12
「アハハ!」
「ハハハ!」
「死ね! 死ね! 死ねーーーーー!」
釘バットやら、鉄パイプ。角材などを持った不良共が、俺めがけて向かって来た。
そいつらの動きは無駄に鈍く、その動きも愚鈍である。だから、俺はそいつらの足払いしてこかす。
さもあっさりと彼はこける。
「……あれ? こけちゃったよ?」
「ハハハ! ドジだな、お前は。ドジっ子だなー、おい」
「お前が萌えキャラ? ハハハ、笑わせんなよ、おい!」
こけた男は他の仲間達に笑われていた。
(なんだ、こいつら。まるで幼い子供みたいだ。どう言う事なんだ? これは?)
辺りを見渡すと、周りの不良達も笑っているだけでありこちらに攻撃しようと言う意思は確認出来ない。笑ってたり、色々と派手なアクションを取っている。
「この不良達、どうなってるんですか?」
蓮華がそう言うと、蓮華から解放されただんごが声を上げる。
「彼らは……麻薬を吸っています!」
「麻薬!?」
蓮華が驚きの声を上げる。俺も内心、驚いていた。
確かに彼は、まるで麻薬を吸っているのかのように怪しげな態度である。そう考えれば、色々と説明も出来る。
彼らが……あそこまで幼い子供みたいなのは、彼らが麻薬を吸っているとも……。
「正解だ。まぁ、最初から解答を知っている彼女に答えを言われても、面白くは無いけどさ。
彼らは麻薬を吸っている。そう、それもかなりの量の麻薬をさ」
ハハハ! と笑う病院坂。彼の手の中でピーナッツが拉げて壊れた。彼の足元にピーナッツの殻のくずが粉となって落ちる。
「名前を挙げるとすれば、そうだな。マリファナだな。
……俺様はマリファナを売り歩く職業をしててさ。こいつらに配ってるんだよ。
馬鹿だよな、こいつら。ピーナッツと同じさ」
そう言いながら、側に会った袋からピーナッツを出す病院坂。
「自らの皮をこちらから壊してやれば、むき出しの自分自身を俺様達に見せるんだぜ。食い物にされているとも知らずにな。そこの不良共も、このピーナッツも食い物にされている事を自分では分からない事に関しては一緒だな。ハハハ!」
まるで他者を馬鹿にしているように、いや本気で馬鹿にしているように笑う病院坂。そして、彼女、月見山だんごの方に指を指す。
「彼女は俺様と不良達との麻薬の取り引きを目撃してしまったんだよ。だから、俺様達の手で手厚く保護したのさ。ちょっと、柱にくくりつけるって言う乱暴なやり方になってしまったがな」
……そうか。それでだんごは彼らに連れ去れたのか。
「そこのお兄さんも少し邪魔なんだよね。俺様達のこんな所に乗り込んでくるとかさ。騎士ってムカつくんだよ、俺様。
だから気晴らしに……」
彼はピーナッツを潰した手を俺へと向ける。そして、その手で……俺を
「……殴らせてくれよ!」
思いっきり殴って来た。
「ぐはっ……!」
俺は思い切り殴られたせいで、後ろへと吹き飛ばされる。威力が強すぎて、まだ殴られた頬がひりひりと痛みが俺の脳内に感じられる。
「あっくん……!」
「敦……!」
2人が俺にそう叫ぶ。
「……ハハハ! どうやら当たったみたいだな。
さっきの見た限り、戦闘慣れしている訳でも体力的に優れている訳でもなさそうだ。だったら、お前を怖がる理由はどこにもない」
病院坂はそう言いながら、俺を殴る。
何度も、何度も、正確に頬のみを殴るようにして。
「ぐはっ! くっ! かはっ!」
俺は殴られたせいで、口から血を吐く。
「ハハハ! どうした、どうした? お前はその程度なのか!」
笑いながらそう言う病院坂。そしてそのまま、さらに俺を殴り続ける。
それから数分間、俺は殴られ続けられ、もう意識も朦朧としてきた。
(……このまま……なのか)
俺がそう心なしか思っていると、
「大丈夫か、お前ら!」
背後に青い警官服を着た沢山の人間を引き連れて、焦げ茶色の筋肉質な短髪男性が扉を開けて現れていた。
俺はその男性を見て、「……助かったのか?」と思いながら、意識を手放した。




