ぴーちゃんが悪い奴らをやっつけた後にジルが私を庇って刺されました
やッと起きた。
私のぴーちゃん!
私は歓喜した。
これで私が変身できなくても何とかなる。
でも、その前に私の前には兵士たちがいて今にも私に襲い掛かろうとしていたんだけど、彼らが躊躇したのは一瞬だった。取り合えず、私を取り押さえようと襲って来た。
グォーーーー
次の瞬間には私に襲いかかろうとした兵士たちはぴーちゃんの一振りで弾き飛ばされたのだ。
さすが、ぴーちゃん、よくやってくれた。
私が心の中でお礼を言うとぴーちゃんがキョロリと私を見てくれてニタっと笑う。
その顔も可愛いと思うのは飼い主の欲目だろうか?
恐ろしい古代竜も可愛く見えたのだ。
まあ、やられた兵士たちには災難以外の何物でもないだろうが。
私達に斬りかかって来ようとしていた次の他の兵士たちはみんな唖然として振り上げた手を下せないでいた。
兵士たちはとても動揺していた。
「ええい、何をしているのです。直ちにあの竜をやっつけてしまいなさい」
王妃が叫んだが、ぴーちゃんは一瞬王妃を睨みつけると
グォーーーーー
と再び咆哮したのだ。
「ヒィィィィ」
ぴーちゃんに吠えられた王妃は悲鳴を上げて腰を抜かして倒れ込んでいた。
それを見てた兵士たちも思わず立ち止まった。
「ええい、何をしている。直ちにその竜を倒すのだ」
第一皇子が叫んだ。
その叫び声で兵士たちは慌ててぴーちゃんに立ち向かおうとした。
でも、ぴーちゃんは無敵なのだ。
グォーーーーー
叫ぶや兵士たちに立ち向かって行ったのだ。
二振りで兵士たちの大半は弾き飛ばされていた。
「おのれ、トカゲの分際で」
威張りくさっていたザカリーとかいうおっさんが魔術を使おうと構えた。
「愛の女神よ。我に力を貸してくれたま……」
魔術師は魔術を使おうとしたのだ。
グォーーーー
「ギゃーーーー」
しかし、その前にぴーちゃんが思いっきり咆哮して、魔術師はその吹きかける凄まじい咆哮の空気の奔流に巻き込まれて、遠くかなたに吹き飛ばされたのだった。
「「ヒーーーー」」
「まだ殺されたくない」
兵士たちは一斉に逃げ出した。
広場には綺麗サッパリ兵士たちはいなくなった。
いつの間にか王妃も第一皇子も消えていた。
後には縛られたエイダだけが残されていたのだ。
「エイダ、大丈夫?」
私は慌ててエイダに駆け寄った。
「パティ、あなた、助けに来るのが遅すぎるわよ」
エイダはあいも変わらず減らず口をきいてくれた。
「……」
私はそれを無視して、エイダの後ろに回って縄を解こうとする。
でも、やたらきつく結んである。
「何しているんだよ。解除」
私が四苦八苦しているとジルが近づいてきて、一瞬で魔術で解いてくれた。
私はほっとした。
しかしだ。
「ジル様!」
エイダは散々苦労した私を無視してジルに抱きついてくれたのだ。
お前、私に感謝は。私は唖然とした。
「え、エイダ?」
戸惑うジルを無視してひしっとエイダは必死にジルに縋りついていた。
そのでかい胸をことさら私に見せつけるようにジルのたくましい胸板に押し付けるんだけど。
私はムッとした。
「ジル様、怖かったです」
そして、必死に弱い女アピールしているんだけど。
あんたはもっと強いでしょ!
私は言いたかった。
「さあ、お熱い二人は置いておいて僕らは向こうに行こう」
何かムカムカする私の肩をブラッドが抱いて向こうに連れ去ろうとするんだけど。
「ちょっと待て」
ジルが慌てて叫んで私達に向かってきた。
そのままこちらに来て私の手を掴んだんだ。
「何だよ。お前にはエイダがいるだろう」
ブラッドが言うんだけど。
「いや、俺は子供の頃、ピンクの君になって俺の命を救ってくれたパティに恋をしていたんだ」
ジルが衝撃の発言をしてくれたんだけど。
ええええ!
私は混乱のさなかにいた。
ジルに魔法少女だってことがバレたの?
それも私がジルの命を助けたのもバレた?
その上、ジルはその時から私に惚れている?
何が何だか判らなかった。
「何言っている。俺も子供の頃、パティに命を救われて恋したんだ」
ブラッドの言葉も衝撃的だった。こいつ、私を護衛にしたいだけじゃなかったの?
「はああああ! 俺のほうが早いぞ」
「早い遅いなんて関係ないだろう」
「お前はその女と付き合っていたんだろう」
「付き合ってはいない。助けてくれたと言われていたら恩返ししていただけだ。お前こそローズと付き合っていただろうが」
「だから婚約解消しただろう
私は二人の間に挟まれて完全パニックだった。
だからエイダの動きが目に入っていなかったのだ。
「パティ、危ない!」
ローズの言葉にハッとした時はナイフを持ったエイダがこちらに突き刺そうとしていた。
「パティ!」
その瞬間、私とエイダの間にジルが入ってきてずぶりと音がしたのだ。
「えっ」
慌てた、エイダの声がした。
そして、ジルが私の上に倒れてきたのだ。
私はジルを支えたが、その背中にはナイフが突き刺さっていたのだ……





