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俺とボクとは釣り合わない  作者: アッキ@瓶の蓋。
俺とボクとは釣り合わない

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10/23

特別編Ⅰ

ちょっと番外編的な物語を1席。

本編とはあまり関係ないので、読み飛ばしても構いません。

まぁ、呼んでくれるなら嬉しいですけど。

私、妹尾綺理(せのおきらり)と言う人間。

図書委員会副委員長。



私は人に良く頼られるし、いつも予定を立てながら、計画的に理を成している。



多少の例外はあるけれども、大まかな予定通りに彼女は動いている。



「全く……」



三輪敦(みわあつし)月見山(つきみやま)だんごの2人を見ながら、私はそう言う。



「本当に……上手くいきませんね」



と、私は鞄に閉まって置いた知恵の輪を解きながらそう思う。

鎖が2つ繋がったようなそれ(ちえのわ)は、私の腕の中で複雑に絡み合う。



「本当に……人生は上手くいかないし、計画は急激に進行しませんし」



私はある意味、天才肌と言えるような人間だった。

人に出来ない事が簡単に出来て、人が難しいと思ってる事が容易に出来る。

それが私であった。



だから冷たく人と接していた。冷血に物を理解していた。捻くれて社会を見ていた。

高校1年の時までの私は、だいたいそんな感じだったらしい。

『らしい』とは、自分ではそんな事だと思ってなかったし、自分では普通に接しているつもりだったが、他人から見ていればそう言う感じだったらしい。

まぁ、今の自分から見れば、過去の自分は冷血漢だとは思うけど。



そんな私にも転換期、ターニングポイントみたいな物があった。



高校1年の時に同じクラスになった隣の席の男性は、主人公的な男性だった。

比喩的(ひゆてき)でも何でもなく、彼はそう言う人間だった。



嫌われないように他人と接し、好かれるように他人と接していた。

好意無く愛情を他人に分け与えて、クラスの中でも中心人物に当たる人物だったし、道化(ピエロ)のように意味も無く笑える人間だった。



クラス内では変わり者の私にも普通に接して、クラスに馴染ませるように努力し。

問題があれば、後に禍根(かこん)を残さないよう処理してくれる。



自己犠牲とも呼べる彼の生き方を、他の人間は笑っていたが、くやしいけどそんな彼に私は惚れてしまったらしい。



そんな彼に近付くように、出来るだけ彼の生き方を真似するよう約1年間過ごしてきた。



誰もやらないような委員会に入って、皆の仕事を減らすように努力した。

ー結局、仕事の大変さと効率の悪さしか身に付かなかったけど。



他人の相談事を受けて、それを解決するように助言を与えた。

ーその結果、彼よりも多くの悩みを受け付けるようになったが、相変わらず彼の所に持ち寄られる悩みの方が相手の人生観に深く影響している気がしているのだけど。



彼には遠く及ばない事を実感した。

彼がこんな生き方を10年以上はやっているのだろうと妄想してみたが、途方もなく面倒な事に感じて4年目辺りからもう考えない事にした。



「……まぁ、それでもっと好きになっちゃったのは良かったんだけど。

泥沼に深く、深く、嵌っている気がするよ」



はぁー、と溜め息を吐く。

さて、彼に見られないようにここに入った訳だが、いつここに彼が来るとも限らない。




「もう帰るかな……」



ガチャ。



扉が開くと共に、焦げ茶色の短髪男性が入って来た。

感情に乏しそうな顔、平均より少し高いくらいの背丈、ほどほどに筋肉質な身体。



「あれ? 綺理さんじゃないか、どうしたんだよ。早く帰るぞ」



「か、か、か、梶原(かじわら)君!」



目の前の男性、梶原義人(かじわらよしひと)はそう言いながら、私の手を取る。



ごつごつしていて、でも安心する、彼の手だった。



「もう下校時間だぞ、早く帰らないといけないじゃないか」



「そ、そうだね。早く帰らないと」



「ほら、置いていくぞ」と言って帰ろうとする彼に、「ま、待って!」と自分でも明らかにテンパってると思える、そのような言葉を言いながら彼の所に行く。

そして、彼の隣に並ぶ。



窓から望む外の景色は、夕焼けで茜色に染まっていた。

多分、自分の顔も同じくらい赤く染まっているんだろうなと思いつつ、私は彼の隣を歩く。



ー私は、彼に恋してる。

別サイド視点、と言う形で書いてみました。

有能だけどどこか人との関わりを避けている少女、妹尾綺理(せのおきらり)ちゃんの物語と言う形ですかね。

もし余裕が持てたら、書くのも良いと思いますが。

……本編より甘々になりそうな感じがひしひしと伝わってくるのですけど。

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