなんて。」
「ねえあなた。きっとこの子は私たちに育てろという神様からのお言葉だと思うの。私たちで育ててもいいかしら。」
「あぁ、僕もそう思っていたよ。この子は僕達で育てよう!」
順調に育て親が決まっちゃったよ。それに今いる場所は神様が祀られている場所だったんだな。
と、そこまで考えたところで色々あった疲れが赤子の身体には耐えきれなかったのか急に睡魔に見舞われた。
女性のほうに抱き上げられる。
その暖かな温もりの中で俺は眠りにつくのであった。
よろしくお願いします!




