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リーズ王国王太子視点 迷惑な奴らが来たので、毎日胃痛に耐えています

俺の名前はハーマン・リーズ。このリーズ王国の王太子だ。

今俺は学園の三年生で生徒会長をしている。


本来ならば、国王の嫡子で王太子なのだからこの国で父に次いで二番目に偉いはずだ。

当然学園では一番偉いはずなのだ。


本当ならば……


でも、この国リーズ王国は50年前に帝国に破れてその属国になっていた。


だから宗主国の帝国の人間が来れば一応敬意を表さなければいけないのだ。


リーズ王国は帝国の属国になってから戦がなくなり、また、経済状況も帝国経済圏に入れたので、昔に比べればとても良くなった。


だから帝国からの多少の無理は聞かねばならない。


俺はそう思っていたし、父もそういうふうに気を配っていた。


ただ、リーズ王国は帝国から見ると辺境の地で、めったに帝国の人間が絡んでくることはなかった。偶に嫌な大使が就任してくるが、金さえつかませておけば上手くいった。

ここ数十年は平和だったのだ。


そう、あの帝国の第三皇子ヴァージルが来るまでは。


この皇子はなにをトチ狂ったのか、古代竜の卵を盗もうとして古代竜の怒りを買って、命からがらこのリーズ王国に逃げてきたのだ。一緒にいた辺境伯は竜の一撃で殺されてしまったそうだ。


でも、なぜこの国に来たのだ?


それも中々帰ろうとしない。


この子の母親がこの国の昔の王族の直系なので、無下にも出来ない。


でも、彼は帝国の第三皇子で、帝国の帝位は実力主義なのだ。第三子といえども可能性はある。なおかつ彼は魔力も皇子の中では大きかったのだ。


しかし、帝国の帝位争いになど絡みたくない。我が国の力は帝国の中では本当に小さいのだ。下手なことをしたら本当に滅ぼされてしまう。

しかし、皇帝陛下からよろしく頼むと書状をもらうと全く無視するわけにもいかなかった。

皇帝陛下は無謀な事をするこの皇子を多少は目にかけているみたいだ。


だが、帝国には皇后腹の第一皇子もいれば、側妃腹の陰謀に長けた第二皇子もいる。

第二王子と比べても5つも年下の後ろ盾もない第三皇子を助けたところで、睨まれこそすれ得るところは何もないのだ。


現に皇后らは出来れば事故に見せかけて死んでほしいみたいなことを示唆されていた。


「皇帝陛下は下手したらリーズ王国を第三皇子殿下に継がせたいと思われるかもしれませんでしょう。それで困るのはあなた方ではなくて」

帝都に訪問した際に皇后からそれとなく言われた。


そうかと言って、今の皇帝陛下は殿下を多少は可愛がっているのだ。下手なことをして、陛下の怒りを被るとこの国自体がやばい。


胃の痛い生活が始まったのだ。


でも、今年で15になる皇子は当然帝国の学園に入るために帝国に帰ると俺は思っていたのだ。


これで胃の痛くなる生活も終わりだと清々していたら、その皇子が帰らずに今年から王立学園に入学することになったというのだ。

帝国に帰ればよいのに!

俺の希望は全く叶えられなかった。


そしてだ。なんと、帝国からアラプール公爵家の令嬢マチルダ嬢までもが留学してきたのだ。


彼女の性格は苛烈で、怒りを買って滅ぼされた小国もあるとかあらぬとか。

何しろ帝国の公爵家は領地は我が国以上に豊かで広いのだ。そのお嬢様の力は絶大だった。

お嬢様は可愛がられて育てられたので、我が国のローズ嬢とどっこいどっこいのわがまま令嬢として帝国では有名らしい。帝国の学園に入らないと聞いて貴族の子弟が万歳三唱して喜んだとか。


おいおい、こんな辺境の地に問題児ばかり送り込むのは止めてくれ!


ローズ対マチルダの戦いのとばっちりを受けるのは確実に俺だ。


それにマチルダは、公にされていないが、第三皇子の婚約者になる予定だとか。


おいおい、そんな、ヴァージルに公爵家の後ろ盾が付けば、帝位争いでも優位になるのではないか?


そうなればますます我が王家は第三皇子の応援をしなければならなくなる。


もう胃が痛いどころの話ではなかった。



そして、早速、寮の歓迎会でマチルダはローズと戦ってくれたのだ。

何故寮の歓迎会にその二人がいたのか判りかねたが。

来賓として呼ばれていた俺がそれを知って駆けつけた時にはすでに大勢が決していた。


ローズはマチルダの敵ではなかったのだ。ローズを傲慢なところのある我儘娘と思っていた俺をしかりつけたい。そこには俺さえ馬鹿にした目で見降ろしてくれた真っ赤な衣をまとった傲慢女が仁王立ちして笑っていたのだ。


後で聞いたところではローズは全く歯が立たずに、完膚なきまでに叩きのめされたそうだ。


『地味令嬢にすら女の魅力で負けたおこちゃま令嬢』という、とんでもないレッテルを貼ってくれたのだ。


アーブロース侯爵が怒り狂ったが、相手は帝国の公爵家のお嬢様で侯爵が太刀打ちできるわけがなかった。


王立学園には高位貴族の令嬢令息がたくさんいるのだ。そして、帝国から派遣されてきた令息令嬢達も。

その間がうまくいく未来が見えなかった。間に挟まって両方から突き上げを食う未来しか見えないのだけど。


でも、俺は知らなかったのだ。

ローズから婚約者を奪い取ったその地味令嬢が厄災級の古代竜をペットにしていることを。そして、そんな女がただ者なはずがないことを……


小国の王太子の悲痛な叫びでした……

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読んでます! 王太子と聞いて悪者(その他作品の悪い癖)かと思ったら、中間管理職みたいな立場だったね! 可哀想に(笑)
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