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それから30分後。
新山さんはようやく来てくれました。どうやら携帯を充電するのに失敗したらしく、携帯の充電のために来るのが遅れたらしいです。
……全く持って人騒がせな女性です。携帯を持ってないと落ち着かないなんて。
そして担当を代わって貰った私、妹尾綺理は、すぐさま梶原君(……それと姉川さん)を探す事にしました。
「確かさっき、梶原君と姉川さんに似た男女を校舎内で見たと言う情報が……」
クリスマス実行委員権限を使って、他の委員会の人やここに来ていた人達から情報を集めた私は学校内へと入った。
校内は一応、実行委員会の本部や食物の保管用に使っているので、入る事は出来る。それに貴重品は鍵付きロッカーを使って保管していると言う事なので、誰も見張っていないので簡単に入る事も出来る。
まぁ、要するに何か隠れてする事があるのだとしたら、ここ以上に適した場所はありません。
「まぁ、どうせ『誰にも見られない場所で話したい事があるの』とでも言われたんでしょうね。
……梶原君だったら、それを許しそうです」
まぁ、梶原君は良く実行委員を手伝ってくれていたので、ここの場所くらいすぐに思いつくでしょう。
「落ち着け、私。仮に梶原君と姉川さんがキスとかしてても、そこは暖かい心で迎えましょう。そこで怒り出したら、間違いなく姉川さんの策略に載る事になります」
そうです。キスなんてしていたとしても、梶原君は無罪に決まっています。
そうです。話を聞いたら全く無罪だと言う事もあるだろうし。
キスしている彼らでも想像して、ちゃんと予測しておくとしましょう。
まずは話を良く聞いておきましょう。
そう。何事も相互理解が大切……。
そして、私は校内で2人を探して扉を開けると、2人は居た。
教室の中で抱き合いながら、キスしている感じを漂わせていた。
彼らの顔を確認した私は、
「……へぇー。お2人様、ごゆっくり」
そう言って、無表情のまま顔を1mmも動かさずに扉を閉めた。
そして、そのまま走り去っていた。
「抱き寄せているのは計算外ですよーーーーー!」
私はそのまま校内を走り去っていました。涙目で。
「あぅー、絶対出来てるじゃん! あの2人ーーーーー!」
やっぱり想定外だと、こうなりますよね。はい。




