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ぴーちゃんが敵をやっつけてレイラを救ってくれました

「えっ、ええ! ええええ!」

私は何がなんだか判らなかった。


私達を乗せていた馬車は破壊されて、私の目の前には巨大な金色の竜がいて私を見下ろしているのだ。


「ぴーーーー」

私に向けて聞き覚えのある声で鳴いてくるんだけど、でもその姿はメチャクチャ怖そうなそれで、でも、その鳴き声はぴーちゃんそのままなんだけど……


「あなた、ひょっとして、ぴーちゃんなの?」

私が恐る恐る聞くと

「ぴーーーー」

その巨体が頷いてくれたんだけど、


嘘ーーーー!


ぴーちゃんって竜だったの! それも巨大な竜だ。


これは伝説の古代竜ってやつではないだろうか?


そうか、だから、魔物たちはぴーちゃん見て逃げ出したんだ。


それは魔物たちではいくら束になってかかってもこんな竜に勝てるわけはない。


逃げ出すはずだ。


私は納得した。


でも、今はレイラの無事を確認するのが先だ。


でも案内する奴らを途中でぴーちゃんがやっつけてしまったし、周りで倒れているけど、聞ける状態じゃ無いのは見て判った。

このままじゃ、レイラが捕まっている場所が判らない。


私が頭を抱えた時だ。


「ぴー」

ぴーちゃんがしゃがんで自分の背中を指したんだけど。


「えっ、背中に乗れって言ってる?」

「ぴー」

「ひょっとして、レイラのいる所が判るの?」

「ぴー」

ぴーちゃんは頷いてくれた。


さすが古代竜だ。レイラの場所も匂いか気配か何かですぐに分かるのだろうか?


私は恐る恐るゴワゴワしたぴーちゃんの巨大な背中に乗った。


「ぴー」

ぴーちゃんはそう言うと空にゆっくりと上ったのだ。


「ええええ! 落ちる、落ちるよ」

落ちそうになった私は慌ててぴーちゃんの背中に必死に捕まった。


もう必死だった。

外なんて見る余裕は全然なかった。


空に上ったぴーちゃんは何か探していたが、見つかったのか、


「ぴーーーー」

と鳴くと、一気にそちらに向かって飛んでいったのだ。

「ちょっと、落ちる、落ちるよ」

私は落ちないようにぴーちゃんの背中にしがみつくので精一杯だった。


最初は遠かった地上がどんどん近くなってくる。


街中の外れにあるそれはどこかの使われなくなった廃墟のような倉庫だった。


目の前にどんどん建物が近づいてくる。


「ええええ!」

私はぶつかると思って更にぴーちゃんにしがみついた。


ドカーーーーン

と言う、大きな音とともに、ぴーちゃんは建物に突っ込んでいったのだ。


私は目をつぶって必死に堪えていた。


粉塵の消えたあとには、粉々になった倉庫と、後ろ手に縛られたレイラがいたのだ。

それとその周りには瓦礫の山が……


「ぴー」

ぴーちゃんがレイラに顔を寄せる


「ヒィィィィ!」

レイラは巨大竜になったぴーちゃんを見て恐れて後ろに下がった。


「レイラ!」

私は思わず叫ぶとレイラに駆け寄ろうとした。


「パティ!」

レイラは私を見て驚いて言った。


「待て! 貴様、何奴だ!」

慌てて魔術師みたいな奴が私を止めようとした。


「えっ」


「ぴ」

ぴーちゃんが邪魔するその男を一瞬で手でどけてくれた。


ドカーン

という音と共に、男は瓦礫の山の中に突っ込んでいたのだ。


「レイラ!」

「パティ!」

私は思いっきりレイラを抱きしめていた。


そして、慌てて、縛られている縄を解く。

「大丈夫だった?」

「怖かったけどなんとか」

そう言うとレイラは抱きついてきた。


「ぴー」

ぴーちゃんが大きな首を寄せてくるんだけど、

「ダメよぴーちゃん。あなた急にデカクなったんだから」

私が止めようとしたら。

「えっ、あなた、ぴー様なの」

レイラが私の言葉に食いついて来たんだけど。

「ぴー」

ぴーちゃんが顔を寄せてきた。

レイラが恐る恐るぴーちゃんを撫でる。

「本当だ。ぴー様だ」

レイラはぴーちゃんの顔に抱きついていた。


「ピー様。ありがとう、助けてくれて」

レイラはぴーちゃんにお礼を言っていた。

でも、レイラは絶対にぴーちゃんをおびき寄せるために拐われたのだ。謝るのはこちらの方だと思ったのだ。でも、なんて言ったら良いんだろう。

私が少し考えた時だ。


スピースピー、寝息が聞こえてきたのだ。

「えっ、寝ちゃった」

私は驚いた。それと同時に悔悟した。レイラは私やマチルダと違ってまだ15歳だったんだ。

アラフォーの私達と違って経験も浅いし、普通のお貴族様だ。今回の件では本当に心細かったと思うし、気が張っていたのもあったのだろう。だから、そのまま、気を失うように眠ってしまったのだ。


これではいけない。すぐにレイラを皆の所に帰さないと。


ここでいつまでも待っていても誰も来ないし、私は何も考えずに、そのまま、レイラを連れて、ぴーちゃんの背に乗って学園に戻ったのだ。


後で散々マチルダに怒られることになるんだけど、私の頭には可哀相なレイラを早く連れて帰ってあげることしか、頭に無かったのだ。


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