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太刀風  作者: 0th/ゼロス
2/3

風刃

前回のラストで間違えて一人称が俺になってます。すみません



突然の状況に頭が混乱する。自分が相手を強く拒絶した刹那、

大きく風の刃がヤツに向けて飛んだ。


そして事実、化け物は後方10メートル位吹き飛ばされ、こっちの様子を伺うし、僕との距離が離れている。



どう使ったかは分からない。それに次またできるとも限らない。

ただわかることはさっきの風は自分が出したということ。


今は夜だが空には星が見えるほどには雲はなく、雨も降っていない。

予報でも無風と言っていた。そんな中いきなり風速が台風並み、いやそれ以上の風がここにだけ

しかも僕に当たらずに吹くものだろうか。



化け物はゆっくりと体勢を立て直し、立ち上がる。

しかし今度はただものではないと思ったのだろうか。一気に距離を詰めてくることはない。



臨死体験。

普通は事故とかで起こるのが普通だろう。

こんな化け物と邂逅したことが臨死体験ですと言っても誰も信じない。



だからこそ。



「おもしろい。」



「非日常」というものがたまらなく面白く感じた。


和颯の死に対する恐怖心、そして一般ではない化け物、力。

たまらなく脳を焼き尽くすにはそんなのは十分であった。



死に抗ってやる。



最後までな



そうして俺の周りに小さな風が呼応するように吹き上げ。風の声が聞こえた気がした。



すると、



「っ!」



───ザシュ、ブシュゥゥゥ



化け物の頭上に現れた謎の、



少女?の手によって化け物は鎮圧された。



「月ノ瀬和颯くん、あなたを保護します。」



そして少女は俺にそう告げた。



少女は頭から狐の耳?が生えていて腰に尻尾が一つ生えている。

そしてそれは薄く青色に発光している。


それは誰が見ても異質な光景で、人間ではあり得ないことだ。


「保護、する?」


僕は彼女に問う。



「ええ。」



彼女は一言返す。



「というか待ってくれ、状況がわからない。」



あの化け物は?風は?あなたの耳と尻尾は?


疑問は途絶えない。



「まあいろんなことが気になるでしょうが、今はとりあえず」

「眠っていてください。」


──え


それを最後に僕の意識は途絶えた。








目が覚める。


「ん、んぅ…」


ここは存じない天井でございます。


「あら、目が覚めたのかしら。」



横から声をかけられる。



「お、お前は」



あの少女がそこにはいた。ただし、耳と尻尾はなく、薄い青髪ではない黒髪ロングの少女だった。



「ごめんなさい月ノ瀬くん。いきなり気絶させちゃって。」


「いや、それはいいんだけど。」


よく考えたらよくない。


「そんなことより、聞きたいことがたくさんあるんだけど!」

「あの化け物は?君の耳と尻尾、あと髪の毛、それに僕の風?」



「まあまあ落ち着いて。」

「今からわかるわ。」


ガチャリと音を立てて扉が開かれる。


そして入ってきたのは、長髪の男性。背丈は高く、癖毛が目立つ。


「おやや?、目覚めたようだねぇ?」


「調子はどうかな、月ノ瀬和颯くん?」


男は飄々とした様子で問いかけてくる。


「体調は全然問題ないです。」


僕がそう答えると、うんうんと頷き、


「それは良かったよ、そこの小夜ちゃんが勢い余ってぶっ殺しでもしちゃったら

どうしようと心配だったんだぁ。」


「ちょっと東江さんっ」

「彼は目覚めたばっかりなのにそんな物騒こと言わないでください。」


「ああ、ごめんねぇ。」


え?殺す?ミスってたら僕は死んでいたのか?


「まあそれは置いておいて、色々と説明させてもらうね?」


「ここは妖退治の事務所、その医務室のベッドの上さ。」


「僕の名前は東江千晴あがりえちはる。女の子みたいな名前だよねぇそして彼女は」


針原小夜しんばるさよ。」


「よろしくねぇ和颯くん。」


「よろしくお願いします…」


「それじゃあ君がみたあの化け物の説明からするね?」


「あれは『妖』と呼ばれる怪異の一種だよ。」


「妖って妖怪ってことですか?」


「うーん、少し違うかもだけど、ここではもう少し広く定義するかなぁ」


「それで君が出会ったのは低級の妖。」

「まあ簡単いうと草むらに入ったらエンカウントするポケモンだよ。」


要するに雑魚モンスターってことだ


「僕らは妖退治をしていてね」


「それを和颯くんにもやってもらおうと思ってね?」


「まあ君はすでに妖の厄気によって力が目覚めてしまったから」

「強制的にやってもらうんだけど。」


力?力ってまさか」


「うん。小夜から聞いたけど、君は風を操るところを見たって聞いたよ。」


「あの強風、やっぱり偶然じゃ」


「僕らはこの妖に対抗する能力を『退魔術』と呼んでいる。」


「退魔術は人それぞれ違っていて、固有のものなんだ。ま、家系とかも関係あるかもだけど」


「じゃあ針原さんのあの耳とかは」


「ええ、その通りよ。」


「私の退魔術は『霊獣顕現』。」


「九尾って知ってるかしら。その力を使うのよ。」


「す、すごい。」


「それで君は力を持ってしまった。よってこれからは妖退治の協力をしてもらうよ。」


拒否権はなさそうだ。

というかそんな面白そうなこと


「はいっやらせてください!」


やりたくないわけがない。


これが月ノ瀬和颯の、日常が崩れ、非日常が始まる瞬間だった。

その時の彼の目は随分と、熱を持っていた。


「それじゃあ君の風の能力について名前をつけようか。」


「『鎌鼬』なんてどうかしら。」


「おお早いね。和颯くん、どうかな?」


「『鎌鼬』…かっこいいですね!」


「じゃあそれで行こうかぁ」



「改めてよろしくね、月ノ瀬和颯くんっ」




風は吹いている

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