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【第一部完結】異世界ブシロード ~チートはいらないから剣をくれ!~  作者: 日之影ソラ
第七章 罪人たちの宴

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 ギガスの術式効果は、魔力操作の熟練度によって変化する。

 不慣れなものほど抵抗できず、速いスピードで魔力が体外に吸い出されてしまう。

 魔力とは生命力のエネルギー。

 枯渇すれば体力を奪われ、完全になくなれば肉体が無理やり魔力を生成しようと生命力を削る。

 

「はぁ……」

「……おい、平気かよ」

「ええ。少し辛いですがまだ平気よ」

「ったく、これだから人間は軟弱だよな。ちょっと魔力吸い出された程度で戦えなくなるんだもんよ」


 悪魔と人間では魔力量に大きな差がある。

 術式が特殊であって戦いには慣れていないミストリアにとって、ギガスの結界内は息苦しい。

 術式を使わずとも、一時間もすれば完全に魔力が消失し、命も消える。


「お前もちょっとは魔力操作の練習しておけよな」

「……」

「なんだよ」

「いえ、グリムさんって意外と優しいのね。私の心配をしてくれるなんて」

「んなっ!」


 ミストリアの掌でイヤリングがグランと揺れる。

 動揺がそのまま動きに現れた。


「か、勘違いすんじゃねーよ! リインの頼みだから聞いてやってるだけだからな!」

「よほど信頼しているのね、彼を」

「うるさいな、こいつ……」

「ふふっ……」


 短い間にグリムの扱いにもミストリアは慣れていた。

 彼女は戦っているリインを見つめる。

 不安そうな横顔で。


「心配しなくても、大丈夫ですよ」

「ヴィルさん」

「リインは負けません」

「そうだぜ。あいつが負けるなんてありえねーんだよ」


 双子の夢魔は自信満々に言い切る。

 一人不安がぬぐえないミストリアは、作り笑いで返す。


「本当に信頼しているのね」

「信頼じゃねえ、確信だ。お前がリインを選んだこと、間違ってねーよ」

「リインは強いです。私たちがよく知っていますから」

「ああ、ムカつくけどあいつは、オレの想像なんて簡単に超えてきやがるんだ」


 それは信頼を超えた感情。

 リインの強さをよく知る二人だからこそ、自信を込めて断言できる。

 未だ不安がぬぐえないミストリアだったが、二人の言葉に嘘はなく、それを信じるようにリインの戦いを見守る。


  ◇◇◇


 俺は刀を構えてギガスと睨み合う。

 奴の術式効果は情報通りだ。

 結界内の魔力を吸収し、自身の魔力へと変換する。

 学園内には今も、数千人の人間が残っているはずだ。

 長期戦で魔力切れを狙う作戦は使えない。

 加えて吸収した魔力を使った自己治癒の術式も備えている。

 治癒効果は魔力量に依存するみたいだが、この結界の中ではほぼ不死身だ。


「だったら」


 俺は大きく踏み込む。

 両足に魔力を集中させ、正面から切り返し右側面へ。

 奴は反応しない。

 開いている首元に刃を向ける。

 不死身にちかい再生能力も、頭を斬り落とせば関係ない。


 が、俺の刃が完全に通る前に威力を削がれる。

 防御が間に合ったわけじゃない。

 奴の身体から無尽蔵にあふれ出る魔力が、俺の攻撃を押し出したんだ。


「チッ――」

「速いな! けどダメだぜ」


 遅れてギガスが行動する。

 グレートアックスを横に大きく振り、俺の胴を狙う。

 刃を引いて躱そうとした俺だが、ギガスが片手で俺の刃を握る。


「逃がさねぇよ」

「くっ」


 回避が間に合わず、俺の胴にグレートアックスの斬撃がヒットする。

 衝撃でギガスの手は離れ、そのまま吹き飛び転がる。


「真っ二つにしたつもりだったんだがなぁ……大した硬さだぜ」

「……」


 攻撃が直撃した俺だったが、胴は服が斬れた程度で無傷に留まっている。

 ヒットの瞬間、胴に魔力をぐっと固めて防御力を増した。

 俺はのそっと立ち上がる。


「なるほどな」

「あん?」

「お前の攻撃……すごい威力だ。吸収した膨大な魔力は凄まじい。けど、出力限界があるな」


 魔力を一度に放出できる限界。

 術式をメインに扱う魔術師には気にならない項目だが、俺のように魔力を直接操って戦う者には大きく影響する項目だ。

 天性の部分もあるが、修練によって磨かれその上限は変わる。

 今の奴は魔力量こそ上回っているが、あふれる魔力を十二分に扱えていない。


「修行不足だ」


 これじゃせっかくの魔力も泣いているよ。

 

「何をうだうだ言ってやがる。一回攻撃を凌いだくらいで調子に乗ってんじゃねーよ!」


 ギガスが豪快に地面を蹴り、大きく跳躍して俺の頭上へ舞う。

 両手でグレートアックスを握り、振り下ろす。

 振り下ろしは直撃し、周囲の地形が変わるほどの衝撃波を生む。


「はっ! 躱せなかったかよ」

「――躱す必要がないんだ」

「なっ……」


 ギガスが放った渾身の一撃を、俺は片手で挟んで受け止めていた。

 

「受け止めただと? こいつ――」

「いいのか? 俺の間合いだぞ」


 動揺する隙をつき、がら空きの胴体に横薙ぎの斬撃を放つ。

 全身から放出された魔力も押しのけ斬り裂き、ギガスの腹に大きく深い傷を刻む。


「ぐっ、くそっ!」


 慌ててギガスは後退する。 

 腰から下を斬り落とすつもりだったが、少し踏み込みが甘かったな。

 本来なら致命傷の傷も、奴の治癒効果で回復する。


「大した術式だな」

 

 でも、奴の出力限界は把握した。

 奴の攻撃は防げる。

 魔力で覆われた身体にも、俺の刃は通る。

 負ける要素は何一つない。

 ただせっかくの舞台だ。

 俺も一つ、新しいことを試してみよう。

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