令和の米騒動に対する見解
本題に入る前に触れておくことがある。
私は基本、エッセイや小説を書く上では政治的な内容は控えるよう常日頃努めている。
これは特定の思想を持つ作者というイメージが作品へ悪影響を及ぼすという考えに基づくものだ。
しかし、昨今起きている米騒動を含めた食産に関する各種状況を鑑みて、自身の周囲の状況からやはり1つエッセイを投稿しておかなければいけないと感じたので、なるべく政治的な思想に偏らないように配慮しつつ一般論として今の日本における一部の人間の主張の危険性において警鐘を鳴らしたいと思う。
ゆえに多くの記述は一般論として語る事になるが、普遍的な一般論に基づき、現実的な視点から語る事にしようと思う。
まず最初に触れておくべきが"農協"こと農業協同組合について。
昨今、一部の著名人の間で、あるいはネット上における一部の人間において"農協"を敵視するかのような発言が相次いでいる。
理由としては"令和の米騒動"とも騒がれる米価格の高騰にあるわけであるが、ここについて一言言いたい。
農業協同組合というのは、合併を繰り返して周辺地域の組織が1つにまとまった、より大きな組織形態を持つような鹿児島や岡山などの事例を除き……
多くの都道府県においては"市区町村単位"で存在するものであり、"農協"という組織をさも1つの組織であるかのように語るのは非常に危険極まりない行為であり、それによって組織のイメージを固定化することは回り回って自らの首を絞める事になるのだと。
ここについてはハッキリいえば、全ての農協が一概に同じ思想を持っているわけでなければ、米価格高騰の原因となっているわけではないということだ。
このあたりはJA共済等が存在し、保険サービスなどにおいて全ての農協におけるサービス内容が一律になってたりしていて完全に勘違いしているんじゃないかと思う。
JA共済と各市区町村単位で存在する農協は別組織だし、JA共済はほぼ全ての農協が加盟して成り立っている保険業等を行う組織に過ぎない。
これを国に置き換えて例えれば、国連が国際連合共済とかいう形で保険業を営んでいて、国連加盟国の国民であれば一律で同じ保険サービスを受けられるのと同じような状態なわけである。
いわば「農協! 農協!」と騒ぐのは「国! 国!」と騒ぎながら、特定国家や国家という存在そのものについて全く認識できていないのと同じことだ。
多少なりとも農産に関して関わりがあるなら批判者が持つ視点の異常性というものが見えてくる。
本当に上の状態だからね。どの農協の話だっていう。
上記の例で言えば日本とイギリスなどが全く文化も歴史も異なるように、各地の農協はそれぞれ土地や文化に基づいた特色を帯びているわけである。
それこそ特殊な農協も存在し、京都や静岡、三重にはお茶に特化された農協が存在するぐらいである。
京都には"京都茶農業協同組合"、静岡にはマルウチや富士茶農業協同組合、三重には"三重茶農業協同組合"、といった地域の特産物に特化された農協は現在でも存在しているが、茶関連ではかつては狭山茶関連で埼玉県などにもあった他、地域ブランド産品においては生産組合から格上げして組織された農協が存在した。
多くは合併され、部会として特定の市区町村の農協の1つのグループに吸収されているが、部会が極めて強い権限を持ち、出荷価格の決定権などを持つようなケースは少なくない。(生産組合であったことの名残り)
当然にしてブランド米を持つようなところでは、ブランド米の価格決定権を部会が握っている事もあるわけだ。
一緒くたにして語っていい組織ではないわけである。
そしてそもそも世間ではしきりに全農やら全国の農協やら単語を出してくるが、全農自体が直接的に関与するのはおよそ32都府県であり、全国すべての農業協同組合に関与しているわけではない。
しかもこれは一部の県の経済農業協同組合連合会を吸収した過去があって成り立っている数字であり、一部県における旧:経済農業協同組合連合会の力は未だに強く、支部ごとに高い独立性を保持していて全農が完全に管理下に置いているわけではないのである。(農協における部会と同じ構図である)
ようはここに全農が集荷した米に高額な上乗せを行って市場に流しているとか、いや行っていないだろみたいな話のカラクリがあるわけである。
一枚岩ではないのであり、どちらの意見も間違っているとは言えない状況だ。
一応、集荷や流通において極めて大規模に活動している立場にあり、市場価格の決定権に近いものを持つと言われるが、昨今は全農本部が無い都道府県を中心に価格を自由に決める傾向が強まっており、それによって成功している部分も結果的に一般市民を苦しめる部分も存在するようになってきているわけだ。
