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その次の日の放課後。
私は梶原君の後を追っていた。
梶原君は今日も用事があると帰って行った。
そんな彼の跡を追って、今日こそは彼が会っていると言う女性を確かめる。
そう思っていたのだけど……
「何……あの人」
私は梶原君の目当ての人物を見て、愕然としていた。
だって、梶原君の相手をしている人物があまりにも女性らしい魅力に溢れていたからである。
黒い髪の腰まで伸びるロングのストレート、白いカチューシャを頭に載せている美少女。左側の髪の一房は白と赤のリボンで蝶結びでくくられており、長い紐なので蝶結びに使われていない残った紐は胸の辺りまで伸びている。
入江高校の黒い制服をあり得ないほどに押し上げる巨乳に、梶原君と同じくらいの女性としては高すぎるくらいの長身。
そして、彼女の顔付きは端正な整った顔立ちに、少し灰色に近い黒い瞳で梶原君を見つめている。
「いやー、姉川。今日はどうしたんだ、いつも行くのにどうして今日はこんな所で会うなんて」
姉川と呼ばれた女性は、瞳を猫のように細めて、梶原君を見つめながら
「……別に良いじゃないですか、義人君。私がどこで会おうが、私の勝手でしょうが」
クールに毒を吐く姉川。
……って、何を気楽にこの女性は、梶原君の名前を呼んでいるんですか!?
べ、べ、別に呼びたい訳じゃないんだよ? 出来うる限り、呼んでみたいなーと思っているんだけど、それはなかなか出来ないし。
こ、今度呼んでみようかな? うん、仕事の流れで呼んでみようかな?
こう、会話の流れに自然と混ぜるように。
「……まぁ、まずはあの姉川と言う女性を警戒しておきましょう」
とりあえず会話を聞きながら、2人の関係性を知るとしましょう。
「姉川、今日は本当に早いですね」
「……別に早くは無いですよ。いつも通りです」
「ここ2、3日は綺理さんと一緒に仕事をしてたから、遅くなってしまって悪かったな」
「……別に遅くは無いですよ。いつも通りです」
「あぁ、今日もこれから仕事かー。張り切って頑張るぞー」
「……別に頑張らなくていいですよ。いつも通りで結構です」
……ド、ドライです。クールと言うよりは、ドライすぎます。
あの姉川と言う女性、あまりにもドライすぎてびっくりです。
「ここは一旦帰って、姉川と言う女性の名前を確認して、梶原君を問い詰めるとしますかね」
そう意気込んで、私は家へと帰って行った。
「姉川よ、今日の晩飯は何だ?」
「……別に心配しなくて良いですよ。いつも通りです」
……夕食も一緒に食べているとは、一層念入りに調べたくなりましたよ。梶原君。




