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07話 初めての戦場

俺、佐藤健太、今はエリック、13歳。

貴族バルトン家を捨て、冒険者として剣と魔法を磨いてきた。

相棒はリナ、俺のライバルで転生者の少女。

腰まで届く三つ編みを振る彼女は、元「ベテラン精子」で、

普段は男勝りな態度で「金髪!」と俺を煽ってくる。


でも、最近、思春期の変化で少女らしさが芽生え、体の性徴や心の揺れに戸惑ってる。

そんなリナを、俺も見守り、応援してきた。

…そして、今日、俺たちは初めての試練に直面する。


交易都市の冒険者ギルドから、緊急の依頼が舞い込んだ。

近くの街道を荒らす山賊団の討伐。

女剣士マリアが「お前ら、猪や狼は倒したんだろ?人間相手はイケるのか?」と俺とリナに聞いてくる。

リナはいつもの調子で「ふん、オレが山賊をぶっ飛ばすぜ!」と拳を振り上げるが、

彼女の三つ編みが微かに震えてるのに気づいた。

…おい、リナ、ビビってんのか?



街道の森に踏み込むと、山賊団が商隊を囲んでいた。

10人ほどの荒々しい男たち。

ガイルが斥候から戻り、手信号で指示。

「敵は10人、弓4、剣6。マリア、エリック、リナで正面突破。

 クレアは弓手を炎弾で牽制。俺は側面から奇襲。」


真っ先に突っ込んだマリアが大剣で敵を薙ぎ払う。


クレアの炎魔法が弓手を怯ませ、ガイルが短剣で奇襲し、敵を混乱させる。

俺は魔法「風刃」を準備し、リナは剣を構える。


戦闘開始の直後、突進したマリアが山賊のリーダーを一閃で叩き伏せる。

マリアが豪笑。

「ハッハー!、楽勝だ!行くぜ!ガキども、援護しろ!」

彼女の号令で、俺は「風刃」を放ち、山賊の弓手を吹き飛ばした。

ガイルが冷静に補佐。

「マリア、熱くなるな!戦況をよく見ろ!クレア、防御魔法を準備!敵の増援が来る!」

クレアが頷く。

「了解。防御結界、展開します。」


だが、リナが動かない。彼女は剣を握りしめ、目を大きく見開いている。


山賊の一人がリナに気づき、斧を振り上げて突進してきた。

「死ね、ガキ!」その瞬間、リナの顔が青ざめる。

「…う、うそ、こいつ…来る…!」彼女の声が震え、足が竦む。


初めての対人戦。

魔物や猪とは違う、明確な殺意を持つ人間を相手にする恐怖。

前世で山賊に殺されたという記憶が、リナを縛っていた。


「リナ、動け!」俺は咄嗟に「光球」を放ち、山賊の目を眩ませる。

別の山賊が俺の背後に回り、剣を振り下ろしてきた。

「くそっ!」回避が間に合わない。

その時、リナが叫んだ。

「エリック!」彼女が夢中で飛び込み、剣で山賊の刃を弾く。

だが、衝撃でリナは地面に倒れ、山賊が追撃を狙う。

「てめえ、ガキが…!ぶっ殺してやる!」

リナは剣を構えるが、敵山賊の殺意に足が震える。

「こ、殺す…?アタシ、こんなの…!」血と叫び声に、剣がガタガタ震える。

「もう…死にたくない…!」

山賊の斬りかかりを必死に剣で受けながら、リナが叫ぶ。

「エリック…助けてっ!」


「リナに触るな!」俺は怒りに任せ、「風刃」を連発。

山賊を切り裂き、吹き飛ばし、リナを庇う。


彼女は息を荒げ、目を潤ませながら俺を見上げる。

「…エリック、ごめん、助かった…」弱々しい声、いつものドヤ顔じゃない。

少女の、震える声だった。



そこに敵の増援が到着。山賊は20人に膨れ、包囲される。

俺はリナを庇い、剣を弾く。

「リナ、大丈夫だ!俺がいる!」

ガイルが叫ぶ。

「エリック、リナ、下がれ!マリア、左翼を!クレア、防御魔法急げ!」

だが、敵の弓手が矢を放ち、クレアの魔法を妨害してくる。

マリアが剣で防ぐも押されている。

クレアの防御魔法が間に合わず、包囲が狭まる。

ガイルが焦る。

「くそ、不味いな…何か策を!」


俺の脳裏に閃く、事前に確認したこの森の地形。

「ガイル、東の崖だ!地盤が脆い!クレア、崖に炎を!」

ガイルが即反応。

「ナイスだ、エリック!全員、東へ移動!マリア、リナ、カバーしろ!」

マリアが吠え、「ハッ、ガキがいい指示だ!行くぜ!」


リナが恐怖を押し殺し、剣を握り直す。

「エリック…オレ…」

俺とマリアが敵を崖へ誘導。

クレアが炎弾魔法を崖に撃ち俺の風刃が追撃。

轟音を立てて岩壁が崩落する。

頭上から降りそそぐ土砂、撃ち込まれる炎弾と風刃。

敵の半数以上が土砂に飲まれ、残りが逃走する。


戦闘終了。息を切らすチーム。


リナがへたり込み、涙目で呟く。

「…エリック、ありがと。オレ、ビビって…お前がいなかったら…」

マリアがリナの頭をガシガシと撫で、

「リナも、よくエリックを守った!ガキのくせに頑張ったな!」

ガイルがニヤリ。

「エリック、ナイス閃きだった。俺の指示より冴えてたぜ。」

クレアが微笑む。

「皆、素敵よ。絆が勝利を呼んだわ。」



戦闘は俺とクレアの活躍で終わり、リーダーを失った山賊は壊走。

商隊は無事だった。

全滅させることは叶わなかったが、再度活動を開始するまでの時間は稼げるだろう。

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