10
それは数日後、背中の怪我も治りかけの出来事であった。
「あーっくん」
えへへと顔を緩ませながら、最近の日課になっているのか俺の背中に抱きついて来る蓮華。
「なんか蓮華、最近スキンシップが激しくなっていないか?」
「気のせいだよ~」
と、蓮華は笑顔で言う。
「そう言えば、だんごさんは居ないみたいだね。何かあったのかな?」
そう言いながらきょろきょろと周りを窺う蓮華。
「確かにそうだな。今日はまだ見ていないしな」
何かあったのだろうか? 後で先生に……いや、妹尾ちゃんにメールしておこうか。
俺は携帯を開いて、メールを妹尾ちゃんに連絡する。
『すみません、妹尾ちゃん。だんごさんに何かあったがしっていますか?』
と、俺は妹尾ちゃんに連絡を取る。
程なくして、妹尾ちゃんから連絡が来た。
『だーかーらー、妹尾ちゃんじゃないっちゅうに。何で私に相談するかな。
こう言うのは、先生に……はい? 誰ですか? 今、メールの文面を……。
……か、か、か、か、梶原君!? い、いえ! 別に彼氏と言う訳じゃありません! 決してありませんから!
えっ? だんごさんは隣の高校の男子生徒達が連れて行っちゃった? それは……どうして知っているんですか!? ま、まぁ、梶原さんなら知ってても可笑しくは無いですけれど……。
とりあえず、敦君。後はお願いします』
妹尾さんからそう言うメールを受け取っていた。
えっと……確実に会話口調なのだが……。どうやって携帯でこんなメールを作っているんだ?
「隣の高校の男子生徒達?」
「もしかして何かやばい目にあってるんじゃ……」
「……かもな」
これは……至急詳細を求めないといけないな。
俺と蓮華はそう言葉もなく、頷く。幼馴染と言うのは、こう言う風に言葉もなく、会話が通じるのが便利と言えば、便利である。
秘密を作れないのが欠点だけれども。
そして、俺達は綺理ちゃんの所に休み時間行くように2人で言っていたのであった。
頭の中で「綺理ちゃんって言うな」と言う綺理ちゃんの声が聞こえた気がした。
そして綺理ちゃんに休み時間に情報を聞いた俺達は、その日早退して彼女の元に向かったのであった。




