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12話 大聖堂の光

ルミエールへの街道を進むエリック達は、

山間の村でギルドの依頼、魔獣の討伐を終える。

夕暮れ、エリックは剣を拭きながら息を吐く。

「ふう、魔獣10匹、なんとか片付けたな。」

リナが三つ編みを振ってドヤ顔。

「ハッ、アタシが5匹倒したからな!金髪、お前3匹だろ、オレの勝ちだ!」

エリックがニヤリ

「2匹は俺の風刃のアシストだろ?半分は俺の手柄だ。つまり4匹づつだよ」

マリアが笑う。

「どっちでも良いじゃねえか!ガキども、よくやった!

 今夜は温泉だ!この村の名物、最高だぞ!」

ガイルが乗る。

「温泉かぁ、いいねえ。坊主、疲れが吹っ飛ぶぞ。」

リナが目を輝かせる。

「温泉!?アタシ初めてだ!やった!すげえ楽しみ!」

エリックも頷く。

「…温泉、いいね。母さんに会う前に、リフレッシュだ。」



温泉に着くと、湯気が立ち込める露天風呂が広がる。

エリックとガイルは並んで湯船に浸かり、くつろぐ。

エリックが目を閉じる。

「ああ、極楽…。母さんも、ルミエールに向かう時ここに寄ったのかな…。」

ガイルがニヤリ。

「坊主、ルミエールは近いぞ。もうちょいだ。」


そこへ、女性陣の声。

「おーっ、いい眺めだな!野郎ども、邪魔すんぞ!」

「ふふ、開放的ね。」

リナは少し縮こまり

「…お、おい、これ、混浴!?聞いてねえぞ!?」


エリックが何事かと振り返り、目を丸くする。

「は!?マ、マジ!?混浴!?」顔が真っ赤になる。


女性陣は薄い生地の湯あみ着を身に付けているが、

マリアやクレアはその体型がくっきり浮き出ているのだ。


マリアはタオルを肩に、ザブッと湯に浸かる。

「何だ、金髪、ガキのくせに照れてんのか?ちゃんと着てんだろ、ハハッ!」

クレアは髪をまとめ、優雅に湯に入り、

「エリックさん、リナさん、恥ずかしがらなくていいわ。仲間だもの。」

ガイルが笑う。

「坊主もリナも、思春期全開だな!若いってなぁこうでなくちゃ!」

リナはタオルで胸を隠し、湯の端で縮こまる。

「う、うるせえ!アタシだって、べ、別に恥ずいとかじゃねえ!

 …ただ、なんか、変な感じなだけだ!」

彼女はエリックをチラ見し、顔を赤らめる。


エリックも顔半分湯に沈み、

「…リ、リナ、こっち見んなよ!俺も、なんか…()()()()やばい!」

「金髪、てめえこそ見んな!ぶっ飛ばすぞ!」三つ編みが湯に揺れる。


マリアがからかう

「おお、リナ、金髪にデレデレだな!温泉で告っちまえ!」

リナが真っ赤に。

「バ、バカ!アタシがそんな…!う、うるせえ、ババア!」

マリアに向けてお湯をかける。

エリックは湯から顔を出し、内心ドキドキ。

「…リナのやつ、…って、ダメだ!」

ガイルがニヤニヤ。

「坊主、まだまだ だなぁ?」



クレアが夜景を見下ろし、目を細めた。

「ほら、あの光…、あれがルミエールの大聖堂よ」

エリックがハッとし、湯から立ち上がる。(タオルはちゃんと巻いている)

目を凝らすと、遠くに微かな金色の光が揺れる。

「…あれか。母さんが…聖女として、そこにいる。」


ふと胸に、転生レースの記憶が蘇る。


女神の「スタート!」と、母アリシアの悲鳴。

あの声が、俺を産んだ母さんの心を閉ざした。


リナがエリックの横に立ち、湯気越しに光を見つめる。

「…金髪、母ちゃんのとこ、すぐそこだな。アタシも…なんか、ドキドキすんだ。」

彼女は三つ編みをいじり、呟く。


エリックが頷く。

「ああ…母さんはあの場所で、聖女として今も、誰かを救ってる。

 俺、母さんに会って、話したい。…怖いけど、行くしかない。」

リナがエリックの肩をポンと叩く。

「バカ、ビビってんじゃねえよ。アタシのライバルだろ?

 母ちゃんに会ったら、胸張れよ!アタシも…ついてくから。」

彼女の顔は赤いが、目は真剣。

エリックが笑う。

「サンキュ、リナ。やっぱお前、最高だ。」

リナが三つ編みをブンッと振り、

「う、うるせえ!湯冷めするぞ、浸かれ!」


マリアが豪快に笑い

「ハハッ、ガキども、聖女に会う前にイチャつくなよ!」

ガイルも笑う。

「マリア、お前も若い頃は照れてたろ?」

クレアが微笑む。

「エリックさん、リナさん、大聖堂の光は人々の希望。アリシアさんは、きっと待ってますよ。」


エリックは湯に浸かり、遠い光を見つめる。

「母さん…俺、絶対たどり着く。仲間と一緒に。待っててくれ。」


ルミエールの光はまだ遠い。

温泉の夜、希望と不安がエリックを揺り動かす。

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