これまでの話を通して筆者が言いたいのは、価格高騰の主原因が一部の特定の農協であったり、特定の農協の関連企業である可能性がある中、なぜ不特定多数の組織が存在する農協を全て敵視するような報道を行い、そのような批判を行う番組コメンテーターがいるのかという点である。
正直言って、こいつらは別に金持ってるから1kg2000円だろうが関係ないので好き放題言えるわけ。
それよりも彼らを支援している背後の連中に監視の目を向けるべきなんだが、ふざけた事言ってる人間って明らかに資本力あるだけじゃなくベンチャーなどを立ち上げてるビジネスマンなのって、どう考えてもおかしいと思わないか?
私からすればビジネスチャンスだと思ってるからおかしな事言ってるんでしょとしか言いようがない。
不特定の組織を列挙して、さも悪の枢軸のごとく主張して批判する一方で、なぜそうなっているのかのロジックも説明できなければ、農協の組織構造1つちゃんと解説しない事を批判する人間が現れるべきなんじゃないかと言いたくなる。
もちろんネット上にはいるんだけど、なかなか気づいてもらえていないように思う。
とりあえず著名人が批判するのだから正しいのだろうってことで批判口調な人間が多く見受けられるが、それやったらガソリン補助金の時と同じで自分の首を絞める事になるだけだ。
あれだって農家などが「現状の価格を維持できない」って散々言ったのに切り捨てて、結果的に米の価格や食品価格の高騰化を招いている。
当時しきりにニュース番組などで「一部の人しか恩恵を受けない」だとか品川あたりの駅前でインタビューして一般人かどうかもわからん人間に言わせていたが、結果はどうだ。
あれを支持した人間は責任取ってくれないかなと思うのが筆者である。
お前らが米価格高騰の原因の1つだよ。
農協以前に政治家にそういう決定をさせた支持者、君らだ。
ここはもう目に見えてるんではっきり言える。
農協関係よりもはっきり見える原因だ。
米の価格のうち、5kgで約400~500円分値上がっている原因はガソリン補助金を廃止させてガソリン価格を180円台にまで押し上げる要因を作った事。(なお、ニュースではガソリン補助金というが、軽油、重油も含み、正式名称は燃料油価格激変緩和補助金である)
流通させるために必要なトラックなんかは人力で充電された電気とかで動いているわけではないんで当然にして燃料費の高騰化はそのまま製品価格として上乗せされる。
特に今年は生産時に使う耕運機や田植え機、コンバインの燃料費が上乗せされる予定であるため、去年より確実に上がるので君らの責任は大変に重い。
田植えや稲刈りを人力でやっているとでも思ってるのか。
最近話題のイギリスの若き農家であるケイレブ・クーパーの言葉を借りるなら「農家は麦や野菜を魔法や錬金術で作ってるわけじゃない」ってことだ。
是非とも自覚してほしい。
筆者の周辺には「なんで真面目に農業やってたのに悪者にされた上に政治家の遊び道具にされて何1つ理解しない金持ち連中に好き放題言われなきゃいけないのか」――という不満の声が渦巻いており、それが本エッセイを書くきっかけともなっている。
農協に所属する農家は農協が批判される事は自身が批判されるのと同じ気分になる者もいるからだ。
いわゆる事務的な農協職員だけが農協の人間ではないという事も報道などでは説明されていないように思う。
私は代弁者になれる立場ではないが、彼らの代わりに何かできる事がないかと考えた結果が今回のエッセイだ。
もちろん自分は――"全ての農協がまともな組織であるという考えは一切ない"――ので、全ての農協を一緒くたにして擁護したくはないが、原因となっている組織は1つではないと思われる一方で、全体論とされたくない人の方がよほど多いということを十分に把握している。
生産者や多くの農協、つまりテレビのいう農協ではなく市区町村単位で存在する農協が真面目に事業をやっているその証拠が農産物直売所にある。
ここ最近、筆者は農産物直売所によく行くようになった。
以前はツーリングの片手間に立ち寄るだけであったが、ツーリングの目的が家族や親類含めた人らのための野菜を購入するために遠くの農産物直売所へと向かう事となりつつあるほどで、観光は二の次というような状況である。
その農産物直売所は昨年あたりから平日でも多くの顧客で賑わうようになっているが、理由は安いからに他ならない。
例えば八王子周辺の農産物直売所は関連地域の農協が運営しているが、昨年冬の段階で都内で600円する巨大な大根が200円~300円で買えた。
本当に農協がバカみたいに価格を上乗せしているならなぜこんなに安い?
