暗闇の中に閉じ込められて2つ目のお化けが出ました。
私はブラッドリー様に流し目なんてしていない!
ブラッドリー様は確かに13歳にしてはイケメンだとは思ったけれど、30越えた、いやそれから13足したら40超えのおばさんに中学生を恋愛対象に見ろなんて無理だ。頭を撫で撫では出来ても、それを恋愛感情で見るとか絶対に無理。でも、そんな事説明できるわけもない。
そもそも、ブラッドリー坊っちゃんにはローズ様の服のことをその侯爵家のお母さまに話すなと釘を刺したかっただけで、流し目なんてしていないのだ。
「本当ですわ。ローズ様。私もしっかり流し目しているのを見ました」
「本当にそうですわ。ローズ様。ここはパトリシアにはお仕置きが必要ですわ」
オードリーとデリアまで、尻馬に乗って言ってくれるんだけど、ちょっと待ってよ!
私のは絶対に流し目してないのに!
でも、誰一人として認めてくれないのだ。
「私、パティの苦手なものを聞き出しましたの」
「えっ? 私の苦手なもの?」
私は不吉な予感がした。
「あなた、暗いの怖いでしょう」
「そうです。パトリシアはお化けが怖いはずなのです」
悪魔の二人が言ってくれたのだ。
ちょっと待って、そう私は前世から暗いのは怖いのだ。
お化けも超苦手なのだ。
それを必死に隠していたのに、バレてしまった。
やばい。
こいつら悪魔だから、一人で暗い中に閉じ込めるなんて平気でやりそうだ。
「す、すみません。それだけは止めてください。お願いします」
私は慌てて土下座したのだ。
誰もいない暗い所に閉じ込められるって絶対に嫌なのだ。
「そうなのね。反省はしたの?」
ローズお嬢様はそんな私を見下してくれたのだ。
やばい!
私はコクコクと頷いた。
ローズお嬢様はニタリと笑ってくれた。不吉な笑みだ。
「でも、今回の件は許さないわ」
「えっ、そんな、ローズ様」
私がなりふり構わず、土下座したのに、全く通用しないんだけど、なんで?
土下座もやりすぎたら効果がなくなるらしい。
3分間無敵持ちなのに、土下座なんかしたから黒服の神様に怒られたのかもしれない。
「二度とブラッドリー様に流し目なんてしようという気も起こらないように、じっくりと判らせてあげるわ」
私は3人に連れられて、昔自殺者が出たと恐れられている、古い食堂の貯蔵室に連れて来られたのだ。
中はまだ、明るいけれど、夜になれば真っ暗になるはずだ。それだけは嫌だ。
「そこに入って一晩反省していなさい」
ローズ様の声に、
「えっ、ちょっとまってくださいよ。それはないです。ちょっと!」
私は叫んだが、3人の足音は無情にも遠ざかっていったのだ。
どうしよう? 小窓はあって少し暗いけれど、まだ明るい。
でも、いずれ夜になったら真っ暗になるのだ。魔法ランプはあるが、私は使えないのだ。こんなんだったらもっと魔法の練習しておけば良かった。
この使われていない場所に使用人の誰かが来るなんてあまり考えられなかった。
あのコーリーでさえ、幽霊の件を気にしていたのだ。
まあ、死んで閻魔様の前に行ったこともあるし、あそこにいたのは皆幽霊だから怖くないと言えばそうなんだが、私も幽霊だったし……
でも、やはり怖いのだ!
そして、ここは今は使われていないのだ。めったに人は来ないし、幽霊騒動で、皆避けている所だ。
まあ、いざとなったら3分間無敵があるけれど、幽霊が怖くて使ったなんて時には馬鹿にされるのは確実だ。
絶対にあの黒服は馬鹿にしてくれるはずだ。
それも癪なんだけど。
扉を押したがびくともしない。
最悪、蹴飛ばして壊せば……
「痛い!」
私の足ではびくともしなかった。
窓も小窓で天井近くにあるだけだ。
これでは窓から出入りする訳にはいかない。
秘密の出入り口も無いみたいだ。
外は徐々に暗くなってきた。
この前は地下室で監禁されたけど、その時はあまりにお腹が減ってそれどころではなかったのだ。
お腹が空くと私は無敵になるのかもしれない。
でも、今日はお昼はたらふく食べていたし、夜ご飯一食くらいならばなんとかなるのだ。
徐々に暗くなってきた。
どうしよう?
周りのものが不気味に見えだした。
「どうしよう」
私が恐怖に震えだした時だ。
そんな時だ。薄暗闇の中、天井裏から不気味に光る2つの光が私の目に写ったのだ。
で、出たーーーー!
私は心のなかで絶叫してたのだった。
不気味な2つ目の正体は何?
続きは今夜





