ギフトの恩恵
みここです。初投稿の前段階。
爆発によって気温に変化があったのか、次の日は雨が降った。
僕はというと、宿の中で静かに過ごしていた。
あのあと、屋敷は街のひとたちが救護隊と消火隊を組んで事態の鎮圧を行った。本来平和なはずのクラリス王国のため、大規模な魔法攻撃にたいしての組織がなく、招集するのに時間がかかったしまったのだという。しかし救護班はこの場合必要なかった。なぜなら、あそこにはすでに救護可能な人たちはいなかったからである。屋敷の中にいた数十名の使用人と来賓の死体を処理した後、救護班の一部は消火隊に動いた。小k隊と言っても、炎は静まっているので、主に屋敷の解体に近かった。
ヴァンの遺体は見つかっていない。
それもそのはず、死体のどれもが炭と化していたので判別ができないのだ。
もともといた人数もまだ把握できていないので現状、まだわからない。
爆発魔法は全体に行われたのではなく、複数回に行使されてた魔法らしく、運よく逃げ延びた可能性はあると、消火隊の人たちに言われた。
しかし、ヴァンの居場所がわからない今、それも気休めの言葉であることは向こうも承知の上であった。
そんな喪失感と虚無感で4日ほどたった今日。
しばらく続いていた雨が止んだので、気晴らしに街に出ることにした。
遠くの、かつて屋敷があった丘には今はなにも残っていない。無事解体を済ませたのだろう。
そんな、もはやどうでもいいことを思っていると、ふと変な感覚が僕を襲う。
「この感覚は……」
体から何かオーラのようなものが抜け出て、空中に溶けていった。
この感じに覚えがある。
そう、これは……。
「ギフトが抜けたときの感覚だ」
僕のギフトは人から努力で得た力を奪う。それは五日で自動的に体から元の身体に抜ける。そして前回このギフトを使ったのは。
「ヴァン……」
オーラが溶けていった方を見る。
あっちにヴァンがいるかもしれない。
僕は、決意を決めると宿にもどり、荷物をまとめてそのオーラの消えた方向に走り出した。
みここでした。初投稿は次です。
ヴァンの生きている希望を胸にミラは走ります。