なぜこんなに連日のように人が集まる。
金持ちはいくらでも好きに言えるんだよ。
600円の大根に全く苦悩しないんだから。
この人らは一食2000円でも別に問題ない人らで、そういうのがテレビに出てきてるわけ。
でも現実世界において生活費に苦労する人間は少しでも食費を下げたいと思うから集まってくる。
テレビに出てくるコメンテーターが見えてない現実が農産物直売所にあるわけだよ。
どこの地域の農産物直売所に行っても人がいる。
農産物直売所が備えられた、農協が直接運営を行っている道の駅なんてオープン前から行列ができているような状況。
昨年の今頃に家族サービスで親を自動車旅行に連れて行った時も、千葉のとある道の駅で休憩しようとしたら平日にも関わらずとんでもない行列ができていて、とりあえず並んでみたら信じられないような低価格で地元の野菜が販売されており、飲食店関係者とみられる人がハイエースなどに山積みのトマトやキャベツを積み込む光景が見られた。
自分が良く行く群馬北部の農産物直売所も栃木北部などから購入しに来る人がいる様子であり、そもそも私自身が東京のナンバープレートをひっさげて買いに来ている。
一回に購入する量はおよそ15~20kgぐらい。
普段乗る車が二輪車のためそんなに積み込めないが、それでも74Lのシートバッグが満杯になるだけ買う。
旅行気分でストレスを解消しつつ、野菜を買い付けに遠出しているわけである。
二輪にかかる諸経費を計算してみても直接発送してもらうより元が取れるぐらい全体的に値段が安い。
そしてその価格はどう考えても農家への還元を考慮しても安すぎるというのが私の考えであり、これまでの話は全て私が見てきた光景だ。
騒いでる成金連中は農産物直売所に行ってみろよと。
なんの現実もわかってない。
原因の多くは流通にあって、その流通に関して農協が直接関与するケースはどれほどあるのか。
政治家も少しずつ触れ始めている様子だが、流通経路中に転売し続けている奴らがいるんだろうが。
それを特定して特定企業名出して批判してくれ。
恐らく農協関係の企業もいるだろうね。
でも1つ1つの農協を掘り下げて行ったら1次、2次ぐらいまでじゃない?
実際は消費者の手元に届くまで5次とか6次とか信じられないぐらい転売されているのが現実で、3~6次までの間に農協と直接関係する企業はどれだけあるというのだ?
