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マチルダに馬鹿にされてしまいました

バシーーーーン

「痛い!」

私は思いっきり、ローズに張り倒されていた。


飛んで来た私をマチルダが受け止めてくれたんだけど……


「きゃっ……」

そのマチルダが何か叫ぼうとした時だ。


「パティ! 大丈夫か」

そこに、慌てた、ブラッドが飛んで来て私に抱きつきそうになったんだけど……


「ええ、何とか」

頬は痛いけど、何とか生きているわよ。


私は後ろの言葉は飲み込んだ。


「ローズ、パティを叩くなんて、一体どういう事だ!」

ブラッドが振り返るとローズを睨みつけた。


「どういう事って、何言っているのよ! 元々あなたが悪いんでしょう」

ローズはもう涙目だ。


「俺が?」

「そうよ! あなたが私を振ってパトリシアとくっつくからじゃない。今もそこの女に、パトリシアなんて、女の魅力が欠片もない女に負けるなんて、私は自殺した方がましだと言われたのよ。もう、私の人生も終わりだわ」

そう言うと号泣しだしたのだ。


みんな唖然とローズを見ているんだけど……


私はマチルダを白い目で見た。

「えっ、私が悪いの?」

さすがのマチルダも私の視線を受けてたじろいだ。


「こんなことで泣くなんて、思っていなかったのよ。なんとも軟弱ね」

マチルダは好きに言ってくれるんだけど、あんたに比べれば王太子殿下も含めて、みんな軟弱だと私は言いたかった。怖くて言えなかったけど……


マチルダは周りを見ると、皆もマチルダを睨んでいる。

「本当に面倒ね。そうだ。ここはこうするしかないわ」

独り事をつぶやくと、さっさと動いて、とんと王太子をローズの方に押したのだ。


「えっ? 何をする……」

驚いた王太子だが、そのままローズ嬢の前に出た。


「すみません。殿下、私、もうすぐいなくなりますから」

「いや、あれはマチルダ嬢が言いすぎたと思うよ」

殿下が恐る恐る言うと、

「本当にそう思われますか?」

「ああ」

殿下は頷いた。


「ああん、殿下!」

ローズは王太子の胸の中に顔を埋めると号泣しだしたのだ。


殿下は驚いた顔をしていたが、そのまま優しくローズの背を撫でたのだ。

ローズはピシッと殿下にすり寄っていた。


それを見てマチルダは盛大な溜息をついたんだけど、元々あんたが悪いんでしょ! 私はそう言いたかった。


「パティ、行くわよ」

呆れた私の手を取ると、マチルダは私を校舎の裏に連れて行こうとするんだけど。


「ちょっと、マチルダ様。どちらに」

「こんな茶番見てられないじゃない。いいからいらっしゃい」

侍女になった私としては大人しくついていくしかなかった。


裏で恐喝でもされるのか、と怖れた私だが、マチルダは裏のガゼボに私を連れて行くと座らせてくれた。


「お久しぶりね。藤崎さん」

マチルダのその声に私は唖然とした。


「えっ、あなた誰なの?」

前世の私の苗字を知っているなんて。


「えっ、あなた、私が誰か判らないわけ」

心底驚いた顔でマチルダが聞いてきたんだけど。

「言葉の端々に判るようにしてあげていたのに、相変わらず本当に鈍いのね!」

本当にこいつは私を馬鹿にしてくれて。でもそんなことをするのは前世も含めて一人しか知らなかった。


その傍若無人さ、頭に浮かぶのは一人しかいなかった。

「ひょっとして町田さん?」

「まあ、その通りなんだけど、私を見た瞬間判りなさいよね」

町田さんはあきれて言うんだけど。

「そんなの分かるわけないじゃない」

私が文句を言うと、

「はああああ」

盛大にマチルダはため息をついてくれるんだけど、何でだろ?


「前世、そのままのスタイルでここまで来たんだから普通は気付くでしょ。前世の私そのままよね」

「うーん、傲慢さはパワーアップしたかも」

「なんか言った?」

「いえいえ、気のせいかと」

私は笑って誤魔化した。


「本来ならば、もっと後で自己紹介するつもりだったのよ」

「何で?」

「だって私は悪役令嬢なのよ。知っているでしょ」

「えっ、そうなんだ」

私はしらばっくれたが、どう見ても悪役令嬢なのは判った。さっきもローズを泣かしていたし。


「よく言うわね。それにあなたがヒロインじゃない。ヒロインと悪役令嬢が仲良くするって絶対におかしいでしょ」

「えっ、私ヒロインなんだ?」

今までの世の中の扱いで本当にヒロインなのかと心配してたんだけど。

「えっ、あなた本当に知らなかったの?」

「いや、そうかなとは思ったけれど、私このゲームが何のゲームか知らなくて」

「ええええ! あなたこの『リーズの聖女』を知らないの?」

マチルダは心底驚いた顔をして聞いてきた。


「こんなゲーム、やったことないもん」

私の言葉にマチルダは頭を抱えているんだけど、何でだ?


「そう言えば、あなたって本当に流行とか、世間のニュースとかに疎かったもんね」

可哀そうなものを見るみたいにマチルダが見てくれるんだけど、そんな目で見るな!

私は思わず、宗主国の大公爵令嬢を怒鳴りつけるところだった……


次は説明会です

このゲームの世界をマチルダが説明してくれるのか?

明朝です!


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。

私の

次の作品

はこちら

『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

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「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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