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姉川莉ヶ亜。
姉川と言う名の人物は4人は居たけれども、16歳頃と言う人物の年齢から察したら彼女しか居なかった。
くしくも私と同じような綺麗名前の持ち主だったのは、変な連帯感を覚える。だとしても、彼女を許す気は全く無いのですけれども。
「お、おい。綺理さん、どうして姉川の名前がお前から出て来るんだよ?
そして、今はクリスマス会の準備のはずだろうが……」
「ええい! 黙ってください、黙ってください! ちゃんと梶原君の口から、姉川さんの内容を聞くまで帰らせませんからね!」
「えぇー……」
姉川さんの事を調べるのに一日。それからこの放課後の場を用意するのに一日。
頑張って作ったので、姉川の事は出来る限り聞きたい物です。
えぇ……。出来る限り、出来る限り聞きたい物です。
えぇ、それはそれは出来る限り、詳しく聞きたい物です。
「姉川ね……。多分、姉川莉ヶ亜の事だな。うん。
性格はクールだな。あぁ、あれはリアルなクーデレだ、うん」
クール? あれはどちらかと言うと、ドライな部類だと思うんですけどね。
そして、デレ? まぁ、あれがデレると面白いとは思うんですけどね……。
「出会いはどこで?」
「えっと、廃ビルの屋上で?」
それはまた、個性的な場所で。
まぁ、梶原君は何だろうとアリだと思うんですけれども。
梶原君は……ほっておいたらどこまでも突っ込んで行きますからね。
気にしたら負けです。割とマジな方向性で。
「自殺しようとした所を運良くキャッチ出来て、本当に良かったよ。あぁ、本当に。
それから、何度か夕食を一緒に食べに行ってるんだけどな」
しみじみと頷く彼を見て、
(そこでフラグが立ったんだろうな、うん)
と思う私、妹尾綺理。
まぁ、それだけ情報があると良いですしね。
どうやら彼女も私と同類のようです。
普段はキツい事を言ってても、本当はデレデレ。
……まさしく私その物……。
どこかの誰かさん。まさしくその通りだと思わないでください。
私は表面ではクールっぽくても、中はデレるとかじゃないですからね。
「……では、梶原君。今日は念入りに準備をしましょう。えぇ、念入りに。しみじみと」
「あぁ、でもなー」
「今日は返しませんよ。えぇ、色々とあるので。
……今日は梶原君と仲を深めるために、色々と話題を用意した私の身にも……」
「えっ? なんか言った?」
「……い、いえ! 気にしなくて大丈夫ですよ!」
そして、その日私はさらに仲良く出来る用に話題を振りながら、さらに仲良くなった気がしたのであった。
言っときますが……流石にあからさまな話題はしていませんよ。
出来る限り、『結婚』や『恋愛』などの話題をするように意図的に話題を操作したのは、偶然なんかじゃないですからね。
偶然ですから、ただの偶然ですからね。