批判する側の人間は、そこをきちんと把握して言っているのだろうか甚だ疑問である。
このエッセイを読む人には是非思い出してもらいたい、あるいは知ってもらいたい言葉がある。
汚染米である。
"事故米不正転売事件"などで検索してもらうと詳細がわかると思うが、記憶が間違っていなければこの時に関与していたのは最初の流通から最大で8次まで行っていたはず。
三笠フーズに行くまでが3次、三笠フーズから転売が繰り返された先が5次で8次ね。
こんな事が普通に起こりえる状態で米の価格が下がるわけないでしょ。
原因は流通だよ。
それも当時すら農水省が解明できないほどに複雑で大多数の企業が関わっている。
なぜそう言えるかというと、自分は親族の中に茨城県で米生産を行っている人がいるわけであるが、彼らが農協に出荷する時に受け取る金額は昨年のものでは1kgで320~350円程度だったから。(時期や品質で変動)
なお、生産している米は全ていわゆる市場ではコシヒカリとして扱われている品種です。
コシヒカリって実は品種として複数種あるんでなんとも言えんのですが、少なくても市場においてコシヒカリの名前で出せるものです。
つまり今から書く話は一等米の茨城県産コシヒカリだと思ってください。
これをお友達向け価格で販売した時、1kgで500円ぐらいで5kgで2500円ぐらいだそうです。
現実の茨城県産コシヒカリは5月時点で5000円前後なので半額ぐらいですね。
ここで補足となりますが、筆者を含めた家族はこの市場より安価な米だけを食べているわけではありません。
精々1年に10kg~15kgしか買いませんし、殆どが市場に流通して一般的に販売されている米になります。
話を戻すが、そこから送料いれたら1次で市場に流通させても送料と小売りでの各種経費を入れて3000円は下回らないだろうね。
一部のスーパーがやっている農家直送でも3250円とかになるんじゃない?
ちなみに350円で農協に出荷した場合の1kgの利益が1kg単位で100円を下回っていると付け加えておこう。
既に親族サイドでは今年の収穫分は身内向けとお得意さんで全て買い占められている状況で、農協との契約分以上に市場に出すことは無い。
いつもなら翌年の夏近くまで直販という形で販売に供しているが、既に来年分が無いということである。
連日のように藁をもすがる思いで飲食店関係から電話が来るそうですが、すべて断っているそうです。
なんなら通りがかりの観光客からも予約できないかと言われたとか。
トラクター洗車中の姿を見られて米を育てていると思ったらしい。
んで、2025年産の米はお友達価格でも1kgで600円になる予定なんで5kgで3000円です。
化学肥料や農薬の高騰化と、燃料費の高騰の影響でそうなりました。
ありがとうねガソリン補助金無くしてくれた人ら。
君らのおかげで3000円下回るなんて絶対にありえねえって言っておく。(少なくても茨城県産コシヒカリでは)
目先の2000円に騙されてたら数か月後の新米の時期に現実を受け入れる事になるよ。
つまり、現状で農協サイドが言う今年の新米価格の理想は3500円~3600円ぐらいなんてそれがコシヒカリを基準とした話ならギリギリのギリのラインだよ。
特に米の品種について触れていないので3500~3600円が何を示しているかわからないが、一般的にはこれはコシヒカリなどの品種として上位かつ主流のものなのだろうと思われる。
ということは、流通経路における転売行為を抑え込まなければスーパー等での価格は4000円を下回らないどころか、現在5000円のところ再び最も高騰した6000円以上になるかもしれない。
こんなのもう"アメリカ"や"イギリス"がやってるように補助金入れて逆ザヤ状態での販売以外ないでしょ。
もちろんちゃんと流通経路の問題も明らかにしてだ。
そうしないと悪質業者(一部地域の農協含む)ばかり悪どく稼ぐことになる。
そういう奴らの懐に金を偲ばさせるな。
"筆者はここを否定しない"。
何度も言うが私は全ての農協が悪いと思っていない一方で、全ての農協が完全に信頼できるとも思っていない。
地域ブランド関係の仕事で関与してきた中で農協に泣かされてきた農家も多数いる事を知っている。
なぜこういう悲劇が起きるかって、農協の本質は食料自給率の維持と増加にあって、そのために価格と落とし込もうとしているところがあるから。
その一方で採算性の悪さから多方面で採算を確保しようとするきらいがあることを知っている。
例えば価格が低くとも大規模農家とできるなら、それでも収益性を確保できるかもしれないが……実際は農地改革によって小規模農家だらけ、さらに言えば飛び地だらけで収益性の悪い田畑だらけの日本は極めて生産効率が悪い。
