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第21話 新たなる挑戦

「5階……100名の神々で挑み、1週間経った成果が5階……」


 オモカネはソファに腰掛けたまま呆然と呟きました。

 そんなオモカネの様子を気にせずに、ウスメはサンタマ達に問いかけます。


「えっ、宿屋?

 ヒミカ様のダンジョンの宿屋ってそんなにいいの?」


 サンタマ達はにやりとして得意げに答えます。


「良いも何も、すごく良いのじゃ!」


 サンタマはくわっと目を見開いて大声で叫びました。


「しかりしかり!

 美味しいご飯、広くて種類のあるお風呂、サウナというのもよかったのである!」


 ナガミチは腕を組んでしきりに頷きます。


「なにより、リラックスルームにあったあのクッションはよかったね!

 沈むんだよ! クッションに座るとずずーっと身体が沈んでいくんだよ!」


 オオヒツが興奮気味にクッションのすばらしさをウスメに伝えます。

 オオヒツの言葉に、サンタマとナガミチも同意の声をあげました。先ほどまでの覇気のない表情をした3名とは思えないほど、熱く宿屋の良さを語ります。


 3名の勢いに押され、少し引き気味になりつつウスメは「そうなのね」と答えます。


「あー! 説明してたらまた行きたくなってきた!

 お金を下ろしてまたダンジョンに潜らないと!」


「しかりしかり!

 吾輩もお金を下ろしにいくのである!」


「待つのじゃ! ワシも、ワシも行くぞい!

 待っておれよ、宿屋よ!」


 ウスメの返事も耳に入らず、サンタマ達は慌ただしげに部屋をあとにしました。

 タヂカは壁にもたれたままで、サンタマ達に声をかける間もありませんでした。ウスメは「ふぅ」と息を吐きつつソファに横になります。


「そんなにいいのかなぁ、ダンジョン内の宿屋。

 ウスメもヒミカ様のダンジョンに潜ってみようかな」


 タヂカは壁にもたれたまま、あごに手をやりどうするかを考えます。


「たしかに、このままでは埒があかないな。

 オモカネよ。もっと大人数で、そして、我らもヒミカ様のダンジョンに挑戦した方がいいのではないか?」


 オモカネはタヂカの問いかけに静かに頷きます。


「あぁ、その方がよさそうだな」


 オモカネは決意を新たにしたのか、顔をきりりと厳しく引き締めます。


「ヒミカ様のダンジョンが100階層以上あるとわかったのだ。

 今までのように悠長にダンジョンに挑んでいる暇はない。全力でダンジョンに挑戦し、踏破せねばならん」


 オモカネの重々しい言葉に、タヂカは「うむ」と頷きました。

 こうしてオモカネ達神々のダンジョンへの再挑戦が始まったのです。



 ◆



 ダンジョンへの挑戦者の選抜を始めたオモカネとタヂカを残して、ウスメは部屋をあとにしました。

 1人で廊下を歩きながら、先ほどのサンタマたちの言葉を思い返しています。


「うーん、身体が沈み込むクッション?

 そんなの本当にあるのかな。宿屋は5階層にあるっていうことだし、ウスメもダンジョンにちょっと潜ってみようかな」


 ウスメはポーチから財布を取り出し、お金を確認します。

 普段はあまり買い物をしないウスメの財布にはお金があまり入っていません。


「うん、オモカネ銀行に行ってお金を下ろしてからダンジョンに向かおっかな」


 ウスメは小走りでオモカネ銀行へと向かいました。

 そして、その日はダンジョンへ挑戦する準備をしっかりとして、翌日ダンジョンへと1人で潜っていくことにしました。基本的に協調性のないウスメは団体行動を嫌っているからです。





 翌日の太陽がかなり高くまで昇ったとき、ウスメはダンジョンの前にやってきました。


「おーし、目指せ5階層! 目指せ宿屋!」


 ウスメは1人で気合いを入れ、ダンジョンへと足を踏み入れます。

 ウスメのダンジョンへの挑戦が始まりました。

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