新しい装備
みここです。
初投稿ネタはいつまで
たくさんの露店がずらりと並んでいる。
道は半分ほど人で埋まっているが、それでも決して歩きづらいようなことはない。
見たいように見たいものだけ、ミラは店を回った。
食べ物や飲み物など売っている区画を抜けると、今度は冒険者用の装備が売られているところに出た。僕も旅人ではあるが、冒険者というくくりに入る。防具やら剣やらを見て回ることにした。
「今現在は全身革装備か……」
そう、僕は今革でできた装備で固められている。それに加え雨風をしのぐためのマントに、グローブ、バングルにレザーブーツ。ゲームでいう典型的な初期装備である。そのゲームをやった記憶はないのだけど。
どちらにせよ、今のところ装備でこまったことはない。なぜなら、あまりがちがちの装備でも、僕に合わないと思ったからである。守りを固めるよりも、いざ逃げたりできるように軽いままのほうが理にかなっている。一人旅では、なにも敵と戦わなくてもいいのだ。
武器に関しても現状このダガ―で足りる。ソフィーから習った影魔法ならば切れ味もリーチも伸びる。
「そう思うけど、やっぱ見ておきたいよね~。気になる」
いらないと心では思っていても、自然とこの手の物は気になってしまうのはつらいところだ。
どちらかというと、物は捨てられないタイプである。
一通り武器屋を覗いたが、やはり何も買わずに終わった。ほしいと思っても、値段が高いうえに装備しても腐りそうなものばかりだった。
とくに何を買ったわけでもない僕は、しかし目新しいものをみてまわってすこしほくほくとしていた。
まだしばらく歩いていると、一つのお店が目に入った。
「道具屋……か」
道具屋。いろいろなアイテムが陳列されるお店。
先のオークとの闘いで敵が使用していた回復薬もそこには並んでいた。
「これのせいで足元をすくわれたんだよね……」
しかしこれのおかげで腕の傷も治っている。
こういった回復薬が戦闘において貴重なことは、身体でもって理解している。
「買っておこうかな。おじちゃん、これ三つください」
「あいよ、30銀貨だ」
「30銀貨……割とするなあ。仕方ない」
僕は店の人に1銀貨を渡し、70銀貨をおつりとして受け取った。
「あ……、しまったな。革袋い入れると壊れちゃいそうだな」
そうだ、回復薬はガラスの瓶に入れられている液体の薬だ。麻縄でいくらか周りを補強してはいるが、なんの衝撃で壊れてしまうかわからない。一つ10銀貨というそれなりの貴重品だ。こわして使い物にならないでは、辛すぎる。
「お嬢ちゃん、それならこれも一緒にどうかね」
そういって店のおじさんはポーチを取り出した。
茶色で丸みを帯びた小さなウエストポーチ。腰に巻いて金具で止める形式のものだから、戦闘中でも両手はふさがらない。
「このポーチはな、ちょうど回復薬も入れられるスペースがあるんだ。見た目に反して機能も容量もたいしたもんだよ。丸いシルエットが女の冒険者にも人気だ」
なるほど……。どうせならこれも買っておいた方がいいな。
「よし、それじゃそれも一つください」
「50銀貨な」
「うう、おっちゃん、商売上手だな」
「へっへっへ。これでも結構稼いでるからな。う~ん、仕方ねえ、お嬢ちゃん可愛いから40銀貨に負けてやる! お嬢ちゃんも運がいいねえ!」
「え、いいの! やりぃ! おっちゃんありがとう。大好き」
「はっはっは」
これで40銀貨と引き換えにウェストポーチを手に入れ、所持金は1金貨40銀貨に50銅貨か……。
まあ、このくらいの出費ならまだ痛くない。これから必要になってくるだろうし。
僕は、さっそく買ったばかりのウェストポーチを身に着ける。ついでに回復薬もセットする。
「これでよしっと」
幾分か重くなった分、安心感も湧く。これでいざとなったら回復できる。戦いは基本避けたいが、すこしこれからが楽しみになった。
そんな将来の戦闘について想像していると、遠くのほうで爆発音とともに地鳴りが響いた。
近くにいる人々からどよめきが広がる。
「な、なんだあ」
「ありゃあ魔法の爆発だな」
周りの冒険者が他人事のようにしゃべる。
「おっちゃん、あっちの方角って何があるんだ」
僕は思った。もしかして、と。
「あっちは、貴族のある屋敷だな。っておい! どこ行くんだお嬢ちゃん! 危ないぞ!」
聞いて即座に僕は走り出した。
貴族……。つまり今、ヴァンがいるところだ!
みここでした。
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丸いデザインは女の子大好き。っと思ってます。え?違う?