水田関係の飛び地問題なんて中学あたりの地理か社会の教科書で触れるべき話だし、農業系漫画でも触れるべきものだけどまず見ない。
成功している農家は大規模+飛び地を解消した事業モデルであり、日本は飛び地等の問題について地域ごとに個別対応することが難しいことから「時間による解決」という目を背ける行為を行ってきた。
その結果、収益モデルが構築できずに後継者不足に泣き、農家の減少、食料自給率の減少を招いている。
ついでに言えば採算性が悪いため、関連する農協はどこかで組織体系維持のために採算性を確保しようとしているだろう事は想像に難しくない。
その結果が5kgで1000円の上乗せ、1kgで200円の上乗せだったとして、著名人による意味不明かつ非論理的な批判においては、その農家の生産性の悪さをちゃんと把握して批判を行っているのかどうか考えてほしいし、報道機関も真面目に調査すべきだと言いたい。
そもそもがよほどのブランド米を抱える地域でなければ米生産なんて薄利多売なのに労力がかかりすぎてやりたくないというのが本音であろう。
筆者の祖父は生前、米生産は事実上のボランティアであり、赤字覚悟でやるものと言っていた。
農家の自負として国民を食べさせるのが使命だと考えていたためである。
一方で果樹園を営んでおり、収益のほぼ全ては果樹園による果実栽培によってのもの。
果実はぜいたく品であり、無くても代替できる農産品は多く、それが農家としての収益事業だと考えていたわけである。
これは令和において果実には限定されない形でブランド産品とその他という枠組みで浸透してきているように思う。
食料自給率の維持のための米や大豆等の生産を行いつつ、ブランド産品によるビジネスによって収益を得る。
双方を上手く調節できているのが真の優良農家なのかなと……ふと考えてしまう。
祖父は「果樹園だけで商業的に稼ぐのは農家のあるべき姿ではない」――と、生前述べていた。
それを続けた先にあるのは亡国だけだと。
太平洋戦争に直接参加した世代である。
1億総腹ペコ時代などと新聞で煽られる時代において生き抜いてきた農家の持論である。
普通に考えれば補助金はいらないだの他国が生産すればいいだの何言ってるんだという話である。
今現在日本に大量の農産品輸出を画策しているアメリカ自体が国家としての防衛のため、少しでも生産量を下げたくなくて、かつ収益事業としたくて日本への輸入を強要している事になぜ気づかないのか。
ちょっとでも穀物の値段が上がるだけで発狂している国民は、食料自給率が38%しかない状態の異常性に気づかないのか。
ある日とんでもない空前の大規模災害が世界中頻発して農作物の多くが収穫不能となり、周辺国家が「輸出をやめる」――と言い始めたら大飢饉が起きたのと同じことになるのが今の日本なのだということがわかっていないのか。
その日本において米だけは100%を維持するとしたのがこれまでの政府の判断だった。
世界各国の状況を見てほしい。
たとえ逆ザヤとなっても生産量を守ろうとするのが諸外国の姿。
経済だけを見たら何の意味もないような事に見えるが、国家維持においては必須だからやるわけである。
国家の根幹をなすものだから経済循環とは別にやる。
衣食住は人の生活の全てであり、筆者流に法的な事も言えば全ての日本国民には社会権も生存権等もあるんだから国家としてやらない方がおかしい。
資本は経済力と資本主義の世界における権威の1つではあるが、絶対性などない。
それこそ歴史の上では領土は同じなのに全く別の国家となったからと全ての資本を国家のものとして他国の人間が所有していた所有物の全てを奪い取った事例なんかもある。
日本はその国がそうなる前に戦い、そうなった後にも戦ったことがあるが、すぐお隣にそんな危険な国家が存在するわけだ。
そして国家運営においては必ずしも資本なんてものは必要ない。
必要なのは国民と、国民の生活を維持できる環境。
その環境を整えるための存在の1つが農作物と農業なんだろう。
このカラクリもわからない人間が、自らの発言に責任を持たずに好き放題発信する方が異常だと思う。
少しずつネットニュースで反論のようなものが出てきているが、これはネットニュースであってテレビ番組の話ではない。
原因たる人物はテレビに引きこもっているのだから、テレビに出てきてガツンと言わないと。
それ言って困るスポンサーがどこにいるんだ。
逆だろ、今の時代。
コンプライアスとガバナンスの双方を考えたら異常極まるのは原因の本質を見定めずに無責任発言を重ねる芸人やコメンテーター連中だろうに。
そもそも減反政策を推し進める要因だってテレビで解説しているか?
