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そして事の顛末。
月見山だんごは早く家に帰りたくて急いでいたらしく、普段は通らないような裏道を通っていたらしい。
そこでだんごはあの不良共の麻薬取引現場を目撃してしまった。スーツケースとかではなく、普通に白い麻薬を相手に見せている状態で。だからこそ、月見山だんごは口封じのために不良共に連れて行かれてしまった。
梶原先輩はだんごが不良達とどこかに行く所は目視していたのだが、その時は知り合いか何かだと思ったらしい。少々怪しいとは思ったらしいが、その時は急いでいたらしく、ろくに確認に行けなかったらしい。
『いや、不良と知り合いの女子高生なんて居るはずないでしょうが!』
と、蓮華はツッコミをしたのだけれども、
『……すいませんね。そんな女子高校生で』
と言う綺理ちゃん先輩の悲痛な訴えでおじゃんになった。
とにかく……。
裏道をだんごが通らなければ。
梶原先輩がその時に対処していれば。
梶原先輩に用事が無ければ。
こんな不良共との一戦も無かったと言うのである。
「いや……。そんなたらればの話をしても仕方ないか」
あの不良共は梶原先輩の通報によって駆けつけた警察官達によって、逮捕及び連行された。
だんごに大した怪我は無く、執拗に痛めつけられた俺、三輪敦の頬と右腕が痛いだけである。
利き腕であるために多少の不便は覚悟していた。
だけど……
「はい! あっくん、食べて食べて!」
「いえ。こうなったのは元はと言えば私のせいだから、私が!」
昼休み。
右隣では蓮華が箸に玉子焼きを、左隣ではだんごが箸にミートボールを。
それぞれ俺の口元目がけて、箸に挟んだ食物を向けてくる。
「えっと……どっちかだけで良いのだが」
周り(特に男子)が『何、このリア充』と言った様子でこちらを睨みつけているし。
そんな事に気づかずに、蓮華とだんごは2人で言い合いをしている。
「ちょっと……! だんごは自重してください! ここは幼馴染であるボクが、あっくんの手助けをするの!」
「いえ! 私が不良共に捕まったのがこの怪我の原因ですし、ここは私が責任を……!」
「なんですか、ボクに任せておいてよ! 月見山だんご!」
「それはこちらの台詞です。私に任せてください、榎蓮華さん!」
むー、っと現実に火花をぶつけている2人を見ながら、俺は1人溜め息を吐く。
(誰か……俺に安らぎをくれ! 誰でも良いから!)
俺はそう頭を押さえながら、そう嘆息して2人を見ていたのであった。
第1巻、『俺とボクとは釣り合わない』
ーfin.
-Next.
第2巻、『天才にはあと1歩が足りない』
これで『俺とボクとは釣り合わない』は終了です。読んでくださった方々、ありがとうございました。
本来は三輪敦と榎蓮華の恋物語を書きたかったのですけど、最後はこんなラブコメ的な話になってしまって……まぁ、楽しかったので僕個人としては良い作品だと思うのですけれど。
さて、次は『天才にはあと1歩が足りない』と言う作品を書く予定です。
登場人物としては、有能だけどどこか人との関わりを避けている少女、そして恋する少女、妹尾綺理ちゃんの話にするつもりです。
ご意見などがありましたら、出来る限り反映したいつもりなので、ご意見お願いします!
では、アッキでした。




