特殊能力は誰もが憧れるよね。
特殊能力。生きている人、いや。(誇張しすぎだな)
日本人の男子であるのならば、誰しもが一度は夢を見る。
ああ、こんな能力があったらいいな。使いたいな。
と思ってしまう。
思わない?
じゃあ殺す。
ハハッジョー↑ダンジョー↑ダン。(棒)
ま、僕は自分がそんな能力が使えるからそんなことを言っているんだけど。
風は便利だよ?日常が最高に楽しい。物を取るときに風邪でこっちに飛ばせば
動く必要もない。割れ物を落としそうになっても風で浮かせれば落ちない。
おまけに友達にマジックといって自慢できる。
最高だ。
「今日は転入生が来るよ」
───コツン。
ん?なんだか空気が揺らいだ。
───コツン。コツン。
足音。そして教室に転入生が入ってくる。
「───え──」
黒く、美しい髪を靡かせてゆっくりと入室する。
「はじめまして。」
「針原小夜です。」
「っ!?!??」
おもわず席を立ち上がる。その転入生は針原小夜であった。
「うわっ何だ月ノ瀬。」
「なっ...ええっ」
「...」
僕は座る。なぜ針原がここに?そして彼女は口を紡ぐ。
「あら、月ノ瀬くん。」
「あなたは感情を抑えられないタイプだったかしら。」
いや別にそうじゃねえし
というか余計な事言うな。
「うん?知り合いなの?」
担任が言葉を出す。
「別に、他人ですよ他人。」
妖のことが一般に知れ渡ることはだめだ。
もしもそんな事が起これば大変なこt
「ひどいわ月ノ瀬くん。あの夜のことを忘れたのかしら。」
「言い回しを考えろ言い回しを」
こいつは妖のことを秘密している代わりに嘘の良くない関係を言いふらしたいのか?
「仲が良いなら丁度いい。」
「針原さんは月ノ瀬の隣にしよう。」
まあ別にいいけどさ...
少女はまたかつんかつんと靴の音を鳴らして近づいてくる。
僕のとなりの空いた席に座り、
「それじゃあよろしく頼むわね月ノ瀬くん。」
と言い放ち、ニヒリズムを感じさせる表情でずるく笑みを浮かべる小夜がいた。
◆
「お前、なんでウチの学校に来た。」
「秘密にしたいんじゃなかったのか?」
僕は当然のことを言う。一人でいるほうがバレないし、何かと良い気がする。
「あら。風の術をマジックとか言ってみせたり、物を浮かせて取ったりするお馬鹿
さんは誰かしら。」
うっ
「こっちの方が情報を共有しやすいじゃない。」
「それに妖にいきなり襲われても二人のほうが強いわ。」
確かに。そうかもしれない。
「変な噂を立てられそうなことをした必要は?」
「ないわね。」
こいつ。美女の皮を被ったガンガゼの擬人化なんじゃないか?
毒を持っててトゲ。
「それじゃ前の学校は?」
「それなら大丈夫よ。」
「だって私は友達を作ってないもの。」
「彼女はこの可愛くて美しい顔と髪に嫉妬していたから。」
「今回も作らないわ。」
自分で言いやがった。
「だから噂ができてもノーダメってか?」
「ええそうよ。」
「おいうそだろ。」
────────────
おまけ
「鎌鼬」を使用するときの詠唱を考える和颯くん。
…
「風よ...」
これはシンプルだな
「風の向かうがまま赴かん。」
うーんちょっとちがうな。
「我が風の下に吹き飛ばされん。」
吹き飛ばされんは気に入らないなぁ。
「我が魂の息吹よっ!!」
悪くないな、
「微ぐ風か、それとも君をおろす風か。」
これいいな。
風属性っていいなぁ