あれが悪だと単純な話をする人間は多いが、米価格が正当とならず米農家が立場を維持できないから始まったのであり、現状において減反政策はそれがかえって米の急騰を招いた原因の1つであるから批判されるべきなのであって、減反政策という名の生産数管理は一定程度の範囲で必要なんだよ。
政府が買い取って価格を調整しつつ肥料等に用いるっていうならやめてもいいんじゃないか。
生産調整だけなら別段野菜類でも行っているわけだけど、やりすぎた結果、一部の人間が備蓄して転売を繰り返して米でマネーゲームをやっているから高騰を招いているのが本質だ。
だから省庁と農協の言い分と、市場に流れている米の量が食い違う。
もちろん省庁たる農水省がきちんと生産量を把握していない可能性は高く、ここも問題だったりはするし、昭和脳に染まっている連中の一部がとりあえず減反みたいな事をやっていることも筆者は知っている。
知っているが、組織形態が組織形態ゆえに1つの個別事例をもって全体を批判することはしないし、できない。
それは個別対応していくべきであり、農水省や都道府県の責任である。
併せてそこを洗い出してどうにかするのが政治家の役割なんでしょ。
1kg100円未満の米を市場に流してパフォーマンスしてるだけじゃ何の解決もならない。
実際、多くの国民には届かずに即売り切れる程度の量しか出てきていない。
やらないよりマシなのは事実。
だとしても少数の人間のために大多数の人間が困るなら、他の方面からも何かしなければ取り返しのつかない事になる。
先進国の欧州では食糧生産を国力の1つと捉え、補助金で保護する。
それは資本主義国家であっても国家の維持のために必要であり、国家は法をもとに国民の生活を保障しているから。
なら日本はどうする。
補助金をなんら論拠なく切れとほざく資本を持つだけの人間のいう事を聞くのか。
以上が筆者の訴えたい主張であるが、最後にコメの価格高騰の原因について改めてまとめておく。
1.ガソリン補助金を廃止した事による燃料費の高騰と、農薬と肥料の高騰
2.飛び地と小規模農家等に起因する採算性の悪さ
3.採算性の悪さをどこかで調整しなければならない地域ごとにおける個別の農協の事情
4.複雑かつ多岐にわたって存在する流通経路。5次、6次といった転売が繰り返される組織構造
5.米でマネーゲームができると考えてマネーゲームに興じる悪質極まりない人間の存在
1~5全てにメスを入れない限り状況は改善されない。
農協だけを悪者にしても真実は見えてこない。
それと余談ながら、コメリの方が農薬や肥料が安いなんて私は聞いたことが無い。
三浦半島の農協がそうだとして、それをもとに全ての農協を同列で語るのは間違ってる。
本当に三浦がそうなっているというなら、そうなる要因があるのだからきちんと調べるべき。
また、採算性の悪さについても独自のブランド品種を抱えている場合は、ブランド品種の原種を維持するために多額の維持費が必要となるケースがあり、飛び地だけが問題でない事もある。
多くの場合において原種の管理は"都道府県"や農水省下部組織である"農政局"が行っているが、農協が行う事もある。
それらは気候変化に伴いさらなる改良型の新品種を作る際に必要となる他、原種そのものを管理することで遺伝的多様性を確保し、リスクヘッジとしている。
こういった事情もきちんと把握してあれこれ主張すべきだ。
X開設中
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