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第23話 オモカネは賢い。でも、バカ。

 ダンジョンの最下層にてヒミカとタキリは、ソファに座ってお茶を飲みながらスクリーンを眺めています。スクリーンには、ダンジョン内を進むウスメの姿が映っていました。ウスメを発見したヒミカはタキリに話しかけます。


「見てください、タキリちゃん。

 どうやらウスメちゃんもダンジョンへの挑戦を始めたみたいですね」


「あっ、本当ですね。

 ネッコも撃退していますし、さすがはウスメちゃんです!」


 ヒミカとタキリはさらにダンジョン内の様子をスクリーンで眺めていきました。

 ネッコと遊ぶ子供達、宿屋に入っていく挑戦者、イッヌとフリスビーで遊ぶ者達、スクリーンにはいろいろな挑戦者の姿が映し出されました。そんな中、ダンジョンの入口近くがスクリーンに映った際、異様な一団の姿がそこにありました。その姿にタキリはぴしりと固まります。

 

「えっ、なんですか?

 あれは?」


 タキリは呆然としつつ呟きました。

 ヒミカはその一団の姿を見ながら、自分に言い聞かせるかのようにタキリに話しかけます。


「先頭にいるのはオモカネとタヂカですね。

 どうやら、あの一団は神々なのでしょう。しかし、変わった恰好をしていますね」


「ヒ、ヒミカ様!?

 あれは変わった恰好と言うよりも、怖いですよ!?」


「ムムム、そうですか?

 でも、あの恰好にも何かの理由があるはずです」


 ヒミカとタキリがスクリーンに映ったオモカネ率いる神々の一団について議論をしていると、クッチとニミがやってきました。


「ああ、いいところに来てくれました。

 ニミちゃん、くっちゃん、あれを見てください」


 ヒミカがスクリーンを指さし、クッチとニミにもスクリーンに映る異様な一団を見るように促します。

 クッチとニミはスクリーンに目をやりました。そして、ニミは眉間にしわを寄せ、クッチは「バカだ」と呟きます。


「あの変わった恰好は何の意味があるんでしょうね?

 ニミちゃんとくっちゃんはどう思いますか?」


 ヒミカに質問をされたニミとクッチはソファに座り、まずニミからスクリーンに目を向けたまま答えます。


「多分、オモカネの提案なのでしょう。

 あまりにもダンジョンの探索が進まないために、あの恰好ならネッコやイッヌたちをやり過ごせると思ったのではないのでしょうか?」


「なるほど。

 たしかに1階層のネッコたちもあの異様な集団には近づいていこうとしませんね」


 ヒミカはニミの返事を聞いたあと、スクリーンの中に映る近づこうかどうしようか困っているような動きをするネッコたちに見やります。ニミに続いてクッチも自身の考えをヒミカに伝えます。


「オモカネは賢い。

 でもバカ」


「オモカネは知恵者ですからね。賢いのは当然です。

 でもバカではないんじゃないでしょうか?」


 クッチはヒミカの言葉に首を横に振ります。


「オモカネはバカ。

 あれを見て確信した」


 クッチは力強く断言しました。

 スクリーンに映るオモカネ達は、正面に壁があるのに気にせず歩いて行きます。そして、どんとオモカネが壁に当たりこけました。そのあとに続く神々はオモカネにつまずき、こけて重なったりしていきます。


「ああ、大変です!

 こけちゃいました!」


 スクリーンを見ていたタキリが悲鳴をあげます。

 ニミとクッチは冷めた目つきでスクリーンを眺めています。ヒミカは口元に手をやりながら、ぽつりと呟きました。


「やっぱり、見えていなかったのですね」


 スクリーン上に映るオモカネたち、神々は全員黒い目隠しをし、それぞれがはぐれないように身体をロープで結んでいました。先頭を歩むオモカネだけは転ばぬ先の杖を持っていたのですが、壁には効果がありませんでした。


 オモカネたちはのそのそと立ち上がり、再びダンジョン内を歩き始めます。

 周りにいたネッコたち、他の挑戦者たちはそっとオモカネたちから視線を外し、何も語りませんでした。そして、目の前の光景はなかったことにし、ネッコ達と挑戦者たちは遊び始めたのです。


「やっぱりバカ」


 クッチのつぶやきだけが最下層でよく響きました。

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